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EUのアップル追徴課税 早わかりQ&A

ウォール・ストリート・ジャーナル 8月31日(水)11時42分配信

 欧州連合(EU)は30日、
米アップルがアイルランドに支払うべきだった約130億ユーロに及ぶ税金を納めていなかったとの判断を示した。EUは、アップルがアイルランド政府との取り決めによって、10年以上にわたりEU域内の利益にかかる税金のほぼ全額を回避していたと指摘した。今回のEUの決定について知っておくべきことを以下にまとめた。

アップルとアイルランドの間に何があったのか

 アップルは1980年、アイルランドのコークに工場を設立した。同社は現在、同国各地で6000人近くを雇用している。同社はまた、欧州本部を同国に置いている。

 欧州委員会は、アップルがEU域内で上げた利益を全てアイルランドに移転したと指摘、同国で非常に低い税率で税金を納めていたと述べた。

EUの対応は

 EUの「国家補助規制」は、企業が政府の支援を得て、同業他社より優位に立つことを禁じている。

 EUの独禁規制当局の役割を担う欧州委員会は、アイルランドが1991年と2007年にアップルに与えた税に関する取り決めにより、アップルは03年から14年までの間にEU域内で上げた利益について、その1%未満、つまりほぼゼロの税率で税金を納めることが可能になっていたと述べた。

アップルが支払うべき金額は

 欧州委員会はアップルが03年から14年の間に違法に得た税優遇利益として145億ドル(約1兆4900億円)と利子を支払うべきだと述べた。

それは過去最高額か

 そうだ。アイルランドがアップルから回収すべきとされた額は、EUで長年施行されている国家補助に対する規制に基づいて要求される金額としては過去最高だ。

 だが、金額はもっと多かった可能性があった。欧州委員会が最初に情報提供を要請したのは13年のことだったが、欧州委が違法な国家補助の返還を命じられるのは、それ以前の10年間のみだからだ。

低い税率での納税はどうして可能だったのか

 欧州委員会は、アイルランドからアップルに下された2つの税関連の判定により、「1991年以降、アップルがアイルランドで支払う税率が大幅かつ人為的に低くなった」と指摘している。

 これらの判定は、アップルがアイルランドで設立した2社(アップル・セールス・インターナショナルとアップル・オペレーションズ・ヨーロッパ)が納めるべき税額の決定方法を是認した。

 2社が計上した収益のほぼ全ては、社内的に「ヘッドオフィス(本部)」に帰属するとされた。だが、ヘッドオフィスは書類上でしか存在しないため、そのような利益を上げることは不可能だったはずだと欧州委は指摘している。

 こうした利益は、アイルランドの税法の特定条項(現在は無効になっている)の下、どの国の税金の対象にもならなかった。このため、アップルはアップル・セールス・インターナショナルの利益に実効法人税率をかけた分しか納めなかった。実効法人税率は03年の1%から14年には0.005%にまで引き下げられていた。

アップルは何と言っているのか

 アップルは30日付の声明で、この決定に正式に異議を申し立てる意向を示した。また同社が「法律に従っており、事業を運営する全ての国で、課税された税金は全て納めている」と付け加えた。

 ティム・クック最高経営責任者(CEO)は30日付の顧客に宛てた書簡で、「多国籍企業にかかる税金は複雑だ。だが、基本的な原則は世界中で認識されている。それは、企業の利益に対する課税は、価値が創造された国でなされるべきだという原則だ。アップルとアイルランドと米国は全てこの原則に同意している」と述べた。

アイルランドは何と言っているか

 アイルランドのヌーナン財務相は、「欧州委員会の判断には全く同意できない」と述べ、「わが国の税制の整合性を守る」ため、決定に異議を申し立てる意向を示した。

米国はこの決定をどう思っているのか

 米財務省は以前、不正に米国企業を標的にしているとしてEUによる税調査を批判し、国際的な税慣行から逸脱していると主張していた。

 財務省の報道官は30日、同省がこの決定に落胆しているとし、「欧州委がさかのぼって適用される税評価を行なったことは不公平であり、確立された法原則に反している。個々の加盟国の税規則に疑問を投げかけるものだ」と改めて述べた。

標的になっている企業は他にあるか

 ある。欧州委員会は、ルクセンブルクでの税の取り決めをめぐり、米ネット通販大手のアマゾン・ドット・コムとファストフード大手マクドナルドの調査を続けている。

By WSJ Staff

最終更新:8月31日(水)11時42分

ウォール・ストリート・ジャーナル

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