ここから本文です

アンチエイジングは早めに取り組むべし

ウォール・ストリート・ジャーナル 8月31日(水)14時17分配信

 まだ高齢者割引が使える年齢ではないからといって、侮ってはいけない。加齢は予想外に早い時期から始まっている。

 加齢による聴力の衰えは25歳から始まる。ただそれに気づくのは何十年もあとのことだ。骨量は30代から減り始める。デューク大学の最近の研究によると、ある種の肉体的な衰え――特に下半身の強さやバランス――は50代に始まることが多い。

 クリーブランド・クリニックのウェルネス研究所代表、マイケル・ロイゼン氏は「人間の体の全ての機能は10年に5%のペースで衰える」と話す。本人が衰えを自覚する時期や、機能がピークを迎える時期はさまざまだそうだ。

 今年7月に科学誌「ジャーナルズ・オブ・ジェロントロジー(メディカル・サイエンス)」に掲載されたデューク大学の体力に関する研究では、30代から90代の被験者775人について調査した。被験者は1分間の片足立ちのあとに30秒間、椅子に座ったり立ち上がったりを繰り返す反復運動など、強度、バランス、持久力を測定する5種類の機能テストを受けた。

 研究論文の筆者の1人、デューク大学医学部のミリアム・モレイ内科教授によると、テストでは概して若い人と高齢者では若い人のほうが、男女では男性のほうが好成績を収めた。これは予想どおりだった。ただ片足立ちのあとに椅子に座ったり立ったりを繰り返すテストでは、50代から著しい低下が見られ、これは研究チームにとって驚きだった。

40代の現実

 認知の面ではさまざまな機能が徐々に衰える。認知処理の速度や作業記憶は20代にピークを迎え、ゆっくりと衰え始める。

 オレゴン健康科学大学(オレゴン州ポートランド)のキャシー・ワイルド神経学・精神医学准教授によると、40代になると、新しい情報を記憶することが以前に比べて難しくなることがある。集中力が必要な作業はなるべく中断せず、邪魔が入らないようにして行う必要があるという。「作業が終わるまで一つのことに集中するべき」とワイルド氏は指摘した。

目に起きるさまざまな加齢症状

 40代になると、メガネをかけていない人でも近くのものがぼやけて見えることがあると、米国眼科学会の広報担当者でテネシー州ナッシュビルの眼科医レベッカ・テイラー氏は言う。これが老眼と呼ばれる症状で、近くのものに焦点を合わせる目の能力が徐々に低下することによって起きる。

 テイラー氏によると、女性は特に40代後半から50代前半にかけてドライアイになりやすい。緑内障や白内障は50代と60代に起きやすい症状で、75歳までにおよそ70%の人が白内障を発症するという。白内障になると、夜、ものが見えにくくなるが、手術で容易に治療できる。

 視力に関わる最も深刻な症状は加齢黄斑変性症だ。テイラー氏によると、この症状には治療法がないため、健康な食生活をはじめとした予防がカギという。テイラー氏はビタミンC、ビタミンE、亜鉛、銅、それに葉物野菜に含まれるルテインやゼアキサンチンを多く含む食事を摂るよう勧めている。禁煙と紫外線を100%カットするサングラスの着用は欠かせない。

口笛は聞こえる?

 加齢によってまず聞こえなくなるのは高い音だ。シンシナティ小児病院メディカルセンターの聴力部門の臨床ディレクター、イアン・ウィンドミル氏によると、聴力は18歳から25歳でピークを迎える。ただ、進行が遅いため、本人は何年も気づかないという。

 ウィンドミル氏によると、加齢による難聴、つまり老人性難聴を本人が自覚するのは通常、50歳前後だという。

 加齢によって失った聴力を取り戻す方法はない。ただ、老人性難聴は遺伝子のほか、さらに食事や薬、大きな音や化学物質などの環境因子によっても起きる。芝刈り機を使ったりロックコンサートに行ったりするときは聴力保護装置を装着するなどの対策を取れば耳への負担を減らせるそうだ。

体幹に関する重要な問題

 デューク大学の内科助教授で、冒頭の研究の筆頭著者のキャサリン・S・ホール氏によると、下半身や体幹の強さ、姿勢を維持する力は特に重要だ。「運動は早く始めれば始めるほどいい」とホール氏は言う。

 メイヨー・クリニック(ミネソタ州ロチェスター)の物理療法・リハビリテーション准教授、ネイサン・ルブラッスール氏によると、加齢による特徴的な症状の1つにサルコペニア(加齢性筋肉減弱症)がある。骨格筋が減少する進行性の症状で、30代から始まる。

 症状が顕著になるのは体重がなかなか減らなくなる30代後半から40代前半だという。

 ルブラッスール氏によると、筋肉の量は10年で10%前後のペースで減少するが、筋肉の強度と筋力――長時間、力を生み出す能力――の衰えはさらに速い。これには筋肉の減少以上に、脳信号の障害や循環器系の変化と関連している可能性があるという。

 グリーンビル・ヘルス・システム(サウスカロライナ州)の整形外科のカイル・ジェレイ氏によると、骨量は30歳前後でピークを迎える。

 骨量が低下するスピードは30歳から50歳までは男女とも同じだが、更年期になると、女性はその後10年にわたって骨量の減少が加速し、その後、正常なスピードに戻る。骨量が減少し、さらに筋肉も減少すれば、バランスや歩行に問題が生じる。

 ジェレイ氏は「体幹の強さが失われると、バランスをとりにくくなる」と話す。「例えば手すりを使わずに階段を昇り降りすることがむずかしくなる」そうだ。

 60代や70代になったときに筋肉と骨量の減少が重なれば深刻だ。だからこそ、40代や50代で筋力を維持することが非常に重要だとジェレイ氏は指摘する。

By SUMATHI REDDY

最終更新:8月31日(水)14時17分

ウォール・ストリート・ジャーナル

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。