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ブランド普及へ来月出荷 県産鶏で地産地消

カナロコ by 神奈川新聞 8月31日(水)6時30分配信

 県が神奈川初となる食肉用の鶏として開発を進めてきたブランド鶏「かながわ鶏」が、9月から本格的に生産・出荷される。消費者の地産地消志向の高まりを受けた取り組みで、養鶏農家の経営多角化を支える狙いもある。県と生産者団体などでつくるブランド化推進団体は、まず外食産業からブランド普及を図る。

 「かながわ鶏」はシャモ系の父鶏と、シャモより小さい「岡崎おうはん」の母鶏を交配した肉用鶏。県畜産技術センター(海老名市)で生まれた鶏を使用し、県内育ちで、飼養期間は90日以上-などの基準を満たすものだ。採卵農家が既存設備で飼育しやすいよう、母鶏に小ぶりの鶏が採用された。

 同センターが開発に着手したのは、2008年。県内には地元由来の在来種が存在せず、独立行政法人家畜改良センター(本所・福島県)が保有する国産鶏種を組み合わせて交配。味や肉質などの検討を重ねた。

 同センターはかながわ鶏のひなをこの春、横浜市内の農家に配布し、本格的に出荷できる状況が整った。ほかに藤沢市内の農家にも配布するなど、年度内に合計1200羽を目指して新たな受け入れ農家を詰める。出荷量が少ないため、市場価格は当面「他の肉用鶏の6・5~8倍」(県)程度の見通しという。

 15年6月に結成したブランド化推進団体「かながわ肉用鶏推進委員会」(横浜市磯子区)は、ホテルや外食産業を中心に普及活動を行う。10月には横浜市西区のレストランでかながわ鶏を使ったフェアが行われる予定だ。同推進委の鈴木光雄会長は「品質の向上や、消費者が買い求めやすい価格になるよう行政や関係機関が協力すれば、生産者にとって励みになる」と期待を寄せる。

 30日には県庁で関係者向けの試食会が行われ、かながわ鶏が棒(バン)々(バン)鶏(ジー)など和洋中の料理としてテーブルに並んだ。黒岩祐治知事ら出席者は「ジューシーでおいしい」「歯応えがある」と感想を述べた。生産した横浜市都筑区の養鶏業、織茂武雄さんは「設備改良が必要な農家も多い」と課題を挙げた上で、「知人の飲食業者やイベントなどを通じてかながわ鶏を知ってもらえたら」と意気込んだ。

 県によると、県内ではピーク時の1969年には180戸が肉用鶏(ブロイラー)を生産していた。だがブロイラー農家の生産規模拡大に伴い東北や九州に生産拠点が集約され、県内の生産農家は90年代までに姿を消したという。一方で近年、消費者の地産地消志向の高まりを受け、県産の鶏肉を求める声がホテルや飲食店、生産者団体から県に寄せられていた。

最終更新:8月31日(水)6時30分

カナロコ by 神奈川新聞