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マダニ媒介の日本紅斑熱 伊豆への拡大懸念

伊豆新聞 9月1日(木)13時45分配信

 マダニが媒介する十余種の感染症の一つ、日本紅斑熱に2000年以降、静岡県内で感染した5人のうち2人が昨年、今年と相次いで死亡した。2人は伊豆の国市と沼津市の70代女性。5人は香貫山はじめ、沼津アルプス山系とつながる山裾などでマダニにかまれたとみられる。病原体を持つマダニが野生動物に付着して広がった可能性があり、同所一帯に被害が集中している。マダニ研究の県内第一人者で、長く県環境衛生科学研究所に在籍した県立大客員教授、静環検査センター静岡事業所(静岡市駿河区)生態系調査課参与の川森文彦さん(61)=同市=は「病原体保有率が高い香貫山のマダニが、野生動物を介し伊豆半島に広がる可能性も否定できない」と懸念する。

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 ■伊豆の国市など、死者2人

 日本紅斑熱リケッチア(病原体、リケッチアは動物の細胞内でしか増殖できない細菌の一種)を保有するマダニにかまれることで発症する日本紅斑熱の県内患者は、2000年9月に初めて沼津市で確認された。ハンターが香貫山に入り、感染したという。

 その後、10年以上発生しなかったが、13年7月に伊豆の国市、15年6月には2年前の発生場所から800メートルほど離れた伊豆の国市長岡地区(死亡)、同年8月に沼津市、今年5月に沼津市静浦地区(死亡)で患者が出た。全員が60歳以上。多くは山中ではなく、自宅近くの里山の畑や神社で草刈りや掃除中などにかまれたと推測される。

 ■沼津アルプスの山系でつながる

 マダニは草葉などに潜んでいて、野生動物や人が通ると飛び移る。成虫は主に鹿やイノシシ、タヌキ、キツネなど、幼虫はネズミなどの小動物に付く。鹿やイノシシは広範囲に移動する。香貫山―横山―徳倉山―志下山―小鷲頭山―鷲頭山―大平山の沼津アルプスと伊豆の国市在住者の被害場所は山林などでつながっている。

 県環境衛生科学研究所は08~13年に県内の131地点で、草の上を白布を引きずる旗ずり法でマダニ14種・6847匹を採取した。富士山の高所にいるシュルツェマダニなどを除き、伊豆各所でも多く採取された。

 川森さんは「なぜ香貫山を中心とした地域に、リケッチアを保有するマダニが多くいるのか不明。香貫山は他地域よりも採取回数が多かったこともあるが、採取数が多く、南国系も含め種類も多かった。舗装道路脇の草むらにもたくさんいた」とし、沼津市の県東部保健所も「原っぱなど身近な場所にもマダニはいるので気を付けてほしい」と注意を呼び掛ける。

 ■野生動物との関係性調査へ

 県環境衛生科学研究所の佐原啓二微生物部長(57)は「香貫山(沼津アルプス山系)一帯でなぜ集中的に発生しているのか、広がりと野生動物の関係などを今後、調査していきたい」と話した。

最終更新:9月1日(木)13時51分

伊豆新聞