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ベストETF 2017発表!米国の高評価ETFを分析してみた

ZUU online 9月1日(木)17時10分配信

日本ではまだ市場が小さいETFだが、市場規模が日本の約15倍ある米国には、1941本のETFが上場している。その中から、米フォーブス誌が翌年の投資にふさわしい、ベストETFを毎年発表している。

■運用資産残高トップのETFは、日本市場より大きい20兆

世界一のETFのプロバイダーである、米大手資産運用会社のブラックロックによると、世界では2016年7月末時点で6084本のETFが上場しており、運用資産残高は3.31兆ドル(約341兆円)に達している。運用資産は前年同期比で、11.5%増と2桁の伸びだ。

ETF先進国である米国の運用資産は2.37兆ドル(約244兆円)、世界シェアは約72%に達している。一方の日本は現在上場しているのが204本、運用資産は約16兆円で、シェアはまだ5%程度である。

運用資産残高トップは、SPDR S&P500(ティッカー:SPY)で1989億ドル(約20兆円)の残高だ。2位がiShares Core S&P500(IVV)の776億ドル、3位がVanguard Total Stock Market(VTI)の638億ドルで3位まではすべて米国の大型株のETFだ。

日本最大のETFが、野村アセットが運用している日経225連動型上場投資信託 <1321> の3兆円であるから、やはり米国のスケールは大きい。

ちなみに、世界のETFプロバイダーは、ブラックロックが運用残高1位でシェア37%、ヴァンガードが2位で18%、ステートストリートが3位で15%と、この3社で世界シェアの70%を占めている。

ブラックロックが組成しているETFは「iShares」、ヴァンガードのものは「ヴァンガード」、ステートストリートのものは「SPDR」ブランドであり、前述の資産残高の上位3本は、3社の運用によるものだ。

■低コストこそ、長期投資の強い味方

ベストETFは、翌年に向けて米国のものをアセットクラス別に13分類に発表している。 主力カテゴリーのベストETFを紹介しよう。

ただ、注意してほしいのは、フォーブスが重視しているのは、徹底的にコストであり、運用成績を保証するものではないということだ。ETFは長期投資の際に、運用のポートフォリオ分散やアセットアロケーションのために、投資するのがメインである。長期投資では、アセットアロケーションを簡単に組めること、長期運用で大事な低コストであることが、ETFの一番のポイントなのだ。

従って、フォーブスが選出に使ったファクターは、経費率とレンディング(貸株、債券の品貸)による収入と、経費から収入を引いたネットコストが1万ドルを投資した場合に10年でいくらかかるかである。ファンドで保有する株や債券は、ヘッジファンドなどに券面を貸しだすことにより収入が入り、その収入はファンドに経費に反映される。

実際の保有コストであるネットコストに、売りと買いのスプレッド、流動性などのトレーディングコストを加味してベストETFを選んでいる。

■株式投資型のベストETF 低コストの努力が光る

◎米大型株のベストETF

米大型株でベストETFに選ばれたのは、Schwab U.S. Broad Market Index ETF (ティッカー:SCHB)だ。同ファンドは、経費率が0.03%、経費は貸株による収入でほぼ吸収でき、1万ドルの投資に対して過去10年でかかったコストは、23ドルだけだった。

Schwab U.S. Broad Market Index ETF (SCHB)10年コスト23ドル
Vanguard Total Stock Market (VTI) 同48ドル
Schwab U.S. Large-Cap (SCHX) 同55ドル
iShares Core S&P Total U.S. Stock Market (ITOT) 同77ドル
Vanguard 500 (VOO) 同80ドル

以上5ファンドがベストETFに選ばれた。運用資産残高トップのステートストリートのSPDR S&P500(SPY)は経費率が0.09%と高く、ポートフォリオの貸株利用も制限されており、10年コストは153ドルと高いため、ベストETFには選定されていない。

◎米中小型株ベストETF

小型株ファンドは貸株料が高いため、貸株収入をうまく得ることで、10年保有のネットコストがマイナスになったファンド、下記4本がノミネートされた。ただ1位のIWCは流動性に対する評価が10段階評価の3と低いことには注意だ。

iShares Micro-Cap (IWC) 10年コスト▲115ドル
Schwab U.S. Small-Cap (SCHA) 同▲95ドル
Vanguard Extended Market (VXF) 同▲13ドル
Vanguard Small-Cap Growth (VBK) 同▲7ドル

必ずしもマイナスコストになるわけではなく、残高ベースで上位にランキングされる、中小型株のファンドのネットコストは、たとえば、iShares Core S&P Mid-Cap(IJH)の場合で、203ドルと通常は高い。

◎グローバル株ベストETF

海外株ではトップ3は、ネットコストが100ドル以下のファンド3本、下記のFTSE先進国指数連動、世界株指数連動、FTSE世界株指数(除く米国)連動が選ばれた。

Vanguard FTSE Developed Markets (VEA) 10年コスト24ドル
Total International Stock (VXUS) 同75ドル
FTSE All-World Ex-US (VEU) 同85ドル

通常、グローバル株のファンドはコストが高い。たとえば、ETF残高4位の米国以外の先進国(日本を含む)に投資する、グローバルiShares MSCI EAFE(EFA)のネットコストは536ドルと、ベストETFの22倍以上である。

■高コストでも分散投資に不可欠なETFも

◎通貨・商品ベストETFはゴールドETF

通貨・商品のETFに投資する一番の目的は、ドル安のヘッジだ。そのため上位にランクされたのはゴールドETFだったが、ゴールドETFはコストも高く、流動性も6から7と低い。

iShares Gold Trust (IAU) 10年コスト420ドル
SPDR Gold Shares (GLD) 同492ドル

◎中期債ベストETFは株よりはコスト高

高格付けの中期債券のETFは、レンディング収入が株式ほどは見込めないため、コストは安くない。ネットコスト100ドル程度のファンドは下記3本しか無い。

Schwab U.S. Aggregate Bond (SCHZ) 10年コスト88ドル
Vanguard Total Bond Market (BND)  同100ドル
iShares Core U.S. Aggregate Bond (AGG) 同123ドル

■世界の不透明感から金・銀のETF残高が急増

ファンドの魅力はコストだけではない。基本は分散投資が効くかどうかだ。

今年は、G.ソロス氏が金のファンドを買っているのが、話題になった。1~3月のファンドの開示情報でBarrick Gold Corporation (ABX)の大口所有が、明らかになった。

金に投資しているのはソロス氏だけではない。投資家が、世界の景気不透明感とマイナス金利に備え安全資産を求める中、貴金属ETFへの関心が急速に高まっている。金相場は年初来26%高、銀は37%高となっている。

ワールド・ゴールド・カウンシルによると、金現物の裏付けがあるETFの現物保有量は7月末時点で2270.5トンと、2013年5月以来の高水準だった。また、コメルツ銀行によると、銀ETFへの資金流入額は7月初旬以来の高水準となり、現物保有量が過去最高の2万0670トンに達している。

日本のETFももっとネットコストが下がり、機関投資家や個人投資家が自由に、ポートフォリオの設定ができるようになることを期待している。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:9月1日(木)17時10分

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