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電力会社が小売全面自由化で攻勢かける、新電力より単価を安く

スマートジャパン 9月1日(木)11時25分配信

 鳴り物入りで始まった小売全面自由化だが、実際に契約変更で攻勢をかけているのは電力会社だ。2016年4月から「みなし小売電気事業者」になって、従来の規制料金メニューと自由料金メニューの両方を販売する。自由料金には以前から販売してきた時間帯別プランなどに加えて、自由化後に開始した携帯電話やLP(液化石油)ガスと組み合わせた割引プランもある。

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 資源エネルギー庁が小売全面自由化の進捗状況を分析した結果から、電力会社(みなし小売)の自由料金メニューの販売量が新電力を圧倒していることが明らかになった。電力会社の自由料金メニューは5月に60億kWh(キロワット時)を販売したのに対して、新電力はわずか1.7億kWhにとどまっている。

 しかも驚くべき点は販売単価の差だ。新電力の単価が1kWhあたり21.9円に対して、電力会社の自由料金メニューでは16.2円になっている。実に5円以上の開きがある。ただし新電力の単価も電力会社の規制料金メニューと比べれば2円弱は安い。小売全面自由化が電気料金を引き下げる効果をもたらしたことは間違いない。

 料金メニューの違いによって需要家あたりの販売量にも差が出ている。電力会社の規制料金メニューでは月間の平均販売量が211kWhで、自由料金では255kWhに増加する。新電力になると300kWh以上が多くなる。新電力が提供する料金プランの大半が300kWh以上で割安になるためだ。

 電力会社の自由料金メニューを利用している需要家のうち、自由化後の新しい料金プランに切り替えた件数は全国を合わせると5月末の時点で171万件にのぼる。一方で新電力に契約を切り替えたスイッチングの件数は7月末の時点で148万件になった。両方を合計した契約変更数は319万件で、家庭を中心とする低圧分野の需要家(2015年度で6253万件)の5.1%を占める。

規制料金の高い関西の競争が激しい

 電力会社と新電力の両方を含めて自由化後に契約が切り替わった割合(使用量ベース)を地域別に見ると、中部電力の管内が最も高くて9.3%に達している。そのうち新電力のシェアは3%に過ぎず、中部電力が自由化後に販売したプランに切り替えた需要家が圧倒的に多い。

 逆に新電力のシェアが高いのは北海道(95%)、北陸(83%)、関西(61%)の順で、東京は41%だ。電力会社が自由化後の料金プランを積極的に販売していない地域ほど新電力のシェアが高くなる傾向にある。

 加えて電力会社間の競争も始まった。以前から自由化が進んでいる企業や自治体が利用する特別高圧・高圧の分野を含めて、電力会社が他の区域で販売する電力量は6月の実績で2.3億kWhだった。

 まだ全体の1%にも遠く及ばない少ない規模だが、その中では関西の販売量が目立って多い。特に低圧の分野で他の電力会社が販売量を伸ばしている。関西電力の電気料金が割高なために、他の電力会社は新電力と価格競争を展開しながら需要家を獲得しやすい状況にある。

 すでに自由化から10年以上を経過した特別高圧・高圧の分野では、新電力のシェアが10%を超える地域が増えてきた。東京と関西では2016年5月の時点で14%に達して、特に直近の2年間で急速に伸びている。北海道でも12%になり、全国平均では9%を突破した。2016年度中には全国平均で10%を超える可能性が大きく、ようやく市場構造が変わってきた。

最終更新:9月1日(木)11時25分

スマートジャパン