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衣装デザイナー石岡瑛子さんの死がターセム作品に与えた影響「選ぶ題材が変わった」

シネマトゥデイ 9月1日(木)15時24分配信

 ターセム・シン監督が電話インタビューに応じ、衣装デザイナーの故・石岡瑛子さん(1938-2012)との仕事を振り返った。映画『ドラキュラ』でアカデミー賞に輝くなど世界を舞台に活躍してきた石岡さんは、ターセム監督のデビュー作『ザ・セル』から『落下の王国』『インモータルズ -神々の戦い-』『白雪姫と鏡の女王』までの4作全てに参加し、その独創的な衣装は、映像の魔術師とも称されるターセム監督の作品になくてはならないものとなっていた。

ターセム新作『セルフレス/覚醒した記憶』フォトギャラリー

 「瑛子と仕事をするといつでもたくさんの違う意見が出てきた。そして、それが好きだった。だから決して『この映画みたいに』『あの映画みたいに』と細かく指示したりせずに、僕が作りたい世界観だけを説明した。彼女は自分自身を作品に持ち込んでくれ、それが彼女を特別な存在にしていた。ほかのみんなはもっと細かい指示を必要とするんだけど、彼女は違った」と石岡さんとのユニークなコラボレーション方法を明かしたターセム監督。

 カレッジ時代から組んできたプロデューサーのニコ・ソウルタナキスと石岡さんがパートナーとなったことも、彼らの仕事を特別なものにすることになった。「僕と、僕の親友のニコはカレッジの頃からずっと彼女に夢中だった。最初のプロジェクトで彼女に会ったとき、彼女は日本ですでにビッグなスターだったからね(笑)。そして、そのプロジェクトで瑛子とニコは恋に落ちた。ニコはだいぶ年下だったけど、最終的には一緒になった」「だから僕は彼女の頭の中に入っていける裏口を持っていたんだ。だって彼女はいつだって僕の親友と一緒に住んでいて、そして僕の親友は僕の仕事のやり方を熟知していたからね」。

 それだけに石岡さんの死がターセム監督に与えた影響は大きい。ターセム監督は石岡さんの死によって「選ぶ題材が変わった」と切り出すと、「代わりなどいない人だ。だから将来的にはやるかもしれないけど、完璧に独創的なデザインが求められる題材は、今は探していない」と続けた。

 ターセム監督が石岡さんの死後に手掛けた新作『セルフレス/覚醒した記憶』は現在公開中。死期が近い不動産王(ベン・キングズレー)が自身の意識を健康な若い男(ライアン・レイノルズ)に移し、不死を目指すが……。ターセム監督は巧みな映像センスを見せつつもよりストーリーテリングに重きを置き、ファンタジー要素を排した地に足の着いたSFアクションで新境地を見せている。(編集部・市川遥)

映画『セルフレス/覚醒した記憶』はTOHOシネマズシャンテほかにて公開中

最終更新:9月1日(木)15時24分

シネマトゥデイ