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焦点:分岐点の8月米雇用統計、10万人維持なら「ドル高継続」の声

ロイター 9月1日(木)17時17分配信

[東京 1日 ロイター] - 市場参加者の視線が、2日発表の8月米雇用統計に集まっている。米国の利上げ判断を左右する材料として意識されており、非農業部門雇用者(NFP)の増加数が事前予想の18万人を下回っても、10万人割れにならなければ、ドル高基調の継続を予想する声が多い。ただ、強過ぎる数字は株安につながるとの観測もあり、相場の行方は予断を許さない情勢となっている。

<米利上げ占う最重要指標>

「運命の別れ道」──。市場参加者は、ジリジリしながら8月米雇用統計の発表を待っている。

前週末に開かれたジャクソンホールにおける講演で、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は「利上げへの論拠が強まってきた」としたが、あくまで経済指標次第との条件を付けることを忘れなかった。

その経済指標で最大の焦点となっているのが、2日(日本時間午後9時半)に発表される雇用統計だ。

ロイターがまとめた市場予想は、NFPの増加が18万人。失業率は4.8%となっている。市場では、NFPの増加が20万人以上となった場合、9月の利上げを織り込む動きが一気に広がり、ドルは戻り売りをこなしながら104円半ばまで上昇するとの見方が多い。

「通常、発表前後で、1円程度動くことが多いが、注目度が高いだけに今回は1.5円、勢いがつくと2円くらいの値幅が出るかもしれない」(外為アナリスト)という。

<10万人割れなら100円割れの攻防へ>

一方、NFPの増加が10万人を下回るなど、予想を大きく下回った場合は、利上げ期待が大きく後退しそうだ。「ドル/円<JPY=EBS>はあらためて100円割れの攻防が意識される」(三菱東京UFJ銀行・チーフアナリスト、内田稔氏)との見方が多い。

ただ、NFPの増加が10万人以上となったものの、市場予想の18万人には届かないという微妙な数字になった場合、市場反応の見通しは不透明さが増す。

外為どっとコム総合研究所・調査部長、神田卓也氏は「10万人以上であれば、3カ月平均でそれなりの数字をキープできる。9月の利上げの可能性が高まらなくても、12月の利上げの確率が低下することはない」とし、年内の利上げ期待があれば100円は支えられると指摘する。

NFPの増加は5月が2万4000人、6月が29万2000人、7月が25万5000人となっており、7月までの直近3カ月平均は約19万人。

8月が10万人超なら節目の20万人を超えてくる。利上げ期待が維持されれば、足元のドル高基調は少なくとも21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)までは続く可能性がある。

<株安/原油安リスクを警戒>

ドル高に対するリスクは、米利上げ観測の強まりで、株式や原油などの市場が荒れてしまうことだ。

米株式市場は主要3指数が史上高値圏で推移しているほか、バリュエーションも歴史的にみて高い水準にある。雇用統計が良い内容となり、ドル高が進めば、今年初めのように米グローバル企業の業績圧迫が意識されやすい。

また、旅行シーズンが終わり、足元の原油市場ではガソリン需要が低下し始める時期でもある。リスクオフが始まってしまえば、「安全資産」への逃避としてドルと円が選好され、ドル/円は上昇圧力を削がれる可能性が大きいとみられている。

株安/原油安となった場合、「ドル/円の上昇は一過性で終了し、再び100円割れに向けて円高圧力が強まる展開を警戒したい」(IG証券・シニアFXストラテジスト、石川順一氏)との声も出ている。

(杉山健太郎 編集:田巻一彦)

最終更新:9月1日(木)21時44分

ロイター