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アングル:ドル/円オプション予想、日米中銀の9月会合前後で「温度差」

ロイター 9月1日(木)18時14分配信

[東京 1日 ロイター] - 通貨オプション市場で、ドル/円の予想が短期と中長期で異なる動きを示している。短期では米利上げと日銀追加緩和への期待で、ドル高/円安の予想を織り込む動きが強まってきているが、中長期では依然、ドル安/円高予想が優勢だ。米利上げや日銀緩和の「余地」が乏しいとの見方が背景にあるとみられている。

<短期は9カ月ぶりのドル高予想に>

ドル/円のスポットレートが100円から103円台へと急上昇した先週から今週にかけ、ドル/円リスクリバーサル(RR)25%デルタ1カ月物の傾きは、ドル安/円高予想を映すドル・プット・オーバーから、ドル高/円安予想が優勢となるドル・コール・オーバーに転換した。足元でその傾きは0.22%となっている。

ドル/円RRの1カ月物がドル・コール・オーバーに転じるのは昨年11月以来、9カ月ぶりだ。日米中銀トップの発言などを材料に「9月の会合に向け、日銀追加緩和への思惑に、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ期待が加わって、ドル高/円安予想が加速した」と、バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイの外国為替本部営業本部長、岩崎拓也氏は指摘する。

一方、9月の日米中銀会合を超える長い期間のリスクリバーサルでは様相が異なる。3カ月物RRは1.13%付近、1年物は1.57%付近で、いずれもドル安/円高予想となるドル・プット・オーバーのサイドにとどまっている。「数カ月でみれば、まだドル高/円安トレンドを見ているわけではない」(バンク・オブ・アメリカの岩崎氏)という。

「自然利子率低下の議論にみられるように米利上げは残りそう何回もないとみられている。日銀も金融緩和の手段は限られてきている。もし今回、米利上げと日銀緩和があったとしても、それは終了までのカウントダウンが進むだけとも受け止めることができる」と東海東京調査センターのシニアストラテジスト、柴田秀樹氏は指摘する。

<イベント前のヘッジニーズも>

もっとも、通貨オプション市場は、ヘッジファンドなどの投機筋が主導しがちだ。1カ月物までの短期のRRがドル高/円安予想に振れている背景には、イベント前のヘッジニーズというオプション市場の事情もあるという。

米商品先物取引委員会(CFTC)が26日発表したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(8月23日までの1週間)によると、円買い越しは6万0316枚で、前週から約4000枚増加した。

その後のドル高/円安で足元の円買い越しは縮小しているとみられるものの、引き続き円ロングは高水準にあるとみられている。このため「万が一に備えたドルコール買いが優勢となっている背景のひとつ」(邦銀)という。

金利先物も米利上げを強く織り込んでいるわけではない。CMEがFF金利先物取引から算出する「FEDウォッチ」での利上げ確率をみると、ドル/円が先週末以降に103円へと急上昇した中でも「むしろ後退する場面もあり、スポット市場との温度差がある」(別の国内金融機関)との声が出ている。

<米利上げでドル安・円高の可能性も>

足元のリスクリバーサルの動きはあくまで短期イベントでのドル高/円安見通し。あおぞら銀行の市場商品部部長、諸我晃氏は「期待が高まればそれだけ、予想に反する結果となった場合のドル安/円高リスクに注意する必要がある」と指摘する。

9月20─21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げがあった場合でさえも、ドル安/円高に動く可能性もあるという。「将来にも利上げが連続するとの期待がつながらなければ、ドル/円はあらためて下方向を試しかねない」と、りそな銀行・総合資金部クライアントマネージャー、武富龍太氏は指摘する。

複数回の利上げに耐えられる体力を米経済が付けていると市場が見るか。まずは2日発表の8月米雇用統計で、ドル/円の中長期リスクリバーサルがドル高/円安を織り込む動きになるかに注目が集まりそうだ。

(平田紀之 編集:石田仁志)

最終更新:9月1日(木)22時14分

ロイター

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