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アングル:EUのアップル追徴課税、次の標的は欧州企業か

ロイター 9月1日(木)14時25分配信

[ブリュッセル 31日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は、米アップル<AAPL.O>に130億ユーロという目の飛び出るような額の追徴税支払いを命じた余勢を駆って、多国籍企業に対する優遇税制の締め付け強化に動く、と政府関係者や専門家はみている。

だが欧州委のベステアー委員(競争政策担当)の目線は今後欧州企業に向けられるかもしれない。同委員がこれまで納税問題でいくつかの米大手企業への調査を実施した挙句に、アイルランドがアップルに適用している優遇措置を違法な補助金と断定し、米国を激怒させたという状況を踏まえての観測だ。

ベステアー氏は2013年以降、EU23カ国内で約1000社の問題について調査を始めた。このうちアップル以外の米企業絡みでは、例えばスターバックス<SBUX.O>に対してオランダに最大300億ユーロを払い直すように命じた案件がある。ルクセンブルクの税制優遇措置を巡る問題ではアマゾン・ドット・コム<AMZN.O>とマクドナルド<MCD.N>が関係しているが、欧州委は違法かどうかをいつ判断するかは明らかにしていない。

こうした動きや、グーグルの買い物検索や基本ソフトに関する独占禁止法違反調査が米企業たたきだという批判について、ベステアー氏には正当な反論がある。

それでもEUの独禁法に関与する人々は、次の目玉的な調査の標的には欧州企業が選ばれる可能性があるとみている。

法律事務所ベーカー・ボッツのパートナー、ゲオルク・ベリッシュ氏は「欧州委が1000件すべての案件を調べつくすことができないのはかなり明らかだ。誰にでもわかる法律違反を手掛けるしかない」と述べた上で、いくつかの案件を選択せざるを得ず、恐らくは欧州企業に着目すると予想する。

ベリッシュ氏によると、この先欧州委にとって格好の対象になりそうなのは、2014年に判明したルクセンブルクが有力多国籍企業との間で密かに取り決めた税制優遇措置だ。この中にはいくつかの欧州企業が含まれているという。

政府当局者や専門家からは、欧州委の調査は人員や予算の制約から、国際的な租税負担を極端に減らすのを防げると期待できる少数の案件に絞り込まれるとの声も聞かれる。

法律事務所リンクレーターズのジョナス・コポネン氏は、欧州委がアップルに大規模な追徴税を求めた事実は、他の多国籍企業にとって警鐘になると指摘。つまりこれらの企業は、富裕な企業からもっと多くの税金を取れという一般国民からの圧力に欧州だけでなく世界中の政治組織がいかに敏感に反応しているか、さらにそれが訴訟問題や名声が傷つく危険性をもたらすことを心する必要があるという。

(Foo Yun Chee記者)

最終更新:9月2日(金)7時51分

ロイター