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【インタビュー】サバトン「プレイしたい曲がたくさんある」

BARKS 9/5(月) 16:03配信

世界最大のメタル・フェスティバルのひとつである<ヴァッケン・オープン・エアー>で堂々ヘッドライナーを務め、母国スウェーデンでは自らの名を冠した<サバトン・オープン・エアー>も開催するなど、ヨーロッパでは絶大な支持を得ているサバトン。オリジナル・メンバーのベーシスト、パル・スンドストロムへのインタビューは、地元ファールンの屋外から電話をかけてくるという形で行われたが、何度も「よっ!パル、元気?」とファンから声をかけられるという、人気を裏付けるものだった。

◆サバトン画像

パルに『ザ・ラスト・スタンド』について、そして気になる日本公演について訊いてみた。

──『ザ・ラスト・スタンド』のテーマはどのようにして生まれたのですか?

パル・スンドストロム:2014年に前作『ヒーローズ』を出した後、ずっとツアーに出ていたんだ。それでレコード会社からの提案もあって、次のアルバムまでの繋ぎとして、5曲ぐらいのミニ・アルバムを出したらどうかという話になった。そのときヨアキム(ブロデーン)が「2~3曲のアイディアがあるんだ」と言って、「最後の戦い」のアイディアを出してきた。でも、あまりに最高なテーマだからミニ・アルバムでなく、フル・アルバムにするべきだと俺は主張したんだ。実際、ツアーを終えて、ニュー・アルバムを作るとき、当初は別のテーマでやるつもりだった。そのテーマは決して悪くはなかったけど、サバトンのアルバムは“悪くはない”では足りない。“最高”でなくてはならないんだ。それで以前ヨアキムが持ってきたテーマを再検討してみた。彼と話すだけで、何も調べないのにアルバムのテーマの30%ぐらいは出来上がっていたよ。それから本を読んだり、ネットを調べたりして、すべてが組み上がっていったんだ。『ヒーローズ』では第二次世界大戦中の出来事を歌詞にしたから、今回は戦車や機関銃について歌わない曲があるのも良いと思ったんだよ。

──アルバムの歌詞に向けてのリサーチ作業はどんなものでしたか?

パル・スンドストロム:まず共通するテーマとして、“大軍に立ち向かう少人数の戦士たち”を設定したんだ。世界史において何度も起こってきた出来事で、その悲劇的な運命を含めて、すごく胸に迫るものがあるからね。「SHIROYAMA」はヨアキムが持ってきたアイディアのひとつだった。<ラウド・パーク15>の後、彼は日本でバカンスを過ごすことにしていて、ネットで観光情報などを検索していたけど、何故か気がついたら1877年の西南戦争について調べていたんだ。歴史オタクは困るね(苦笑)。それから「ブラッド・オブ・バノックバーン」は俺が歌詞を書いたけど、スコットランドがイングランドと戦ったバノックバーンの戦い(1314年)については、学生時代に論文を書いたこともあるんだ。映画『ブレイブハート』の最後に登場する事件だし、知っているファンもいると思う。サバトンのツアー・クルーは国際色豊かだから、いろいろ話を聞いてみたりしたし、ファンが提案してくるメールにも目を通した。日本のファンからもメールをもらったよ。最後に決まったテーマは「ザ・ラスト・バトル」だった。この事件(1527年、神聖ローマ帝国によるローマ略奪。スイス傭兵が勇敢に戦った)はグーグルで“最後の戦い”を検索したときにヒットしたんだ。

──実際に合戦場に行ったりしましたか?

パル・スンドストロム:うん、まず「スパルタ」で描いたギリシャのテルモピュライに行ってきたよ。映画『300(スリー・ハンドレッド)』で描かれているのとはかなり地形が異なっていた。もちろんあの映画がフィクションだということはあるだろうけど、戦いがあった時代から波で地形が削られたせいもあるだろうね。でも当時の鏃が残っていたりして、すごいインスピレーションを受けたよ。それから「ラスト・ダイイング・ブレス」のセルビアのベオグラードにも数日滞在した。今回のアルバムではないけど、「プリモ・ヴィクトリア」のノルマンディー上陸作戦の現場、「クリフス・オブ・ガリポリ」のガリポリ…現場に行くことで、当時のパワーを感じるんだ。

──日本のファンにとって、西郷隆盛の最期とサムライの時代の終焉を描いた「SHIROYAMA」は特別な曲です。しかもサバトン屈指の名曲の歌詞が日本をテーマにしているのが嬉しいです。

パル・スンドストロム:アルバムのテーマを“最後の戦い”にすることを決めたとき、ヨアキムが喜色満面で言ってきたんだ。「史上最高の“最後の戦い=ラスト・スタンド”があるんだ!」ってね。その時点で曲のラフな構成は決まっていたけど、彼の歌詞を得て、さらに素晴らしいものになっていった。「SHIROYAMA」が『ザ・ラスト・スタンド』で俺たちが誇りにしている瞬間のひとつであることは確かだ。

──次回のジャパン・ツアーでは、必ず「SHIROYAMA」をプレイしなければならないでしょうね!

パル・スンドストロム:あはは、そうだね(笑)。俺たちはいろんな国の戦いを舞台にしているから、各国のファンからそれぞれ異なったリクエストがあるんだ。ポーランドのファンは「ウィングド・ハザーズ」をリクエストするだろうしね。ただ、日本やポーランドのファンだけが楽しめば良いという訳ではない。どちらも魅惑的な物語で、世界のリスナーに知ってもらいたいんだ。アメリカやヨーロッパのファンにも早く「SHIROYAMA」を聴いて欲しいよ。

──「ダイアリー・オブ・アン・アンノウン・ソルジャー」ではアイスド・アースのジョン・シェイファーがナレーションを担当していますが、彼も歴史マニアで有名ですね。彼と世界史について語り合ったりしますか?

パル・スンドストロム:ジョンとはフェスティバルで、ずいぶん前から何度か顔を合わせていたけど、握手してハローと挨拶する程度だった。でも2014年に北米を一緒にツアーして、親しくなったんだ。一緒にウイスキーやビールを飲んで、歴史について語り合うようになった。彼は俺たちのアルバム『カロルス・レックス』をすごく気に入ってくれて、俺たちもアイスド・アースの『ザ・グロリアス・バーデン』が好きだった。それで友達になったんだよ。今回、「ザ・ロスト・バタリオン」は第1次世界大戦でアメリカ遠征軍がドイツ軍と戦ったムーズ・アルゴンヌ攻勢を歌った曲だから、アメリカンなナレーションが必要だった。当初アメリカの俳優に頼もうと思ったけどギャラが高かったり、エージェントを通さなければならなかったりして、スケジュール的にも難しかった。そのときハッと気付いたんだ。ジョンにやってもらおう!ってね。彼はディープなアメリカン・ヴォイスをしているし、彼の家にホーム・スタジオがあるから、ただ頼んで、OKしてもらった。ジョンは素晴らしい仕事をしてくれたよ。「ザ・ロスト・バタリオン」ではドラム・トラックをサンプリングしていて、バスドラムが.50口径の機関銃、スネアドラムが9mmハンドガンで、ハイハットは銃剣が敵を貫く音なんだ。時間がかかったし大変だったけど、やった甲斐があったよ。ジョンにそのことを教えたら「何てこった!凄いアイディアだ」とビックリしていたよ。

──スカー・シンメトリーなどで知られるヨナス・チェルグレンがバグパイプで参加していますが、彼も歴史マニアですか?

パル・スンドストロム:いや、そういうわけではない(笑)。ただ、とても良い友達だよ。彼は2012年以来、俺たちのアルバムのシークレット・ヘルパーなんだ。どんな楽器でも演奏できるから、困ったときはいつでも声をかけるんだよ。変わったパーカッションだとか、マスタリングもやってくれるし、ギターの修理までしてくれるんだ。それで彼はCDブックレットで“なんでも少しずつ担当”とクレジットされているんだ。今回は「ブラッド・オブ・バノックバーン」でバグパイプが必要だったんで、もしかしてヨナスなら吹けるかも?と思って訊いてみたら、あっさりOKしてくれた。曲がメジャー・キーだったし、バグパイプを入れても違和感のないスケールだったことも幸いしているよ。

──『ザ・ラスト・スタンド』のボーナスDVDには2016年2月、フランスのナントでのフル・ライヴが収録されていますが、そのショーについてどんなことを覚えていますか?

パル・スンドストロム:バンド全員が良いプレイをしているんだ。珍しくね(笑)。映像作品『ヒーローズ・オン・ツアー』に収録したドイツの<ヴァッケン・オープン・エアー>でのライヴも気に入っているけど、観衆と密接でナチュラルな距離のクラブ・ショーも好きなんだ。現在のサバトンのベスト・ショーのひとつだよ。

──「ゴースト・ディヴィジョン」がライヴ1曲目として定着していますが、それは何故でしょうか?別の曲に変えてみようと考えたことはありますか?


パル・スンドストロム:あまりにパーフェクトなオープニングだから、変えるのは難しいんだ。ヨーロッパの「ファイナル・カウントダウン」が鳴り響いて、それから「ザ・マーチ・トゥ・ウォー」、そして爆発と共に「ゴースト・ディヴィジョン」が始まって、会場がクレイジーになる。それでワンセットなんだよ。それに毎回同じ曲だと、機材やサウンドで問題があったときクルーが直しやすいという実務面のメリットもある。俺たちがヘッドライナーを務める船上ライヴ<サバトン・クルーズ>では2回ショーをやるから、そのうち1回を「ナイト・ウィッチズ」で始めたんだ。もちろん最高の曲だけど、あまりに「ゴースト・ディヴィジョン」が定着しているから、少なからず違和感があったね。

──では次回の日本公演でも1曲目は「ゴースト・ディヴィジョン」になるでしょうか?

パル・スンドストロム:その可能性は高いね(笑)。2017年から2~3年をかけてワールド・ツアーを行うから、必ず日本でプレイするつもりだ。「ゴースト・ディヴィジョン」、「SHIROYAMA」…プレイしたい曲がたくさんあるんだ。俺たち自身、すごくエキサイトしているよ。

取材・文 山崎智之
Photo by Tim Tonckoe, Ryan Garrison

サバトン『ザ・ラスト・スタンド』
2016年8月19日 世界同時発売
【日本盤限定ボーナストラック収録/歌詞対訳付き/日本語解説書封入/日本語字幕付き】
【初回限定盤CD+ライヴDVD】 ¥3,500+税
【通常盤CD】 ¥2,500+税
【通販限定100セット限定サイン付き初回限定盤CD+ライヴDVD+Tシャツ】¥7,500+税
1.スパルタ
2.ラスト・ダイイング・ブレス
3.ブラッド・オブ・バノックバーン
4.ダイアリー・オブ・アン・アンノウン・ソルジャー
5.ザ・ロスト・バタリオン
6.ロークズ・ドリフト
7.ザ・ラスト・スタンド
8.ヒル 3234
9.SHIROYAMA
10.ウィングド・ハザーズ
11.ザ・ラスト・バトル
初回限定盤ボーナストラック
12.カモフラージュ(スタン・リッジウェイ カヴァー)
13.オール・ガンズ・ブレイジング(ジューダス・プリースト カヴァー)
日本盤限定ボーナストラック
14.バーン・イン・ヘル(トゥイステッド・シスター カヴァー)
ボーナスDVD《2016年2月24日フランス・ナント公演》
1.ザ・マーチ・トゥ・ウォー
2.ゴースト・ディヴィジョン
3.ファー・フロム・ザ・フェイム
4.アップライジング
5.ミッドウェイ
6.ゴット・ミット・ウンス
7.レジスト・アンド・バイト
8.ウルフパック
9.ドミニウム・マリス・バルティック
10.カロルス・レックス
11.スウェディッシュ・ペイガンズ
12.ソルジャー・オブ・スリー・アーミーズ
13.アッテロ・ドミナトゥス
14.ジ・アート・オブ・ウォー
15.ウィンド・オブ・チェンジ
16.トゥ・ヘル・アンド・バック
17.ナイト・ウィッチズ
18.プリモ・ヴィクトリア
19.メタル・クルー

【メンバー】
ヨアキム・ブローデン(ヴォーカル)
パル・スンドストロム(ベース)
クリス・ローランド(ギター)
トッベ・エングランド(ギター)
ハネス・ヴァン・ダール(ドラムス)

最終更新:9/5(月) 16:03

BARKS

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