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<北朝鮮内部>「行方不明か脱北か」再調査開始 幹部・住民の不安増大 身内脱北なら追放など処罰(写真2枚)

アジアプレス・ネットワーク 9月1日(木)5時10分配信

◆膨大な行方不明から脱北者を摘出

秘密警察の国家安全保衛部が、最近、行方不明者の再調査を開始したと、咸鏡北道に住む取材協力者が26日に伝えてきた。(カン・ジウォン)

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この取材協力者は、保衛部の調査を受けた複数の住民に会って話を聞き、次のように伝えてきた。
「調査は保衛部要員と保安員(警察)、人民班長で行われ、行方不明者の家族の家を訪問するか、保衛部に呼ぶ形で進めている。過去に家族が行方不明になった状況について再尋問している。保衛部では、行方不明者の過去の犯罪を含めた履歴…中国との密輸に関わった、華僑と接触があった、密輸ルートを介してお金を受け取ったことがあったなどと照らし合わせ、1韓国逃亡、2中国逃亡、3本当の行方不明 、と可能性を三分類することが調査目的だと行方不明者の家族に伝えたそうだ」。

ただ、この協力者は、自分の居住する郡の多数の人民班で調査が進行中だが、それが全国的に進められているのかは不明だと付け加えた。

1990年代の大社会混乱以降、中国との国境地域では膨大な数の住民が行方不明になった。保衛部と保安当局では逐一調査をし、もし韓国はじめ外国に脱出していることが確認された場合、北朝鮮に残った家族を国境から離れた地域に強制移住(追放)してきた。

そうした不利益を被ることを知っている行方不明者の家族は、調査に対してあくまで「家を出た後、どこに行ったかわからない」と主張して、決して脱北したとは言わない。また賄賂を使って制裁を避けるケースも多かった。

取材協力者は自身の知り合いのケースについて次のように述べる。
「○年前に中国に越境した娘のために保衛部の調査を受けることになった知り合いは、行方不明になった娘につにいて『食べるものもなく、暮らしが辛くて何度も水に飛び込んで死ぬと言っていた。生きているのかどうかわからない』と、ずっと虚偽の陳述をしていた」。

◆幹部や保安要員も身内が脱北

今回の保衛部による行方不明者の再調査は、民心に悪影響を与えるだろうと見る脱北者もいる。北部国境地域に暮らし、2011年に脱北して韓国に定着した男性は、次のように述べた。

「国境地域では、過去に大勢の住民が脱北している。幹部や保安機関員にも身内に脱北した者がいるケースが少なくない。行方不明者の調査を徹底して、家族、親戚まで追放・処罰すれば、ただでは済まない幹部もたくさんいるはずだ。それで行方不明者の調査をあいまいにしてきた部分があった。すべての行方不明事案を厳密に調査するようなことになれば、住民が動揺し、民心も悪化して国境都市はどこも混乱するだろう」。

この度の行方不明者の再調査は、韓国や日本などに逃れた人たちが家族を呼び寄せる「脱北の連鎖」を防止することと、北朝鮮国内と韓国・日本などを結ぶカネと通信のラインを遮断しようというのが当局の目的だと思われる。また、身内が脱北すれば家族に累が及ぶという恐怖を植え付けることも目的だろう。

最終更新:9月1日(木)5時10分

アジアプレス・ネットワーク