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【LINE上場のなぞ(下)】日米同時上場を逆手にとって、韓国親会社の支配権を維持

ニュースソクラ 9月1日(木)12時10分配信

流通株比率の「抜け道」に使う?

 LINEの上場は上場に至るまでの経緯も含めて大いに問題がある。

 韓国ネイバーとLINEの議決権種類株適用の申し出が、サイバーダイン、あるいはグーグルやフェイスブックとは決定的に異なる点がある。

 それは、LINEが多数の議決権を与えるのが親会社のネイバーだったということである。

 LINEの主幹事の野村証券の関係者は「東証はLINEが日本の東証を飛び越えて、海外で上場されることを恐れていた。だからLINEの申し出には柔軟に対応してきたはずだ」と振り返る。そうした事情も手伝って東証は大型新規上場案件のLINEに対しては宥和的に接してきたらしいが、さすがにこれはなかなか飲めない。
 
 「株主平等の原則から親会社のネイバーに与えるというのですが、すると100%出資しているネイバーが、ものすごい議決権を有することになる。これはおかしいと思いましたね」。そう東証幹部は打ち明ける。

 そうこうするうちにLINEは上場申請後の2015年6月、「日本の会社法で認められている」と称して議決権種類株を強行し、親会社のネイバーに発行するとともに幹部社員のストック・オプションの新株予約権にも使うことにした。これはLINEの議決権種類株に躊躇していた東証を強引に容認に傾けさせるための、「既成事実の積み重ね」ではなかったか。
 
 しかし、さすがに強引な手法ゆえ、東証内にもLINEに対して冷ややかな空気が蔓延しはじめ、上場を認めないとチラつかすようになった。結局、LINEは今年、議決権種類株をすべて普通株に戻すことにし、議決権種類株のスキームを解消することで導入を断念した。

 事情を知る人は「LINEのやり方は、あまりにも制度の悪用としか思えなかった。こんなことを認めたらネイバーは未来永劫、LINEを支配しつづけることができる」と指摘する。

 ところが、これで一件落着とはいかない。議決権種類株の導入をあきらめたLINEが、次に打ち出した「奇策」が米国を先行させる形での日米同時上場だったのである。
 
 東証は上場審査基準の中で市場に出回る株式の比率を東証一部ならば35%以上と定めているが、2014年に「外国で上場している場合はこの限りではない」と外国上場銘柄は流通株の比率規制を適用しないと規制を緩和している。

 米ニューヨーク証券取引所やナスダックにはこうした流通株式の比率の規制がなく、もし米国で株式を公開した企業が日本でも上場した場合は日本独自の規制が過重になってしまう。そこで海外上場のケースについては、この規制を緩和することにしたのである。

 そして、これを逆手にとったのがLINEだった。

 LINEは東証の審査と並走してニューヨーク証券取引所に上場申請を行い、一日早い7月14日に上場している。これにより本来は「35%以上」を市場に流通させないといけないという流通比率規制を完全に免れることに成功したのである。

 ほとんどサービスを展開しておらず知名度がまったくない米国で、なぜ上場を急ぐ必要があったのか。その背景にあるのは日本の規制をすり抜けようという魂胆だったのではないか――。

 この結果、東証のルールでは本来35%以上が必要なのにLINEの株式は20%弱しか流通していない。韓国の親会社のネイバーが81%も持ったままなのだ。

 議決権種類株の要求といい、日米同時上場による流通規制の抜け道といい、それほどまでにネイバーが支配権にこだわる真意は何なのか、謎である。

          ◇           ◇

 ニュースソクラの「日米同時上場は東証の例外規定を適用させるためだったのではないか」との問い合わせに対し、LINE広報は以下のように回答している。
 「ご質問いただいたような目的はございません。日米同時上場という選択を行った目的についてご回答申し上げます。東京証券取引所に関しては、LINEは日本の会社であり、東証は日本最大のマーケットであるため決定いたしました。また、ニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場は、慎重に検討をかさねてまいりましたが、世界のサービスと同じ市場に上場し、同様の基準で評価いただきたいという考えのもと決定いたしました。さらに、NYSEに上場することでグローバルでのブランド強化に繋がると考えています。また、LINEはこれまでもチャレンジを続けてきた会社です。今回の日米同時上場は、世界にチャレンジしていくという意思表示でもあります」

ニュースソクラ編集部

最終更新:9月1日(木)12時10分

ニュースソクラ