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「君の名は。」新海誠監督の独特手法 3年ぶりの新作、魅力語る

福井新聞ONLINE 9月1日(木)8時25分配信

 公開中の長編アニメ映画「君の名は。」を手掛けた新海誠監督(43)がこのほど福井新聞社を訪れ、「『楽しい』がありながらも、自分がテーマとしてきた『切なさ』『泣ける』要素がある。見終わった後、大切な人を考えるような作品に仕上がった」と新作の魅力を語った。

 「君の名は。」は、「秒速5センチメートル」「言の葉の庭」など意欲的作品を世に送り出した新海監督の3年ぶり6作目。美しい色彩と繊細な言葉で紡ぎ出す世界観は「デジタル時代の映像文学」と評される。新海監督が原作・脚本を手掛け、小説化もされている。千年ぶりという彗星の接近が1カ月後に迫った日本を舞台に、夢の中で入れ替わる少年と少女の恋と奇跡の物語を、映像美と壮大なスケールで描き出した。

 山深い田舎町に暮らす女子高生の宮水三葉(みつは)(声・上白石萌音さん)と、東京で暮らす男子高生、立花瀧(たき)(声・神木隆之介さん)が主人公。憂鬱な毎日を過ごし、都会に憧れを抱いていた三葉はある日、自分が東京の男子高生になった夢を見る。瀧も、行ったこともない山奥の町で、自分が女子高生になっている奇妙な夢を見ており、2人はやがて現実の世界で心と体が入れ替わっていることに気付く。そこには意外な真実が待ち受けていた―という物語。

 「夢と知りせば 覚めざらましを」―。古今和歌集の小野小町の和歌と、男の子を「姫君」として、女の子を「若君」として育てる平安時代の「とりかへばや物語」から着想を得て物語の構成を組み立てたという。「夢の中で入れ替わって、出会うはずのない人と出会ってしまった」ことを軸に描写、「忘れてしまうことに、必死で抗(あらが)おうとする少年少女の姿は見どころの一つ」と話す。

 「作品を象徴する存在になってほしい」と神木さんをキャスティング。「中性的な魅力で、男女入れ替わりの難しい役どころをうまくこなしてくれた」と絶賛する。

 長澤まさみさん、市原悦子さんらが声の出演で脇を固める。キャスト陣に渡すビデオコンテには、監督自らせりふを読んだ声や効果音を入れ込んだ。「リズムをつかんで、芝居のニュアンスを膨らませてもらいたい」という新海監督独特の映画作りの手法だ。

 脚本に合わせ、BGMを含め26曲を生み出したのは「RADWIMPS」。「刺激し合いながら一緒に作品を作り上げた」とし、「曲のイメージや歌詞によって演出やシーンの流れを直した」と語る。

 企画が始動したのは2014年7月。5カ月後に脚本をほぼ書き終えた後、1年半をかけて映画を完成させた。作画監督は安藤雅司さん、キャラクターデザインは田中将賀さんが務める。

福井新聞社

最終更新:9月1日(木)8時25分

福井新聞ONLINE