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リオ超人烈伝「ただ一人の「勝者」となるために」 ~パラサイクリング・藤田征樹~

カンパラプレス 9月1日(木)21時6分配信

「冷静沈着」という言葉は、彼のためにあるようにさえ思えるほど、落ち着いている。だが、内に秘めているものが誰よりも熱いことは、言葉の端々から伺い知れる。「他者との勝負の前に、まずは自分に勝つこと」が大事とされる自転車競技は、ストイックなまでに自分を追い込むことが必要とされる。そんな過酷な競技に挑戦し続ける藤田征樹とは――。

競技とは、自分への挑戦

――なぜ、過酷な競技をやり続けているのか。
 この質問に、藤田は少し間を置き、こう答えた。
「自分への挑戦なのかもしれないですね」
 そして、こう続けた。

「自転車レースのトレーニングって、『練習』というより、『訓練』なんです。もちろん、技術的な練習はとても重要ですが、基本的には訓練によって、より強度が高く持続時間の長い運動に体を順応させるというのが大切です。しかしそれは、すぐに成果が出るわけではありません。ティッシュペーパーをさらに1枚1枚に分けたような薄いものを、ちょっとずつ積み重ねていく。そんな感じです。そうして、本番では『しっかりと苦しむ』という覚悟を決めて臨むこと。勝つためには、ライバルもみんな苦しい中で、そこでいかに苦しいのを我慢できるか、なんです」

 周囲から見れば、藤田には十分、自分への厳しさがあるように感じられる。しかし4年前、自分の甘えた考えに気づかされたことがあったという。
「当時も本気で『もっと強くなりたい』と思っていました。でも、自分の目標のために、節制したり自分に厳しくしていたつもりでも、やっぱり考え方に甘い部分があったな、と。今考えると、確かにそうだったなと思いますが、その時はわかっていませんでした。そこを厳しく、的確に指摘してくれた人がいたんです」

 それ以降、練習はもちろん、普段の生活においても、競技者としてどうあるべきかをより真剣に考えるようになったという。昨年、2009年以来、6年ぶりに挙げた1勝は、その延長線上にあった。

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最終更新:9月1日(木)21時31分

カンパラプレス