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レジェンドが語るTOP14の魅力。~齊藤祐也編~

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン) 9/1(木) 21:02配信

いよいよ始まった、世界最高のスターが集う夢のリーグ戦、ラグビー フランスリーグ「TOP14」、開幕戦のボルドー・ベグルとラシン92を解説した元日本代表No.8の齊藤祐也さんに、振り返りとリーグ戦の展望を解説していただいた。齊藤さんは、自身が2002年のシーズンにフランスリーグのコロミエに加入、日本人のFW選手として初めて欧州のプロクラブで契約を勝ち取った選手となりました。プレーヤーとして豊富な経験を持ち、海外へのチャレンジスピリットも抱いていた齊藤祐也さんは、五郎丸選手が挑戦しようとしているTOP14をどう見ているのか?開幕戦収録を終えた直後の、湯気が出そうに熱いインタビューです!

レジェンドが語るTOP14の魅力。~大畑大介編~

―ボルドー・べグル対ラシン92の開幕戦はどのような感想を持ちましたか?
予想外の展開でしたね。お互いにミスも多かったし、アグレッシブにディフェンスしている部分もあったんですけど、結果的にキック合戦になってしまったなと思いますね。ボルドー・べグルの入りはすごく良かったですね。前半の入りと後半の入りも良く外に展開して、ボールをキープしていたんですけど、やはりそれだけではラシン92のディフェンスは崩せなかった。やはり、ボールキャリアが前にでられなかったことが大きかったかなと思いますね。一方のラシン92も手詰まりというか、ボールを持っていても人を探すような、なにか意図的にアタックできてないなというのは感じましたね。

―解説でもおっしゃっていたましたが、ブレイクダウンが淡泊だった?
ラシン92は昨シーズンの決勝が6月で、優勝して終わったばかりで、まだリフレッシュできてないんじゃないかな。やはり、長いシーズンを戦って2か月後にスタートするというのは、なかなか難しいですよね。やはり層が厚いチームで、若手がどんどん入ってきて、うまく開幕戦にも入っていけるような形にしていかないと、フランスリーグは大変なんだなと思いました。

―長いシーズンをずっと100%の力で戦うというのは難しいんでしょうか?
ほぼないですね。フランスリーグは、ケガ人などが出たらすぐにエスポワール、つまり下の若い選手を引っ張り上げるんですが、それでも使えないなと思ったら他チームから即戦力の選手を移籍させてしまうということもありますから。それだけ総力戦なんですよね。

―齊藤さんがいたころと比べて外国選手が増えていますが、フランスリーグに影響はありますか?
影響していると思います。練習の仕方からまず違いましたね。今でこそオフロードパスという言葉があって、どんどん投げられるときは味方にパスを繋げていくんですけど、昔は意図的にオフロードパスをするというよりも、パサーはスぺースに必ずサポートが来ているという前提でスペースへ、たとえばノールックパスでも必ずそこにいるという前提でパスを出してくれるというサポートの仕方だったんですよね。実際には、ディフェンスの仕方も今は厳しくなっていますから、パスコースに入られてしまえばもちろん無理なんですが、当時は南半球のラグビーとフランスの融合したアグレッシブさみたいなものもありましたし。

―日本のファンには、トップリーグ、スーパーラグビーのほうが馴染みがあると思いますが、改めてTOP14の面白さというのはどういうとこにありますか?
たとえば、RCトゥーロンであったり、もちろんラシン92もそうなんですけど、各国のスター選手、ランナー、ボールキャリアが揃っている。いろいろなバックグラウンドを持った選手がいます。そういう選手をどこで使うか。日本のトップリーグは、外国の選手をエースとしてうまく使うんですけど、フランスでも外国のトップ選手をボールキャリアとしていい状態でアタックさせればまた変わってくるのかなという期待がありますね。

―今回、五郎丸選手がRCトゥーロンに移籍しましたが?
昨年のワールドカップであれだけの結果を出したことで、これだけのチャンスをもらえている。うらやましいですよね。ましてやTOP14のシーズンは長いので、必ず試合に出る機会はあるので、そこでいかに自分の良さを、結果を出すのかが大事ですね。あとは、フランスはレフリーが使うのもフランス語ですし、英語が通用しない中で、いかにコミュニケーションをとるかだと思いますね。五郎丸の場合はポジション的にも言葉が大事ですから。僕の場合は、FWだとそこまで密にコミュニケーションとらなくても、数字だけ、あとは「ボールくれ」というだけでできましたが(笑)。

―五郎丸選手はどういう部分で力を発揮できると思いますか?
ランプレーももちろん通用すると思います。もちろん、キック、守備もそうですし、カウンターアタック、どれも活躍できると思います。ただ、個々の局面でのアグレッシブさ、嫌なプレーってスーパーラグビーとまた違う部分があるんですよね。そこに慣れるまで少し時間がかかると思う。そこを我慢して怪我をしないで、時間をかけてフィットしてほしいというのが僕の経験から言えることですね。すぐに結果を出そうとか、すぐに慣れようとかすると痛い目に合っちゃうかなと思います。

―やはり齊藤さんも時間がかかりましたか?
かかったし、怪我もしました。早く試合に出たい、アピールしたいという思いが強くて、疲れていても無理して出ようとして、よけいに体調を崩してしまった。グラウンドの中でのコンディションのフィットもあるんですが、シーズン長いですから外のところでもじっくり時間をかけて、最後に活躍したんだという結果を見せてほしいですね。

―日本のファンのみなさんにも急がないで待ってほしい?
そうですね。ファンはどうしてもすぐ期待をしちゃいますからね。その気持ちは分かりますが、長い目で見てあげてほしい。やっぱりスーパーラグビーであの怪我をしたのも、早くいい結果を残そうという気持ちが全面に出すぎた結果かなと思いますしね。

―ダン・カーター(ラシン92のスタンドオフ、元ニュージーランド代表)のようなベテランの選手達は焦らないで自分のプレーをしているなと思いますか?
今日の試合でも、カーターがやっぱり世界一だなと思ったのは、危機管理能力が高い。ここというところでタックルしますし、ターンオーバーしますし、ボール出しを遅らせますし、あのへんをみるとやっぱり素晴らしいなと思いますね。

―移動の多さもTOP14の特徴と言われますね。
そうですね。国内の移動はほとんどバスでした。片道8時間くらいはザラでしたね。それはやっぱり大変です(笑)。そういった中でプロの生活をしていくので、グラウンドの中だけのフィットじゃないということがキーですね。グラウンドでのプレーのことばかり考えると怪我をしてしまいますし。五郎丸選手も1、2ヶ月でフィットさせようとするのではなく、長い目でみてフィットさせていく。中長期的なプランをたてたほうがいいかなと思います。

―五郎丸選手の入団会見をみて、コメントを聞いて、どんな感想を持ちましたか?
やっぱり自信をすごく持っていますよね。それだけ去年のワールドカップで戦ったあの結果がすごく大きいんだなと思います。ただ、長いシーズンを考えると、同じようなコンディションをずっと保てるわけではない。これは五郎丸選手もスーパーラグビーで経験していてわかっているとは思うんですが、TOP14はスーパーラグビーよりも厳しくなると思うので。

―スーパーラグビーより厳しくなるというのは?
フィジカルもそうだし、試合数、グラウンドの中を含めた環境ですね。世界のトップ選手でも、言葉の面とかを含めてストレスが多くて、イライラして反則することが多いですからね。メンタルのコントロールはすごく大事ですね。

―そういう意味でも、結果を急ぎすぎないでしっかりとやっていくのが良いというのが齊藤さんからのアドバイスということですね?
もちろんすぐに結果がみたいですけど、自分の経験から言うと焦らないでじっくりやっていってほしいなと思いますね。時間をかけて適応していけば、きっといい結果を出せると思いますから。ファンのみなさんも、それまでは五郎丸選手だけじゃない、フランスリーグの楽しさを見ていただきたいですね。


齊藤祐也(さいとう ゆうや)

プロフィール
1977年4月28日生まれ。東京都出身。
東京高校1年からラグビーを始め、ラグビー歴わずか2年弱の高校2年で高校日本代表に選出される。東京高校では、攻撃の要であるNO.8(ナンバーエイト)として活躍し、全国高等学校ラグビーフットボール大会(花園)へ初出場の立役者となる。高校卒業後はラグビーの名門・明治大学に入学し、1年生からレギュラーを獲得。全国大学ラグビー選手権に出場し優勝。
大学卒業後はサントリーに入社し、一年目のシーズンからレギュラーを獲得し、「日本ラグビーフットボール選手権大会」連覇など社会人でもタイトル獲得に貢献。2002年、フランスリーグのコロミエに海外移籍。日本人離れした恵まれた体型から繰り出されるパワーとスピードを武器に、フォワードとして日本人初のプロ契約選手となった。帰国後、神戸製鋼とプロ契約し、一年目のシーズンで「ジャパンラグビートップリーグ」初年度の優勝に貢献。その後、豊田自動織機所属時には、トップリーグ昇格の原動力となった。2003年ワールドカップなど日本代表キャップ14。185cm、92kg。

詳しくは、 WOWOW番組オフィシャルサイトへ。

最終更新:9/1(木) 21:02

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)