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【東京歴史散歩】江戸情緒あふれる「矢切の渡し」

TOKYO FM+ 9/1(木) 12:00配信

8月も終わり、そろそろ秋が近づいてきました。夏が終わるのは寂しいですが、秋は秋で気持ちの良い行楽シーズン。今回はそんな秋にぴったりの、江戸情緒あふれる東京の歴史散歩スポット「矢切の渡し」をご紹介します。

江戸時代、水の都だった江戸の町。交通の中心も多くが「舟」でした。
そんな中、活躍したのが「渡し場」。
小舟で川を行ったり来たりする渡し船の停留所です。
渡し場に面した場所は数多くの露店や旅籠が栄えました。

そんな渡し場の中で都内唯一、現存している場所があります。
そう、皆さんご存知「矢切の渡し」です。
歌謡曲や小説などで有名なので、知っている方は多いと思いますが、実際、舟に乗ったという方は少ないのではないでしょうか。

矢切の渡しは、東京都の柴又と、千葉県の松戸市下矢切とを往復する渡し。
江戸時代に作られましたが、当時から江戸川唯一の渡し場でした。
この時代、江戸への出入りは厳しく規制されており、関所破りは張り付けにされるほどの重罪。
ですが、農民たちが農作業の際、わざわざ松戸の関所まで遠回りをするのは大変です。
そこで幕府が特例として、江戸川の両岸に田畑を持つ農民のみ、この渡しを使っていいことにしたのです。

矢切は、伊藤左千夫の小説「野菊の墓」の舞台として有名な場所。
土地名としては「やきり」と濁音はつかないのが正式ですが、「矢切の渡し」というときは「やぎり」と濁音になるそう。
また、バス停や駅名なども「やぎり」と濁るそうです。

矢切の渡しは、今でも手漕ぎ船。
情緒たっぷりの木製の渡し船で、向こう岸まで運んでくれます。
所要時間は5分、料金はなんと200円(大人片道料金)。
柴又で下町を楽しんだ後は、江戸の農民の気持ちになって船で江戸川を渡り、矢切に着いたら「野菊の墓」の悲しい恋に思いを馳せる……。

これから来る行楽シーズン。
秋のお散歩コースに、こんなプランはいかがでしょうか。

(TOKYO FMの番組「シンクロのシティ」2016年8月31日放送より)

文/岡本清香

最終更新:9/1(木) 12:00

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