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トランプ氏、移民と貿易でトーンダウン メキシコ大統領と会談後

ウォール・ストリート・ジャーナル 9月1日(木)8時22分配信

【メキシコシティ】米共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏は8月31日、メキシコのペニャニエト大統領との会談後に行った会見で、これまで目玉にしてきた貿易と移民に関する厳しい姿勢を和らげた。

 これまで米国とメキシコの国境に壁を建設すると訴えてきたトランプ氏。同会見では、その壁に関する責任が「共有される」だろうと述べた。約1時間にわたるペニャニエト大統領との会談中、誰が建設費を支払うのかについては話さなかったとしている。これまでは、メキシコに支払わせると繰り返し述べていた。

 トランプ氏は「私たちは壁について議論した」とし、「壁の費用については議論しなかった」述べた。

 会談終了後、トランプ氏とペニャニエト大統領は事前に用意した声明を発表し、短時間ながら記者団からの質問を受けた。

 トランプ氏はこれまで、自身が大統領に当選した際には米国を北米自由貿易協定(NAFTA)から脱退させると訴えていたが、今回はNAFTAの「改善」に努めると述べた。また、製造業を「私たちの領域」、つまり北米にとどめる意向を示した。これまでは、米国内の雇用を維持し、メキシコに移転する企業を罰すると訴えていた。

 一方のペニャニエト大統領は、トランプ氏が選挙戦で示している案のいくつかを激しく非難したが、同氏を名指しで批判することはなかった。そして、両国が協力するよう訴えた。

 同大統領は、選挙戦で「言われていることがメキシコ国民の感情を害した」と発言。不法移民は10年ぶりの低水準にあると話し、両国の経済活動は互いの利益になっていると強調した。NAFTAについては、米経済の追い風だと述べたうえで、「現況の反映」を歓迎する姿勢を示した。

 ペニャニエト大統領、トランプ氏とも、会談は丁重だが率直なものだったと表現。トランプ氏は大統領官邸に招待されたことは「非常に光栄」だと話し、ペニャニエト大統領はトランプ氏がメキシコを訪問することで同国と協力する意向を示したと話した。

 トランプ氏は原稿に目をやりながら、メキシコがNAFTAから受けてきた恩恵は米国が受けてきた恩恵よりはるかに大きいと述べた。一方、ペニャニエト大統領は「どこにいようとメキシコ人を守ること」が自身の優先事項だと話した。

 トランプ氏の選挙活動にはこのところ変化がみられるが、突然のメキシコ訪問もその一環と言える。トランプ陣営が今回の訪問を発表したのは前日の夜だった。訪問の数時間後には、移民政策の概要に関する演説を予定している。

 同陣営は移民の制限を強く訴えてきたが、トランプ氏はここ数週、不法移民1100万人の「強制送還部隊」を創設する案から後退しようとしている。先週にはFOXニュースで、送還を求めるのは罪を犯した不法移民だけだと語っていた。

 トランプ氏の支持者は今回の訪問について、主要な国内政策課題でのリーダーシップを示すための動きだと話している。

By REID J. EPSTEIN, SANTIAGO PEREZ and DAVID LUHNOW

最終更新:9月1日(木)9時7分

ウォール・ストリート・ジャーナル