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社説[沖縄予算概算要求]振興体制の検証始めよ

沖縄タイムス 9/1(木) 7:20配信

 内閣府は2017年度沖縄振興予算の概算要求をまとめ財務省に提出した。要求額は3210億円で、16年度当初予算と比べると140億円、4・2%の減である。

 前年度当初予算を下回ったのは、第2次安倍政権発足後、初めてのことだ。

 基地と振興策の「リンク論」が政権内で露骨に語られる中、新基地建設を巡る国と県の対立が影を落としている。

 要求総額を押し下げた大きな要因は、275億円のマイナスとなった沖縄振興一括交付金である。

 国が指摘する「不用額や繰り越しの多さ」は、県も謙虚に受け止めなければならない。どこが問題か、一括交付金の検証が必要だ。

 ただ以前に比べ執行率が改善する中での大幅減額である。使う側にとって自由度の高いお金が、配分する側にとって「操作」のしやすいもろ刃の剣になってはいないか。

 沖縄予算は「21年度まで毎年3千億円台の確保」が、安倍晋三首相と仲井真弘多前知事との間で約束されている。

 しかし、予算の内容を細かく見ていくと、県が別枠要請していた沖縄科学技術大学院大学(OIST)関連経費や那覇空港滑走路増設事業費などが総額に含まれている。

 OISTはオールジャパンの施設で、事業スタート時に沖縄担当相は「沖縄予算に迷惑をかけない」と話していた。滑走路増設も自衛隊の使用を前提にしたものだ。沖縄予算からこれら事業費を捻出することには強い疑問が残る。

 年末の予算編成に向け、国と県で再度調整してもらいたい。

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 釈然としないのは、概算要求に初めて盛り込まれた沖縄・地域安全パトロール事業費の8億7千万円である。

 元海兵隊員による女性暴行殺人事件を受け、沖縄総合事務局が雇用する200人の非常勤職員が100台の車両を使って県内の繁華街をパトロールするための費用という。

 県民の安全を守る仕事は重要だが、警察権限を持たない職員の巡回にどれだけの効果があるのか。費用対効果を十分検討した上での要求なのか。沖縄振興の予算を米軍関係者による犯罪の再発防止のために使うことも疑問だ。

 成果を注視しているのは、2年目となる子どもの貧困緊急対策事業である。

 支援員の配置や子ども食堂など居場所づくりが進んでおり、今後は保護者の就労支援などでも目に見える成果を期待したい。

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 沖縄振興特別措置法に基づく10年単位の沖縄振興計画「沖縄21世紀ビジョン基本計画」は、来年度6年目となり、後期に入る。

 振興策が基地受け入れの「見返り」でないことは沖振法を読めば分かるが、政府の沖縄振興策が日米安保を維持するための装置として機能してきた側面は否めない。

 来年度以降、ポスト振計の議論が始まる。沖縄予算を巡る本土側の誤解を解くことが極めて重要な課題になっており、一括計上方式のメリット、デメリットを検証し、沖縄振興体制に全面的にメスを入れるべきである。

最終更新:9/1(木) 7:20

沖縄タイムス

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