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偉大な兄に挑む「孫泰蔵」式、進化したVCが社会に衝撃

Bloomberg 9月1日(木)13時8分配信

新興企業育成を手がける孫泰蔵氏(43)の兄は、ソフトバンクグループ社長の正義氏(59)だ。買収を繰り返し世界的な経営者として名を上げた偉大な兄に対し、泰蔵氏は別の方法で社会を変えようとしている。

泰蔵氏は8月30日のインタビューで、2013年に立ち上げ、今年、活動を本格化させたMISTLETOE(ミスルトウ、宿り木の意)について「進化したベンチャーキャピタル(VC)」だと語った。医療や教育、住まい、農業などのテーマに沿って新興企業に出資し、専門家と一緒に支援する。泰蔵氏は社長を務め、起業家の活動を支える場として、秩父宮ラグビー場(東京都港区)の目の前にあるビルに、約1300平方メートルのオフィスを構えた。

投資基準は社会に衝撃を与えられること。これまでに30社から40社の新興企業に対し、約100億円を投資した。資金は全て泰蔵氏が提供しており、回収までの期間を通常のVCより長めの10ー15年に設定する。起業家のアイデアを形にするため、共同創業したり泰蔵氏自身が会社を作ったりする場合もある。

社会的な影響を考慮しない投資に「ちょっと飽きた」と泰蔵氏は述べた。東京大学在学中からヤフーの立ち上げに参画し、創業したガンホー・オンライン・エンターテイメントは大人気ゲームを生み出した。刺激的で面白かったが、まだまだ社会には問題があふれている。もっと直接的に問題を解決する方法に「だんだん興味が湧いてきた」という。

転機

きっかけは11年3月に発生した東日本大震災だった。日々、伝えられる惨状にショックを受けた。個人的に支援物資を送ったが、「役に立ってないな」という気持ちがあったという。非常事態にこそ役立つテクノロジーを作るべきだ、という思いは強まっていった。

インターネットの進化も、泰蔵氏の思いを後押しした。パソコンやスマートフォンの画面にとどまっていたインターネットがさまざまなものにつながり、新しい方法で使われるIoTの時代になった。泰蔵氏は「インターネットがいよいよ画面の外に飛び出してきた」と言い、災害時でも「できることはいっぱいある」と話す。

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最終更新:9月1日(木)13時8分

Bloomberg