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金融安定への影響、米利上げ論議の中心に台頭-地区連銀総裁発言で

Bloomberg 9月1日(木)13時56分配信

米国で低インフレの持続が見込まれる中、利上げを支持する金融当局者は行動のための新たな理由として金融安定の維持を挙げているが、利上げ先送りを提唱するエバンス・シカゴ連銀総裁はこうした意見を押し返そうと新たな論拠を持ち出した。

エバンス総裁は31日に北京の会合で行った講演で、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)の重要な疑問点に触れた。後で急ピッチな引き締めを行う必要性や金融リスクを回避するため、インフレ率が当局の目標とする2%に上昇する前に利上げする必要があるのか。あるいは、まず目標達成を優先し、その後もインフレ率が目標水準にとどまるよう確保すべきなのかという問題だ。

バークレイズの米国担当チーフエコノミスト、マイケル・ゲーペン氏は、8月26日のワイオミング州ジャクソンホールでのイエレン連邦準備制度理事会(FRB)議長講演は「前者の見方に一致する」と指摘。FOMCには「後者の見方を取るグループもあり、エバンス総裁はそこに属すると思う」と語った。

米当局が重視するインフレ指標は4年余りにわたり目標を下回り続けており、FRBスタッフの予想では2018年も引き続き2%弱の水準が見込まれている。

7月のFOMC議事録によると、当局者の幾人かは「インフレが現在の予想よりも速いペースで高進した場合でも、当局には反応のための十分な時間があるだろう」と論じた一方、低金利の長期化が「投資家の利回り追求のインセンティブを高めた恐れがあり、資本の不適切な配分やリスクの評価ミスにつながりかねない」との懸念を幾人かの当局者が表明した。

ボストン連銀のローゼングレン総裁は同じ会合で、商業不動産の評価の高まりがリスクになり得ると警告。引き締めを緩やかに進められるよう、当局として早期に利上げを再開すべきだとの見解を示した。13年に量的緩和を段階的に縮小する議論が政策スタンス転換のシグナルとなり、利回りの急上昇を招いたため、こうした事態の再発を避けたい意向だ。

これに対しエバンス総裁は、インフレ目標が2%に達するまで利上げを先送りした場合に、その後の急ピッチな引き締め見通しが浮上しても、そのような懸念は生じないだろうと指摘。長期的に落ち着いた金利見通しが事業計画に織り込まれているとの生命保険業界幹部の話を引き合いに出し、短期的な政策の道筋にサプライズがあっても、低めの政策金利見通しが長期金利の上昇幅を抑制する役割を果たすことを、そのエピソードは示唆していると説明した。

原題:Fed Officials Push Financial Stability to Center of Rate Debate(抜粋)

Matthew Boesler

最終更新:9月1日(木)13時56分

Bloomberg