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アルツハイマー病の新薬開発 治験で「期待できる」効果

BBC News 9月1日(木)16時56分配信

キャロライン・パーキンソン、BBCニュースサイト、ヘルス編集長

アルツハイマー病の治療薬開発を進める米バイオジェン社とスイス・チューリッヒ大学のチームは、新薬候補の「アデュカヌマブ」の臨床試験で、患者の脳に形成されるアミロイドと呼ばれるたんぱく質の蓄積を減らすことができたと発表した。

研究結果は、1日付でネイチャー誌のウェブサイトに掲載された。

アデュカヌマブの新薬開発は依然として初期段階にあり、専門家たちは慎重姿勢を保っている。それでも、3段階ある治験のフェーズ2が終わった時点で、安全性が確認された上、記憶低下の抑制効果があるかもしれないと可能性が示された。

アデュカヌマブの臨床試験は、フェーズ3の開始に向けた準備が進んでいる。

アルツハイマー治療をめぐっては、アミロイドの蓄積に関する研究に長年焦点が当てられてきた。

治験から脱落者も

フェーズ2では、患者165人がアデュカヌマブの安全性などを確認する治験に参加した。

1年間の治験の結果、アデュカヌマブの投与量を増やすと、増加分に比例してアミロイド蓄積を除く効果が高まることが分かった。

その後、研究者らは記憶の試験を行い、「前向きな効果」が確認できたという。

しかし、40人が治験から脱落。半数は頭痛などの副作用が理由だという。投与量が増えると副作用も増えた。

フェーズ3では2つの治験が別々に実施される。認知力低下への効果を十分に試すため、北米と欧州、アジアでアルツハイマー病の初期段階にある患者2700人に、治験参加を呼び掛けている。

バイオジェンのアルフレッド・サンドロック氏は、「ぜひともフェーズ3を実施しなくてはならない。これまでの研究で分かったことが確認できると期待している」と述べ、「症状はないものの、脳にアミロイドがあって、将来アルツハイマーを発症する可能性が高い人を治療する日が来ることも考えられる」と語った。

大きな前進

しかし、アルツハイマー病治療薬の開発をめぐっては、多くの失敗例があり、最後に新薬が承認されてから10年以上がたっている。

ほかの専門家は、慎重ながらも今回の研究結果を歓迎した。

英慈善団体「アルツハイマーズ・リサーチUK」の専門家デイビッド・レノルズ氏は「新しい作用機序を持った薬が今後現れるという期待が持てる事例だ」と評価した。

英慈善団体「アルツハイマー協会」のジェームズ・ピケット氏は、「薬を多く摂取するとアミロイドの削減量も増えた。この点に非常に説得力がある」と評価し、「アルツハイマー病の仕組みに直接働きかける治療薬は現在ない。それだけに、アミロイド除去で病気の進行を実際に遅らせられる薬は大きな前進になる」と述べた。

しかし、エジンバラ大学の認知神経システムセンターのタラ・スパイアーズ=ジョーンズ氏は、「今回の治療薬については、慎重ながらも楽観的だが、多くの薬が治験の初期段階を完了した後、大規模治験で失敗しているので興奮しすぎないようにしている」と語った。

コレッジ・オブ・ロンドンで神経科学を教えるジョン・ハーディ教授は、「新しいデータは期待が持てるが、まだ最終的なものではない」と述べた。

(英語記事 Alzheimer's drug study gives 'tantalising' results)

(c) BBC News

最終更新:9月1日(木)17時2分

BBC News

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