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VMworld 2016で「NSX」「Virtual SAN」などの最新情報披露

アスキー 9月2日(金)7時0分配信

ヴイエムウェア「VMworld 2016」2日目の基調講演では、エンドユーザーコンピューティングからコンテナ管理、NSX、Virtual SANなど幅広い最新情報がもたらされた。
 ヴイエムウェア(VMware)がラスベガスで開催中の「VMworld 2016」。パット・ゲルシンガーCEOが登壇した1日目の基調講演は、同社が掲げる3つのビジョンの1つ、「Any Cloud」に関するものだった。では、残る2つのビジョン、「Any Application」「Any Device」についてはどのような戦略を持っているのか。これが2日目基調講演のテーマとなった。
 
 具体的にはエンドユーザーコンピューティング分野から、2つのコンテナプラットフォーム、SDNの「NSX」、SDSの「Virtual SAN」まで、幅広い製品の最新情報と導入事例が紹介された。
 
管理やセキュリティなど、包括的なエンドユーザーコンピューティング支援
 初めに登壇したのが、VMware エンドユーザーコンピューティング担当ゼネラルマネージャーのサンジェイ・プーネン氏である。プーネン氏は「Apps and Identity」「Desktop/Mobile」「Management and Security」という3つの観点から、エンドユーザーコンピューティング分野の最新情報を紹介。デモストレーションを交えながら講演を進めた。
 

 まず、Apps and Identityでは、2万人のヴイエムウェア社員が活用している「VMware Workspace ONE」の活用事例が紹介された。承認作業の簡素化や管理の容易性などを通じて、1000~1500万ドルのコスト削減を実現しているという。
 
 さらに、ゲストとしてセールスフォース・ドットコムのエグゼクティブVP、ステファニー・ブシェミ氏が登壇し、「Salesforce One」によるモバイルアプリの利用メリットを訴えた。なお、ヴイエムウェアとセールスフォースは2年前に協業を開始し、モバイルアプリの展開/管理を推進してきた。「お互いの製品を利用し合う、ビッグユーザー同士の関係でもある」(プーネン氏)。
 
 2つめのDesktop/Mobileでは、「VMware Horizon」がこの1年間で500もの新機能を追加したこと、「VMware AirWatch」のデバイス管理性も高まっていることなどが紹介された。Workspace ONEの活用によって「Office 365」の管理が簡素化され、Windows 10環境では1人あたり7000ドルの管理コストが15~30%削減できるというアピールもなされている。
 
 最後のManagement and Securityでは、「VMware Trust Point」の開発元であるタニアムの共同創業者、オリオン・ヒンダウィ氏が登壇。「Trust Point」を活用したエンドポイントセキュリティのデモを披露した。
 
 「Trust Pointは、デバイスを一括管理し、エンドポイントの環境をリアルタイムで把握できる。セキュリティ対策においては、いかに迅速に対応できるかが重視されるが、Trust Pointでは、短時間に、違反したデバイスや問題が発生したデバイスを特定できる」(ヒンダウィ氏)
 
 まとめとしてプーネン氏は、VMwareでは「Apps and Identity、Desktop/Mobile、Management and Securityを統合した、ユニファイドソリューションを提供できる」とアピールした。
 
2つのコンテナプラットフォームの最新機能
 続いて登壇したのは、ヴイエムウェアのCTO/CDOを務めるレイ・オファレル氏である。オファレル氏は「イノベーションにフォーカスできる製品を提供するのがCTOの役割だ」と語った。
 
 「デジタルトランスフォーメーションを進めるためには、クラウドネイティブアプリケーションを本番環境で活用しなくてはならない。そのためには、新たな技術を取り込む必要があり、エンタープライズクラスの拡張性、セキュリティ、信頼性が求められている」(オファレル氏)
 
 さらに、ヴイエムウェアのクラウドプラットフォームビジネスユニットCTOを務めるキット・コルバート氏も登壇し、昨年のVMworldで発表された2つのコンテナプラットフォーム、「VMware vSphere Integrated Containers」および「Photon Platform」について説明した。
 
 「コンテナが、ソフトウェア開発のライフサイクルを加速し、さらにアプリケーションデリバリを加速し、ビジネスを助けることになる。コンテナは、スタートアップの企業だけでなく、エンタープライズにも入り込んでいる。その点では、チャンスとともに、チャレンジも作り出しているといえる」(コルバート氏)
 
 これらの製品の新機能も紹介された。vSphere Integrated Containersでは、ジストリ機能とマネジメントコンソール機能を追加。これにより、IT部門は自社のアプリケーション部門に対して、既存のvSphere環境のインフラ上から、Dockerと互換性のあるインタフェースを提供できるほか、本番環境でも安心してコンテナを稼働させることができるようになるという。
 
 さらに、vSphere Integrated Containers向けのビルトインとして、開発者やアプリケーション部門が迅速なアプリケーションデリバリを行えるようにするコンテナ管理ポータル「Admiral」と、エンタープライズコンテナレジストリ「Harbor」をオープンソースソフトウェアとして提供する。ベータプログラムの登録開始もアナウンスした。
 
 また、クラウドネイティブ アプリケーションのプラットフォームであるPhoton Platformは、「VMware-Pivotal Cloud-Native Stack v1.0を提供。まもなく、KubernetesおよびNSXと組み合わせた製品も提供されることになる」と述べた。
 
VMware NSXが“前年比400%の高成長”を果たした理由
 再び登壇したオファレル氏は「こうした取り組みの根底にあるのがSDDCだ」と述べ、SDDCの導入事例のひとつとしてナイキを取り上げた。ナイキのシニアディレクター、マイク・ウィティグ氏は、nike.comサイトにおけるデジタル化の事例を説明した。
 
 「ナイキでデジタル化を推進する役割を担うのが、nike.com。そのためにデータセンターを構築し、そこにVMware NSXを導入した。結果として、nike.comの売上高は39%も増加した。また、ナイキの店舗においてはどの店舗からも在庫を確認できる環境も構築している。最先端技術を活用することで、こうした取り組みをナイキ全体に広げたい」(ウィティグ氏)
 
 NSXについては、ヴイエムウェア ネットワーキング&セキュリティ エグゼクティブVPのラジブ・ラマスワミ氏が紹介した。3年前に登場したNSXは現在、前年比400%の成長を遂げているという。「(急速な成長の)背景にあるのは、NSXを活用することで、セキュリティ、自動化、継続性といった課題を解決できるという点。ビジネスを大きく変えることができるのがNSXだ」(ラマスワミ氏)。
 
 しかしその一方で、NSXによるマイクロセグメンテーションのメリットはわかるものの、どう導入したらいいのかわからないという声があるという。ラマスワミ氏はその解決策として、無償提供されている「NSX Pre-Assessment Report」 で現在の状況を診断し、導入プランを策定後、簡単にデプロイが完了。物理/仮想環境のすべてを管理し、課題を見つけ出すことができる容易さを訴求した。
 
 「インフラの変化、アプリケーションの変化、脅威の変化など、システムを取り巻く環境には大きな変化がある。だが、NSXは管理を簡単にし、迅速に、セキュアな環境を実現できる」(ラマスワミ氏)
 
「Virtual SAN」導入顧客の6割はビジネスクリティカルアプリに利用
 「VMware Virtual SAN」に関しては、ヴイエムウェア ストレージ&アベイラヒリティ担当シニアVPのヤンビン・リー氏が説明を行った。リー氏によれば、ローンチから2年半が経過したVirtual SANは、金融、ヘルスケア、小売など幅広い業界で5000社以上の顧客が利用している。「Fortune 1000」企業の約4割が導入しており、導入顧客の6割はSQL ServerやOracle、SAPなど、ビジネスクリティカルなアプリに利用しているという。
 
 「なぜVirtual SANが活用されているのか。vSphereの一部であり、コンピューティングとストレージを一元管理できること。コスト削減によって、その予算を別の戦略的プロジェクトに振り分けることができるようになること。ハードウェアやクラウドプロバイダーの選択肢が広いこと。こうした理由が挙げられる。さらに、今年3月のVirtual SAN 6.3リリースによって、“エンタープライズレディ(エンタープライズ対応)”の製品になったことも大きな要素だ」(リー氏)
 
 エンタープライズレディな製品とするために、ビッグデータやコンテナへの対応といった「ワークロード」、ポリシー管理やインテリジェント機能を採用した「マネジメント」、Software-Defined技術で暗号化データを活用できる「セキュリティ」といった側面での強化が図られた。これにより、今回のVMworldで発表された「Cross-Cloud Architecture」に対応していくこともできとした。
 
 2日基調講演のまとめとして、オファレル氏は「Any Cloud」「Any Applicaton」「Any Device」というヴイエムウェアのビジョンにあらためて触れながら、次のように語った。
 
 「今日、ここに集まった皆さんは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウドと複数のクラウドに対応しなければならないことを認識する必要がある。これが『Any Cloud』だ。次に、従来型のアプリケーションとクラウドネイティブアプリの両方に対応する『Any Application』も実現していかなければならない。そして、これらのクラウドインフラやアプリケーションへ、IoTを含む幅広い種類のデバイス、つまり『Any Device』からアクセスすることになる。これがブイエムウェアのビジョンだ」(オファレル氏)
 
 オファレル氏は、聴衆が未来の成功をつかむためには、“Cross-Cloudな”ソリューションで未来に向けた準備が必要であり、それをヴイエムウェアと共に実現していこうと呼びかけた。「デジタルトランスフォーメーションのリーダーとなるチャンスを掴んでもらいたい。われわれが力を合わせることで、新たな時代に向けた準備ができる」(オファレル氏)
 
 
文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

最終更新:9月23日(金)19時4分

アスキー