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見えないハリルの狙い、大島には期待/玉乃淳のUAE戦レビュー

GOAL 9月2日(金)12時17分配信

 サッカー日本代表は1日、埼玉スタジアム2002でUAE代表とのロシアワールドカップ・アジア最終予選の第1戦に臨み、1-2で敗れた。

 サッカー解説者の玉乃淳さんにこの試合を振り返ってもらった。

――試合結果についての感想は?

最終予選は長いので結果よりも、チームとして今日のUAEのような実力のある相手に、どのように勝つのかの方法論があまり見えなかったことが、ワールドカップに出場したときのことを考えると不安です。相手が倒れていたり、ゲームが止まっていたりしたときにハリルホジッチ監督がどのような修正指示を送っていたのか。監督が戦況を見極めて、ゲーム中に細かい修正をしていたような感じがなかった。サイドバックが高い位置をとってサイドから崩すのか、中央からゴリゴリ崩すのか、11人の中で共通認識が取れていたようには見えませんでした。

――この試合の敗因はどこにあったと思いますか?

最初のポイントは、1点目のFKでの失点シーン。あれは完全にキーパーのミスです。こういう大事な試合の大事な局面でミスが出てしまうと正直厳しい。早い時間で追いつかれたという意味ではまだよかったのですが、そこから盛り返すためのハリルホジッチ監督の方法論が見えなかったですよね。試合の中で修正できたかというと、全くそうではなかった。

――二次予選の初戦のシンガポール戦でもホームで引き分け、最終予選の初戦もホームでUAEに負け。ハリルホジッチ監督は初戦の入り方が苦手なのでしょうか

シンガポール戦の場合はレベルの差があった。日本が一方的に攻めていたが相手のGKが物凄くあたっていた。今回の試合はレベルが拮抗している中で、シンガポール戦のように攻めていて、ただゴールが入らなかっただけという内容ならあまり問題視しませんが、今日の内容だったらもし勝っていても不安が残ったと思います。それぐらい試合の中でのハリルホジッチ監督の修正したい方向性の意図が見えなかったんですよね。攻撃のパターンが本当に見えかなかった。両サイドバックを高い位置に置いても、その後どう点を取るのか。今までの試合ではあの高い位置に宇佐美貴史選手などのアタッカーを置いて勝負させる戦い方もありましたが、今回はサイドバックに高い位置を取らせていた。それが狙いを持ってやっているのではなく、行き当たりばったりなのではないかという疑問を感じてしまいました。

――今日の試合で目立っていた選手は

やはり長谷部誠選手です。攻撃でも守備でも本当に素晴らしい活躍でした。長谷部選手が大島僚太選手を凌駕していたので、長谷部選手が前に出て行って空いたスペースを埋める役を大島がやるようになってしまっていた。大島選手がもっと力をつけて、その役割が逆転するようになるともっと面白くなると思います。川崎フロンターレで見せている大島選手のプレーですよね。今日は大島選手が川崎のときに一緒にボランチを組んでいるエドゥアルド・ネット選手の役割をやっていましたよね。川崎でやっているようなプレーを日本代表で見せるためには、技術、メンタル、連携、全てを高めていく必要があります。もっと自信を持ってプレーして「長谷部さん僕のプレーをサポートしてください」という主張ができるようになると、日本にとってかなりいいオプションになることは示せたと思います。凄く期待できる選手です。

――ハリルホジッチ監督の交代策については

一人目の交代は、組み立ての清武弘嗣選手から、より個で仕掛けられる宇佐美選手への交代でした。相手の足が止まってきてサイドにプレスにいけなくなり、中央に固まって守備をしていたので、サイドはフリーでボールを持てる状態でした。ですので、個で仕掛けられる宇佐美選手で崩そうという狙いはわかります。しかし、二人目の交代策は疑問です。相手が引いた状態でも点を取るのがうまい岡崎慎司選手はピッチに残しておきたかった。浅野拓磨選手は、相手が前に出てきて裏にスペースがあるときにより輝く選手。あの状況では得意の形を多く作るのは難しかったと思います。ただ、スペースがない中でも、浅野選手はよくチャンスを作っていたのはさすがです。岡崎選手と一緒に使ってあげても良かったんじゃないでしょうか。

――三人目の交代は大島選手から原口元気選手への交代でした

以前も原口選手を試合途中から追いつくためのオプションとしてボランチで起用することはありましたが、本当に最終手段という一手ですよね。スピードのある選手を中央で使って「個でなんとかしてくれ」というような交代で、あれは決して戦術的な交代とは呼べない。原口選手のボランチ起用が追いつくためのオプションとして本当に有効だと思っているのか。その交代、本当に本番のワールドカップでもやるんですか聞いてみたいですね。

――浅野選手のシュートは明らかにゴールラインを割っていましたが、審判の判定についてはいかがでしたか

 今日の試合は、審判の判定に文句をつけていると自分たちが抱えている問題を見失う可能性があります。UAEがちゃんと強かった。非常に魅力的なチームでしたよね。攻撃では10番のオマル・アブドゥルラフマン、11番のアハメド・ハリル、7番のアリ・マブフートの3人に怖さがありましたよね。守備ではGKのハリド・エイサがよかったですよね。少し危うさはありましたが、最後のところは集中していました。疑惑の判定でノーゴールとなったシーンも集中していればこそ掻き出すことができたプレー。UAEは2ヶ月合宿をしていたということで、守備の配置はちゃんとしていて、ラインはしっかりそろっていました。ただ、ゾーンの守備に固執し過ぎていて人任せの守備になってしまうシーンもあった。そこは改善されてくると思うので、これからもっと強くなってくるんじゃないでしょうか。



――次は5日後のタイ戦ですが

タイ相手なら、選手の個の力で十分勝てる相手。いくらタイが強くなってきているとはいえ、個人の力に差がある。それよりも長い目で見たときに、ハリルホジッチ監督の狙いをもっと明確にしてもらいたい。両サイドバックが上がって高い位置でボールを受けと時にどう崩すか、その崩し方のパターンはちゃんと練習していて共通認識があったのか。そこは気になるところです。サイドバックがあそこまで高い位置でボールを受けて中に味方も敵も多くなると、単純なクロスではそう簡単にはゴールは奪えないですよ。そうなったときに次のオプションは必ず必要になってきます。でも、そのオプションはこの試合はほとんど見られなかった。そこが改善されていかないと、たとえタイ戦で大勝しても、このチームの問題は解決されていかないでしょう。



(聞き手・文:池田タツ )

GOAL

最終更新:9月2日(金)12時17分

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