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人工衛星が観測したCO2排出量の増加、中国が突出、東京でも確認

スマートジャパン 9月2日(金)20時50分配信

 地球全体の温室効果ガスの濃度を高精度に推定するため、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、NIES(国立環境研究所)、環境省が共同で2009年から温室効果ガス観測衛星の「いぶき」を使って観測を続けている。2014年までの5年半に及ぶ観測データをもとに、世界の各地域で人為的に排出したCO2(二酸化炭素)の濃度を推定した

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 「いぶき」は地球から高度666キロメートルの軌道を3日間で1周する人工衛星で、CO2とメタン(CH4)の濃度を観測するセンサーを備えている。地表面から大気の上端までの「全大気」におけるCO2の総量を観測できる点が特徴で、地球温暖化のリスクを算出・予測できる世界で初めての専用衛星である。

 9月1日に発表した最新の推定結果によると、世界の中でも一部の地域で「人為起源」よるCO2濃度が高くなっている。人為起源のCO2は火力発電や油田・ガス田の開発が活発な地域のほか、化石燃料の消費量が多い大都市でも大量に排出する。特に近年の産業活動が盛んな中国をはじめ、インド、中東、北米、欧州でも人為起源のCO2濃度が高いことを「いぶき」の観測データから確認できた。

大気中のCO2濃度が上昇を続ける

 「いぶき」が観測した5年半のデータをもとに、人為起源CO2の濃度が平均1ppm(大気中に含まれる比率が100万分の1)以上になる領域が複数に及ぶ地域を特定したところ全世界で7カ所あった。各地域の最大値を比較すると、最も高い場所は北京を含む中国の北東部で6.2ppmに達していた。

 2014年にも「いぶき」の観測データをもとに人為起源CO2濃度を推定したが、その時点では2012年までの3年半の平均で同地域の最大値は3.8ppmだった。2013~2014年の2年間で人為起源のCO2排出量が大幅に増えた可能性がある。

 その次にCO2濃度が高かった地域は、米国の西海岸で最大の都市ロサンゼルスだ。同市の周辺には大規模な油田が多数あったほか、米国の中でも自動車の交通量が極めて多い。ただし前回2014年の推定時には4.5ppmだった人為起源CO2濃度が今回は3.5ppmに低下している。

 東京の都市部では他の地域よりも観測データ数が少なかっために推定手法を変えて算出した結果、人為起源のCO2濃度は0.5ppmだった。中国や米国の大都市と比べれば低いとはいえ、人為的に排出したCO2の濃度が一定のレベルで確認できる状況になっている。

 JAXAなどは「いぶき」の観測データをもとに、地球を取り巻く大気全体のCO2濃度の解析結果を月ごとに発表している。2015年12月には月平均のCO2濃度が初めて400ppmを超えた。2009年5月の観測開始から6年半のあいだに15ppmも上昇している。

 産業革命が起こる以前の18世紀までは大気中のCO2濃度は約280ppmで一定だったことがわかっている。植物の呼吸や海洋からの排出などによる自然起源のCO2で、産業革命以降に人為起源のCO2が増え続けている。「いぶき」の観測データを使って高精度にCO2濃度を推定することによって、国や地域のCO2排出量を把握しながら今後の地球温暖化対策に役立てる。

最終更新:9月2日(金)20時50分

スマートジャパン