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「怖くて先が観られない」 日米合作の学園ホラードラマ

オリコン 9月3日(土)7時0分配信

 AKB48メンバーが出演し、タブーとも言える再生医療をテーマにしたことでも話題のドラマが、Huluのオリジナルホラーサスペンス『CROW’S BLOOD』(クロウズブラッド)だ。岩崎広樹プロデューサーに制作の背景を聞いた。

エグゼクティヴ・プロデューサーは、映画『ソウ』シリーズ監督のダーレン・リン・バウズマン氏(中央)

■日米のヒットメーカーがタッグ、ハリウッド並みの撮影環境を用意

 秋元康氏が訪問先のLAで、世界中で大ヒットした『ソウ』シリーズを代表作に持つ若き鬼才、ダーレン・リン・バウズマン氏と、「Jホラーとハリウッドを組み合わせ、前代未聞の連続ドラマを作ろう」と握手を交わした日からHuluの挑戦は始まった。

 製作総指揮のバウズマン氏と、企画・原作の秋元氏のコンビによるドラマ作りは「ぶつかり合いの連続。決してトントン拍子に進んだとは言えませんが、最終的にはスタッフ、出演者共に最高のチームで作り上げることができました」とHuluの岩崎広樹プロデューサーは語る。

 このドラマの魅力は、学校、大学病院、山荘と舞台が変わりながら一瞬たりとも見逃せないシーンが連発する脚本もさることながら、何といっても映像のクオリティにある。バウズマン氏が希望する撮影環境を実現すべく、照明は通常の倍の人数にもなる7名体制に、カメラや主な機材を映画撮影レベルに整え、これまでにない体制が築かれた。その甲斐あって、視聴者からは狙い通りの反応を得る。「怖くて先が見られない」と入口で止まる視聴者がいる一方で、映像美を絶賛する声が後を絶たない。

 またクローン羊第1号の「ドリー」が生まれて20年を経た今、現実味を帯びる「命の再生」をテーマに扱う点においても地上波ドラマとの差別化に成功している。「愛する人を失った時、その肉体や命を再生することは許されるのか?」という秋元氏が伝えたいメッセージを、バウズマン氏が巧みな心理描写で表現している。

■AKB48メンバーのほか演技派俳優陣にも注目

 岩崎プロデューサーは、第1話のシーンの演出と、重要なキャラクター設定で秋元氏とバウズマン氏の意見が真っ向から分かれたエピソードについても明かしてくれた。

「葵(入山杏奈AKB48)が学校の屋上からドスンと落ちるシーンは、まず“状況”を観せた上で、その後友人が撮影するスマホ越しに落下シーンを観せるという映像にこだわるダーレンの意見に対して、秋元先生は他愛ない日常会話をするシーンに突如、落下する葵をフレームインさせることで緊張を生みたいと考えていました」

 結局は、一日考えたバウズマン氏が秋元氏の意見に同意することになった。また設定の上でも両者譲らないことがあった。

 「オカルト雑誌記者・沢田(三浦貴大)について、秋元先生は侘しい事務所で孤軍奮闘するストイックな記者をイメージされていましたが、ダーレンは米ドラマ『MR. ROBOT』から着想を得て、煌びやかなゲームセンターに事務所を構えることで沢田の人間らしい面白さを表現できると主張しました。折衷案も考えられましたが、日米合作の本作は、グレーにせず、その都度、どちらかに賭けることが肝になると考えました」

 結果、ここではバウズマン氏の意見が採用された。

 また、キャスティングはAKB48グループのファンはもちろん、そうではない視聴者層からもAKB48渡辺麻友とHKT48宮脇咲良、W主演の2人の演技への評価は高いという。

 バウズマン氏も、AKB48グループの起用について「最初は不安もありましたが、一瞬でオーラが変わる演技を見たら、単なるアイドルではないことに気付いた」と語っており、打ち合わせ段階から宮脇には「能面」の芝居を要求し、「完全無表情からいきなりニヤっと笑う練習をしてくれ」と伝え、撮影に入り、宮脇はそれを見事に実践。バウズマン氏に「She is fucking great!!(彼女は最高だ!!)」と言わしめた。渡辺麻友の演技にも太鼓判を押すなど、出演メンバー個々の演技も見ものだ。さらに、女子高生を取り巻く男性陣には英語が堪能な別所哲也をはじめ、若手実力派の三浦貴大や長谷川朝晴、郭智博ら演技派が連なる。見どころはつきない。

 現在、6話すべて配信中。一気見も可能だ。(文/長谷川朋子)
(コンフィデンス 16年9月5日号掲載)

最終更新:9月3日(土)7時0分

オリコン