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【インタビューVol.4/5】ウリ・ジョン・ロートとスカイ・ギター

BARKS 9月6日(火)11時4分配信

8月31日に発売になった映像作品/CD『トーキョー・テープス・リヴィジテッド~ウリ・ジョン・ロート・ライヴ・アット・中野サンプラザ』。スコーピオンズ時代の名曲の数々をウリ・ジョン・ロートの情熱(パッション)あふれるギターは健在だが、1978年のライヴ名盤『蠍団爆発!!スコーピオンズ・ライヴ/Tokyo Tapes』と大きく異なるのは、スコーピオンズ当時のフェンダー・ストラトキャスターでなく、愛器スカイ・ギターをフルに弾きまくることで、それぞれの楽曲をさらに幅広いものへと変貌させていることだ。

◆ウリ・ジョン・ロート画像

今回は、スカイ・ギターについて語ってもらおう。

──1978年のスコーピオンズと2015年の『トーキョー・テープス・リヴィジテッド』では、同じ曲を弾くのでも、ギターに込める想いは異なりますか?

ウリ・ジョン・ロート:うん、同じ曲の同じフレーズを弾くのでも、大きな違いがある。私のサウンドにも変化があったし、タイミングの取り方も変化した。それだけではなく、ずっと歳を取ったし、いろんなものを見てきた。さまざまなことをよりよく理解できるようになった。当時は感じることができても、それを深く理解することができなかったんだ。今では自分が理解したことを、音楽に反映させることができるようになった。それに弾いているギターも、当時とは異なるギターだ。

──『蠍団爆発!!スコーピオンズ・ライヴ/Tokyo Tapes』のライヴで弾いていたフェンダー・ストラトキャスターは21フレットでしたが、現在弾いているスカイ・ギターには32フレットあります。それは大きな違いですよね?

ウリ・ジョン・ロート:その通りだ。「空を燃やせ」のギター・ソロを弾くことは、スコーピオンズ時代にはフラストレーションの溜まるものだった。もっと高音域までソロを持っていきたかったからね。スカイ・ギターで弾くことによって、本来あるべき姿になったと思う。とてもハッピーだよ。それと同様に、「カロンの渡し守」も今のヴァージョンの方がずっと良いと思う。音楽の幅を拡げるスペシャル・モーメントのため、スカイ・ギターの高いフレットを弾くんだ。ただ、多くのスコーピオンズの曲を弾くときは、それほど高音部を弾く必要がないことも事実だ。多くの場合、ストラトキャスターと同じ21フレットの範囲で弾いていたよ。

──スカイ・ギターは1983年に第1号が作られてから、ボディ・シェイプに大きな変化はありませんが、その時点で既に完成していたのでしょうか?

ウリ・ジョン・ロート:フェンダー・ストラトキャスターやギブソン・レスポールに大きな変化が必要ないのと同じく、スカイ・ギターのボディ・シェイプと基本的なスペックも独自のスタイルを築き上げているんだ。ストラトキャスターの音色は硬質で、ブルーな色合いだよね。リッチー・ブラックモアはストラト・サウンドを極めたギタリストだ。彼の曲の多くはGで書かれているけど、クリア・ブルーのイメージがある。芸術家に例えると、ストラトキャスターはミケランジェロなんだ。それに対して、レスポールの暖かみがある茶色/金色のトーンはレンブラント風だ。さらに言えばストラトが男性的な鉛筆画で、レスポールが女性的な油彩画という感じかな。私はどちらも好きだけど、弾き心地はストラトがはるか上だ。レスポールのサウンドは素晴らしいけど、弾く作業は決して楽しいものではない。スカイ・ギターはストラトとレスポールの両者の長所を兼ね備えたギターなんだ。スカイ・ギターを芸術家に例えるならば、レオナルド・ダ・ヴィンチだ。あらゆる芸術を最上級の形で表現できるんだ。

──スカイ・ギターはどのような進化を経てきましたか?

ウリ・ジョン・ロート:スカイ・ギターの第1号は1983年に作ったんだ。それから大雑把に5種のオリジナルを作ってきた。1990年に5本目を作ってから、20年間何もしなかったけど、2010年にディーンが一般流通用のモデルを販売することになった。最近では2015年に50本限定で最新モデルを販売したんだ。けっこうな本数を日本のお客さんが買ってくれたみたいだね。最新の変化では、指板のポジション・マークにブルーのLEDライトを付けたんだ。私は最近視力が落ちてきて、暗いステージ上だとポジションがよく見えなかったりする。きっと同じ悩みを抱えているギタリストがいると思ったんだよ。さらにスカイ4(マイティ・ウィング)のレプリカを発売するつもりだ。LEDライトを付けたモダン・ヴァージョンになるよ。

──これからスカイ・ギターはどうなっていくでしょうか?

ウリ・ジョン・ロート:これまでスカイ・ギターは“ウリ・ジョン・ロート・スタイル”と常に関連づけられてきたけど、これからは多くの人に独自のオリジナルのスタイルで弾いてもらいたいね。いずれ私がいなくなっても、スカイ・ギターが弾き継がれたら嬉しい。ただ、コマーシャリズムのために品質を落とすことはしたくない。真のスカイ・ギターを製造するのは難しいんだ。これまでも、いくつもの偽スカイ・ギターが作られてきた。写真を元に作られた酷いコピー・ギターもあって、そのメーカーがイングヴェイ・マルムスティーンにプレゼントしていたよ。今まで何本もコピーを見てきたけど、自分が弾きたいと思う完成度のものは1本もないね。これまで私が納得したスカイ・ギターの職人は、オリジナルを作ったアンディ・デミトリオ、そしてボリス・ドメンジェだけだ。ボリスはスカイ・ギター以外のさまざまなギターを作っていて、マティアス・ヤプスのギターも作っている。彼は職人であり、同時にアーティストなんだ。今では高価なギターでも工場で製造するのが普通だけど、ボリスのような名匠が作ったギターには魂が込められている。彼は今まで50本以上のスカイ・ギターを作ってきた。1本ごとに少しずつ異なっているから、それぞれ別の名前を付けているんだよ。

──そのようなギターへのこだわりはある意味、武道家のようなストイックさを感じますね。

ウリ・ジョン・ロート:あはは、そう言ってもらえると嬉しいね(笑)。5歳の頃に柔道を習っていたし、1990年代に詠春拳を3年間学んでいたんだ。通っていた道場が閉鎖してしまったから、いったんストップしているけどね。きっかけとなったのは1990年代の初め、デュッセルドルフからハノーファーに向かう電車に乗っていたんだ。ネオナチだかフーリガンみたいな男たちが私の隣に座っていた女性に迷惑行為を始めて、そのとき自分の無力さを感じた。私は暴力を否定するけど、自己防衛の必要性を感じたんだ。幸いそのときは「止めなよ」と説得すると、私が元スコーピオンズのメンバーだと知って、退いてくれた。最近の格闘技は、ただ相手をぶちのめせばいいだけで、心の部分が欠けている気がするんだ。私はブルース・リーのファンだったけど、彼は単なるアクション俳優やファイターではなく、一人の哲学者だった。彼が創設した截拳道は格闘技として理にかなっているのに加えて、スピリチュアルな部分も網羅している。武道を志す人は、彼の著書を読んでみることをオススメするよ。

取材・文 山崎智之
Photo by Emily Muraki

ウリ・ジョン・ロート『トーキョー・テープス・リヴィジテッド~ウリ・ジョン・ロート・ライヴ・アット・中野サンプラザ』
2016年8月31日 発売
【500セット通販限定スーパー・プレミアムBlu-ray or DVDボックス】¥18,000+税
【初回限定盤Blu-ray+2CD】¥7,800+税
【初回限定盤DVD+2CD】¥6,800+税
【通常盤Blu-ray】¥6,000+税
【通常盤DVD】¥5,000+税
2015年2月20日 中野サンプラザ
1.オール・ナイト・ロング
2.炎を求めて
3.クライング・デイズ
4.カロンの渡し守
5.サン・イン・マイ・ハンド
6.ヴァージン・キラー
7.荒城の月
8.空を燃やせ
9.イン・トランス
10.レインボー・ドリーム・プレリュード
11.フライ・トゥ・ザ・レインボウ
12.トップ・オブ・ザ・ビル
13.自由への叫び
14.暗黒の極限
15.ダーク・レディ
16.幻の肖像
17.キャッチ・ユア・トレイン
18.見張塔からずっと
19.リトル・ウィング
2015年2月19日 名古屋ボトムライン
1.オール・ナイト・ロング
2.炎を求めて
3.クライング・デイズ
4.カロンの渡し守
5.サン・イン・マイ・ハンド
6.ヴァージン・キラー
7.荒城の月
8.空を燃やせ
9.イン・トランス
10.レインボー・ドリーム・プレリュード
11.フライ・トゥ・ザ・レインボウ
12.トップ・オブ・ザ・ビル
13.自由への叫び
14.暗黒の極限
15.ダーク・レディ
16.幻の肖像
17.キャッチ・ユア・トレイン
18.見張塔からずっと
19.リトル・ウィング
2015年2月22日 梅田クラブクアトロ
1.オール・ナイト・ロング
2.炎を求めて
3.クライング・デイズ
4.カロンの渡し守
5.サン・イン・マイ・ハンド
6.ヴァージン・キラー
7.空を燃やせ
8.イン・トランス
9.レインボー・ドリーム・プレリュード
10.フライ・トゥ・ザ・レインボウ
11.トップ・オブ・ザ・ビル
12.イエロー・レイヴン
13.自由への叫び
14.暗黒の極限
15.ダーク・レディ
16.荒城の月
17.幻の肖像
18.キャッチ・ユア・トレイン
19.ヘルキャット
20.見張塔からずっと
21.もしも もしも
22.リトル・ウィング

最終更新:9月6日(火)11時4分

BARKS