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濁流襲い「畑消えた」 復旧へ国の支援急げ 台風10号 北海道・十勝に爪痕

日本農業新聞 9月2日(金)7時0分配信

 台風10号の豪雨と暴風は、食料基地である北海道十勝地方に大きな傷痕を残した。河川が氾濫して各地で橋や道路の崩落が相次ぎ、多くの畑が濁流にのみ込まれた。広範囲が冠水しており、自治体やJAは農業被害の全容を把握できない状況だ。断水で酪農にも深刻な影響が出ている。被害が大きいJAからは「政府の支援が急務だ」との声が上がる。

酪農も打撃

 川や砂石、流木に覆われ、原形がなくなった芽室町の畑。農家の高山友嗣さん(31)が「畑が消えた」とうつむく。4月に買ったばかりの農地だった。農地購入の借金だけが残り、この先のことは考えられないという。

 同町では、河川の氾濫で農地が削られたり、水没したりした畑の被害が各地で発生。スイートコーンなどの加工工場も被害を受けた。復旧の見通しは立っていない。

JAは調査懸命

 JAめむろは50班体制で被害調査を急ぐ。6月からの長雨に3度の台風上陸で困り果てていたところに、「台風10号がとどめを刺した」。JAの辻勇組合長は「言葉が出ない。長期的な国の支援がなければ復旧はできない」と訴える。

 隣接する清水町も電気や水道などがストップしたままの地域が多く、農地の崩壊や冠水などの被害が出た。濁流に流されて牛が死亡した農家もいる。40ヘクタールの畑作農家、斉木孝明さん(63)の畑も冠水し、「このままでは芋は腐る」というが、畑に入ることができず手をこまねいているしかない。

 町内には泥と石に埋もれた農地が目に付く。近隣の被害を確認して回ったという33ヘクタールの畑作農家、田宮嘉久さん(63)は「復旧には相当な時間がかかる。もう農地に戻せない畑もある」と険しい表情を見せる。

 JA十勝清水町の岡田繁参事は「時間ごとに被害が拡大している。JAや町だけで対応できる次元を超えている」と、政府の支援を求める。

断水で飼養困難

 新得町では、大雨による川の激流で橋と共に配水管などが壊れ、町中心部などで2600世帯以上で断水が続いた。乳牛の飼育、搾乳に水を大量に使う酪農家も水の調達に追われ、疲れの色が見えている。

 経産牛100頭を飼育する持田裕司さん(65)は、共有の営農用水から水をくむ作業を続ける。酪農では、牛の飲用水だけで「1頭当たり1日100リットルが必要」(JA新得町)。搾乳作業にも多くの水が必要で、1日当たり数トンの水の確保に追われる。

 「飼料会社などにタンクを借りて何とかやっているが、かなりの重労働だ」と持田さん。今あるタンクは5トン分で、ほぼ同量の水がさらに必要。1日に何度も水くみ、タンクに移し替えをしなければならない。

 町は「取水口がやられて浄水場に水が届かない。本格的な復旧のめどは立っていない」とし、しばらくは給水作業で対応する方針だ。JAと乳業メーカーは、協力してローリーで酪農家に給水するなどの対応に追われている。(岡信吾、尾原浩子)

日本農業新聞

最終更新:9月2日(金)7時0分

日本農業新聞

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