ここから本文です

リオパラ超人烈伝「世界の頂点を目指して下した決断」~陸上・辻沙絵~

カンパラプレス 9月2日(金)20時43分配信

 陸上に転向して、わずか1年半。小学5年生で始めたハンドボールで培ってきたスタミナと精神力、そして天性の才能を花開かせ、リオデジャネイロパラリンピックの切符を獲得したのが辻沙絵だ、彼女はれっきとしたメダル有力候補の一人である。その背景には、彼女のある2つの大きな“決断”があった。

触発された金メダリストの姿

「やっぱり金メダルを取るってすごいことなんだなぁ」
 センターポールに日の丸が掲げられ、スタジアムに国歌が流れる――昨年10月、目の前で繰り広げられた光景を、辻は今も鮮明に覚えている。それが、彼女の“アスリート魂”を揺り動かすきっかけとなった。

 2015年10月26日、世界選手権(カタール)5日目のその日、男子走り幅跳びでは山本篤が見事、優勝。表彰式で金メダルを首に下げ、誇らしげに表彰台の中央に立つ山本。その姿に、彼女の心は熱くなっていた。

「日の丸を見ながら、国歌を聞いている篤さんを見て、金メダリストってやっぱりかっこいいなって思ったんです。そして、私もああいうふうになりたい、と心から思いました」

 辻は初めての国際大会ながら、当時メインとしていた100メートルで、見事決勝に進出し6位入賞を果たした。陸上を本格的に始めて半年余りということを考えれば、快挙と言っていい。だが、辻自身に喜びはなかった。あくまでも彼女が目指しているのは世界の頂点。だからこそ、6位という結果に、世界トップとの距離を感じたのだ。

 そこで、彼女はある決断をした。短距離から中距離へのメイン種目の変更だった。
「400メートルのレースを見ていたら、トップの選手だけがずば抜けて速くて、2位以下は団子状態だったんです。そこでランキングを見ると、60秒を切っていたのはわずか2人。しかも、56秒台と59秒台。3位以下は、60秒を切っていなかったんです。これはいけるかもしれない、と思いました」

 実は辻は、中学時代に陸上大会に駆り出されたことがあった。出場したのは800メートル。そのため、中距離への抵抗はなく、どちらかというと自信を持っていた。
「練習さえすれば、必ず60秒を切ることはできる。そこからは努力次第だ」
 迷いなど、一切なかった。「金メダルを取りたい」。その一心での決断だった。

1/2ページ

最終更新:9月12日(月)6時50分

カンパラプレス