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戦時中、京成がインドネシアで進めた「幻の」鉄道建設計画とは

乗りものニュース 9/2(金) 6:00配信

インドネシアで資源開発を目的に

 京成電鉄が第二次世界大戦中、日本占領下の東南アジアで鉄道の建設を請け負っていた歴史は一般に知られていないかもしれません。

【動画】「カンカン」のペースが上がる京成電鉄の踏切

 鉄道やバス会社は1938(昭和13)年に国家総動員法や陸上交通事業調整法が制定されたことで国家の強い統制下に置かれます。そうしたなかで京成電鉄の前身、京成電気軌道も事業再編などを余儀なくされたほか、1943(昭和18)年には南方戦線の占領地域における資源開発を目的とした鉄道建設を国から命じられてしまいます。

 鉄道建設の現場となったのはインドネシアのセレベス島(現在のスラウェシ島)です。計画は同島の最大都市マカッサルを起点とした、南北およそ77kmの鉄道を建設するというもので、その目的は同島における飛行場建設に必要な資材を運んだり、石炭や石灰石などを港に輸送したりすることでした。

レールは千葉から香川までの「不要不急線」のものを使用

 工事は資材不足のなか敢行され、湿地帯に線路を建設するために、石の代わりに近海で採掘したサンゴ礁を破砕して投入したり、レールは日本国内各地の「不要不急線」に指定された路線のものが使用されたりしました。『京成電鉄五十五年史』(1967年刊)には次の線区がレールの“出身地”として記されています。

・成田鉄道(千葉県、成田~八日市場間など)
・琴平急行(香川県、坂出~琴急琴平間など)
・出石鉄道(兵庫県、円山川~出石間など)
・善光寺白馬電鉄(長野県、南長野~裾花口間など)
・大和鉄道(奈良県、田原本~桜井間など)
・信貴山急行電鉄(大阪府、高安山~信貴山門間など)
・京福三国線(福井県、電車三国~東尋坊口間など)
・愛宕山鉄道(京都府、嵐山~清滝間など)
・京福京都線(現在の叡山電鉄、山端~八瀬間など)

 当時の京成電気軌道は1944(昭和19)年12月までの全線開通を目標に、限られた資源のなかで突貫工事にひた走ります。同年3月に77km中59kmの用地買収が完了し、マカッサルから13.7kmの区間に労働者4700人を投入。同年8月にはそのうち8.6kmが完成しました。

 しかし予期せぬ事態が発生します。日本海軍が1944(昭和19)年11月に突然、セレベス島から西におよそ300km離れたボルネオ島(カリマンタン島)における鉄道建設を命令。その目的は同島南部で採掘された石炭を港に運ぶというものでした。京成電気軌道はセレベス島の作業要員や資材を割いて、ボルネオ島でも10kmの線路を建設します。

 結局、日本の敗戦によって、京成電気軌道が建設したこれらの鉄道は放棄されてしまいますが、スラウェシ島では2015年、全長1772kmのスラウェシ島縦断鉄道の建設がスタートしました。72年前に京成電気軌道が敷設した鉄道と同じように、マカッサルから北に延びる鉄道が2018年に開業予定。同鉄道では最高時速200kmの列車も運転されるとのことです。

青山陽市郎(乗りものニュース編集部)

最終更新:9/2(金) 6:47

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