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米の「核先制不使用宣言」は日本の安全保障に資する

ニュースソクラ 9/2(金) 12:00配信

核抑止力が低下することはない

 米国のワシントン・ポスト紙は同国時間の8月14日、オバマ政権が核兵器の「先制不使用」宣言を検討していることに対し、安倍首相が反対の意向を表明したと伝えた。この記事は「米国の同盟国はオバマの核“遺産”(核軍縮の実績を残そうとすること)阻止を狙う」と題され、同紙の「グローバル・オピニオン」欄担当のジョス・ロギン記者が執筆している。

 この記事は「オバマ大統領が退任を前に対外政策の実績を残そうとしていることに、米国の同盟国は安全保障上の懸念を抱いている。いくつかの同盟国政府は米政権に対し、“紛争時に先に核を使わない”と約束するような核政策の変更はしないように働きかけている」とし、「特に日本は、もしオバマが先制不使用を宣言すれば北朝鮮のような国への抑止力に悪影響を及ぼし、紛争の危険が高まると見ている。日米の政府筋によれば、日本の安倍晋三首相は最近、米太平洋総司令官ハリー・ハリス海軍大将に対し、そのメッセージを伝えた」と報じた。

 オバマ大統領は5月27日に広島を訪れ、「私の国のように核兵器の備蓄がある国は恐怖の論理から抜け出す勇気を持ち、核兵器なき世界を追求しなければならない」と将来の核兵器破棄につながる計画を立てる必要を語った。

 これに対し安倍首相は「核兵器のない世界を必ず実現する。その道のりがいかに長く、いかに困難であろうとも絶え間なく努力を積み重ねていくことが今を生きる私たちの責任であります。必ずやその責任を果たしていく。日本と米国が力を合わせて世界の人々に希望を生み出すともしびとなる」と応じた。

 オバマ大統領が検討中とされる「核先制不使用宣言」、すなわち「相手側が核(あるいは生物・化学兵器を含む大量破壊兵器)を使わなければ、アメリカが先に核兵器を使うことはしない」という声明は同氏が退任前に、比較的容易に実現できる「核兵器のない世界」への「長い道のり」の一歩であり、安倍氏あるいは日本外務省がそれを妨害しようとするのは「日本と米国が力を合わせて、その責任を果たす」との広島での宣言に反し、少しでも“遺産”を残そうとするオバマ氏に対する裏切りとも言えよう。

 このワシントン・ポストの報道が日本の新聞で伝えられたのは8月16日で、もしこれが誤報ならば、安倍氏はただちに否定声明を出し、同新聞社にも抗議すべきところだが、訂正を求めたことはなく、安倍首相が「ハリス司令官との間でアメリカの核先制不使用についてのやりとりは全くなかった。どうしてこんな報道になるのか分からない」と記者団に語ったのは8月20日だった。

 仮に7月26日のハリス大将との会談でこの話題が出なかったとしても、外務省が非公式に米国側に「核先制不使用」宣言への懸念を伝えていたことはたしかのようだ。

 外務省の当局者は「拡大防止(Extended Deterrence)と同盟強化が北朝鮮の核開発に対抗するために必要だから」と、アメリカの先制不使用宣言に反対する理由を説明する。だが、核抑止力が先制不使用宣言によって低下することはない。

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最終更新:9/2(金) 12:00

ニュースソクラ

北朝鮮からの脱出
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