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相模原殺傷事件を問う(2) 介助する側が上に立ち、される側を見下すケースが少なくない(矢野宏/新聞うずみ火)

アジアプレス・ネットワーク 9月2日(金)6時0分配信

◆障害者自立学舎「しっぷ」施設長 菊野健一さん(59)/職員を孤立させるな

相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」殺傷事件では、19人が死亡、26人が負傷した。あれからまもなく1カ月。植松容疑者が「重複障害者は意思疎通ができない」と言ったとの報道に対し、大阪府堺市の障害者自立学舎「しっぷ」施設長で自身も障害を持つ菊野健一さんは、「どんなに重度の障害者であっても交流が成り立たないということはない。むしろ植松容疑者自身の問題」と話す。(矢野宏/新聞うずみ火)

「植松容疑者が『障害者は役に立たないから安楽死すればいい』という考え方を持っていたと報道で知ったとき、ヒトラーの『T4作戦』が思い浮かびました」

T4作戦とは、ナチス政権の優生思想に基づく安楽死政策。障害者や精神科の入院患者らを「民族の血を劣化させる」「生きるに値しない」としてガス室へ移送し、犠牲者は最低で7万人、一説には十数万人とも言われる。

植松容疑者が「ヒトラーの思想が降りてきたと話している」という報道もあり、「曲がりなりにも施設の職員だった人間がこんな考え方を持っていたということに強い衝撃を受けました」
菊野健一さんはそう言ってため息をこぼした。

堺市東区の障害者自立学舎「しっぷ」。知的・身体・精神に障害のある人たちが働きながら自立できるよう支援する施設で、重複障害者を含む17人が通所している。
プレハブ2 階建ての施設では、軽作業班が2班にわかれ、能力や適性に合わせて紙箱の組み立て作業などを行っていた。黙々と手を動かす人もいれば、職員のサポートを必要とする人もいるが、どの表情も生き生きとして明るい。

「作業を通して社会と結びついているとの思いを持ってもらいたいのです。作業に対して給与(工賃)を出すようにしています。多い人で月に2万円ほど手にします」

この地区に引っ越して6年になるが、地区の人たちの理解が得られているわけではない。もともと、障害者施設が移転してくることに、地元町内会は反対だった。

「地区の中に来てもらっては困る」「子どもが学校へ行くから来てほしくない」。なかには、「地価が下がる」という声もあった。

ようやく認められた移転場所は最寄り駅から離れた地区の外れ。今でも地元の人たちとの触れ合いの場をつくることが難しいという。

障害者に対する理解不足もあってか、地区の人たちとのトラブルもある。
「早朝、知的障害のある女性がバス停のベンチに座っていたら、通学の児童たちから物を投げられたことがありました。その女性には一人でぶつぶつ言う『奇行』があり、子どもたちが気味悪がったようです」

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最終更新:9月2日(金)6時0分

アジアプレス・ネットワーク

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