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台風のJR日高線被災現場ルポ 土砂流出で線路宙づり、新たな被害甚大

苫小牧民報 9月2日(金)15時52分配信

 8月に相次いだ台風襲来の影響で、JR日高線の線路がまた被災した。日高町清畠の慶能舞(けのまい)川橋梁(きょうりょう)の橋桁が台風10号の高波で流されるなど被害は甚大。同線は昨年1月の高波被害で鵡川―様似間(116キロ)の不通が続き、JRや沿線自治体が復旧に向けた協議を進めている中で、再度の災害発生に関係者もショックを受けている。1日、台風の爪痕を見て回った。

 日高線とほぼ平行に伸びる国道235号を苫小牧市から車で走っていると、日高町内で目を疑う光景が飛び込んできた。8月30日夜に北海道へ最接近した台風10号の高波で、鉄道の橋梁が橋脚部分だけを残して崩壊。線路は本来走っていた場所が分からないほど、ぐにゃぐにゃと蛇行するように曲がり、被害の様子に言葉を失った。

 現場は豊郷―清畠駅間の慶能舞川に架かる橋梁=地図1の地点=。近くに車を停めて現場を確認すると、台風被害の前がどんな状況だったか容易には想像できないほど悲惨な状況だった。崩れた鉄製の橋桁が内陸へと軽々と押し流され、高波の威力をまざまざと見せ付けている。苫小牧方面へと延びる線路の上には、波によって運ばれた流木や枯れ草が散乱していた。

 海岸の浸食を防止する線路沿いの鋼矢板や石籠も波によって流出。海の砂で埋もれた枕木を見ると、激しい波が何度も鉄路を襲っていた光景が目に浮かんだ。

 次に向かったのは、新冠町の大狩部駅から150メートルほど静内方面に進んだ場所=地図2の地点=。十数メートルにわたって線路下の土砂が流出し、線路が宙づりの状態となっていた。防波堤から線路までわずか数メートルしかない場所で、時折打ち寄せる波がレールをぬらしていた。

 線路を波から守る木製の柵も辺りに散乱。いまだ何の処置も施されていない状況で、押し寄せる波は現在も路盤を海へとさらっていた。

 最後に訪れたのは、コンクリート製の護岸が海に流出した新冠―静内駅間(新ひだか町)=地図3の地点=。現場では、線路脇にある民間の建物に高波被害が及ばないよう、クレーンを使って土のうを積み上げる作業が行われていた。

 現場近くで飲食店「冠月」を営む尾下和憲さん(65)は「8月30日夜から31日未明にかけて波や風が強く、怖くて眠れなかった。こんな台風は初めてだ」と話した。線路上には波によって運ばれてきた土砂や流木が散乱し、「こんなに相次いで日高線が被害に遭うなど思ってもみなかった。復旧は絶望的ではないか」と肩を落とした。

 北海道に連続して上陸、接近した台風が日高線に与えた被害は、今回訪れた場所だけにとどまらず、他にも多数あるとみられる。JR北海道は昨年1、9月に受けた高波被害の復旧費用について約38億円と試算しているものの、今回の災害で費用がどれほど膨らむか現状では想像も付かない。沿線自治体やJRの運行再開に向けた協議にも影響を与えるのは明らかだ。

 JR北海道は「なるべく早期に状況を確認し、その後の対応を検討していきたい」と話している。

最終更新:9月2日(金)15時52分

苫小牧民報