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善意の野菜 年1.8トンに 規格外集め当日宅配 フードバンクを支援 群馬・JA甘楽富岡、流通業者、NPOが連携

日本農業新聞 9月2日(金)7時0分配信

 群馬県のJA甘楽富岡が、不ぞろいな規格外野菜を福祉施設や生活困窮者に提供を始めて3年。当初数戸だった協力農家は20戸以上に広がり、寄付は年間1.8トンに上る。野菜の提供は施設などから喜ばれる一方、日持ちしないため支援団体からは敬遠されがち。そこを大手小売りチェーンの西友やNPO法人などと連携することで解決した。提供農家と養護施設の子どもたちとの交流も芽生え、全国のモデルになっている。

 午前7時すぎ。富岡市のJA出荷場に、農家が出荷するナスやキュウリを持ってきた。出荷を終えた農家には、もう一つやることがある。出荷場の隅に、規格外の野菜を置いて帰ることだ。

 曲がっていたり、大き過ぎたりして市場には出せないが、食べる分には全く問題がない。規格外野菜の集荷は月曜から水曜日までで1日約5ケース(1ケース10キロ)集まり、多い時は20ケースに及ぶ。

 農家の“仕事”はここまで。その後は、JA担当者が種類ごとに仕分けして西友の専用ケースに詰めて同社川越物流センター(埼玉県川越市)に配送。取り組みに賛同した地元運送業者が、センターまで無償で届ける。

 センターに荷が集まると、NPO法人セカンドハーベスト・ジャパン(東京都台東区)が福祉施設や貧困に苦しむ個人の家庭に、その日のうちに配り切る仕組みだ。担当者は「野菜は、本当に喜ばれている」と話す。

 きっかけは3年ほど前、JA担当者が規格外で廃棄する野菜が多いことを、JA産野菜を扱う西友の担当者に話したこと。西友側がフードバンク活動を紹介、「福祉に活用できるなら」とJAも快諾した。当初はJAが生産組合の役員に提供を呼び掛けても、数戸が応じる程度。その後、収穫体験などで養護施設の子どもたちと交流を重ねることで、寄付を申し出る農家が増えていった。

 同市の野菜農家、黛隼人さん(69)もその一人だ。今では、農家間で品目がかぶらないよう調整してから寄付するようになった。子どもたちと交流を重ねることで「なにより笑顔が励みになる。規格外品を寄付することで社会に貢献できる」とやりがいを見いだした。

 JAの高田知尚直販センター長代理は「既存の配送ルートが活用でき、運送会社や西友が協力してくれるからこそできる。今後も少しでも多く規格外品を寄付していきたい」と意気込む。

 全国フードバンク推進協議会によると、配送体制が整っていないなどの問題で、野菜の提供はあまり広がっていないという。一方、フードバンク活動や子ども食堂の開設が各地に広がるのを受け、施設や家庭から「野菜が食べたい」との声は強くなっている。(三浦潤一)

日本農業新聞

最終更新:9月2日(金)7時0分

日本農業新聞

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