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水道水だけで安全に「きれい」を保つ、TOTOの除菌水とは

ニュースイッチ 9月2日(金)9時20分配信

トイレにとどまらず、水回り全体に活用

 TOTOが独自のクリーン技術「きれい除菌水」の用途展開を進めている。生成するユニットを搭載したシステムキッチンと洗面台を8月に発売。トイレにとどまらず、水回り製品全般に活用できることを示した。きれい除菌水は水道水由来で環境負荷がなく、人体にも無害な“やさしい”除菌が特徴。水回りの新しい文化として根付く可能性を秘める。

 きれい除菌水は水道水を電気分解して生成する、次亜塩素酸を含む水だ。次亜塩素酸は除菌や漂白の機能を持つ。人体への影響が小さく、時間が経つと水に戻るため安全性が高い。

 TOTOの林良祐取締役常務執行役員は「汚れたらきれいにするのではなく、きれいを維持していく」と、きれい除菌水の考え方を説明する。

 きれい除菌水を生成する電解ユニットは、USBメモリー一つ分ほどの大きさしかない。開発最初から多用途展開を想定して小型化しており、温水洗浄便座「ウォシュレット」の内部といった限られたスペースにも組み込める。キッチンには二つのユニットを連結して組み込み、たくさんの量を一度に生成できるよう工夫している。

 同社によると、次亜塩素酸を生成する仕組みは100年以上前から知られており、珍しい技術ではないという。必要な量の次亜塩素酸を一瞬で生成できる技術と、小型のユニットを生産できる点にTOTOの強みがある。

 きれい除菌水の前身となる技術を実用化したのは約20年前。1998年に発売した小便器「ジアテクト」までさかのぼる。ユニット内の電極板に付与する触媒、電極板の間の距離、電流の制御など至るところに長年のノウハウが生かされている。

浴室への用途展開も視野に

 現在、きれい除菌水の用途は便器のボウル面やウォシュレットのノズル洗浄、トイレ脱臭用の「除菌水フィルター」などに展開。海外でも「イーウォータープラス」の名称で、ウォシュレットやウォシュレット一体形便器に各機能を展開している。

 トイレ周りのほか、公共空間の洗面化粧台などに備え付ける自動水栓、システムキッチン、家庭用の洗面化粧台などにも除菌水ユニットの搭載が進んでいる。自動水栓では排水口に自動で噴霧し、清潔に保つ。

 システムキッチンではまな板や包丁、ふきん、ゴミを集める網かごの除菌を担う。洗面化粧台では排水口のほか、歯ブラシの洗浄にも使えるようにしてある。 

 林取締役は「きれい除菌水自体はシーズ(技術の種)。ユーザーにどう使ってもらえば日常生活に役立つかを考えている」と明かす。今後は浴室への用途展開も視野に入る。他社との差を際立たせるためにも、効果をはっきり実感できる形で搭載する必要がある。実用化に向け、試行錯誤が続く。

日刊工業新聞第ニ産業部・斎藤正人

最終更新:9月2日(金)9時20分

ニュースイッチ