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米企業が採用で重視するソフトスキルとは

ウォール・ストリート・ジャーナル 9月2日(金)12時42分配信

 履歴書に記載された情報だけでは、最も求められているスキルを持っている人材なのかどうかを判断するのが難しいことがある。

 米国企業の間では、物事をはっきりと伝える、率先してやる、問題を解決する、同僚とうまく付き合うといった能力を有する求職者を見つけることがますます難しくなっているとの話が聞こえる。

 こうした特質は「ソフトスキル」と呼ばれ、優秀な従業員と最低限の仕事をこなす従業員との分かれ目となり得る。

ソフトスキル人材の争奪戦

 雇う側にとっては昔から魅力的だったソフトスキルだが、数十年に及ぶ経済の変化を経た今、特に重要性が増している。企業はこれまで、定型業務の自動化や外部委託を進めてきた。その結果、残された業務に関して従業員は、より広範な責任を負うことが余儀なくされている。そうした責任には、批判的思考や共感力のほか、コンピューターが簡単に真似できないその他の能力が要求される。

 労働市場がひっ迫してくると、望ましいソフトスキルを持ち合わせた人材をめぐる争奪戦は激化してくる。そして望ましいソフトスキルは、業界や給与水準によって異なってくる。レジで顧客と世間話をするというスキルから、厳しい期限に直面する部門横断的なプロジェクトを調整するスキルまでさまざまだ。

 理想の人材を追求するなかで、企業は求職者の特性を把握するためにより多くの時間と資金を投じている。

 フロリダ州レイクランドにある創業84年の資産運用会社、アレン・インベストメンツのキース・アルブリットン最高経営責任者(CEO)は「当社は現在、かつてないほど採用にお金をかけている」と述べた。

 同社は2014年、1人の産業心理学者を雇った。その目的は、自社の優秀な従業員の特性を把握し、求職者がそうした特性にどれほど近いかを見極めるテストを開発するためだ。

 アルブリットンCEOによると、複雑化が進む金融サービス業界では、アドバイザーたちは会計士や弁護士、その他の専門職の人々と共同で仕事をすることが多い。つまり、同社のアソシエイトたちにはチームで働く能力が求められているのだ。「自分の軍隊の大将になるだけではだめなのだ」と同CEOは語る。

求む「常識がある従業員」

 ビジネス向け交流サイトのリンクトインが採用担当マネジャー291人を対象に最近実施した調査では、求職者のソフトスキルの欠如が企業の生産性を制限しているとの回答が58%に達した。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が900人近い企業幹部を対象に昨年行った調査では、ソフトスキルの重要性について、92%が技術スキルと同じくらい、あるいはそれ以上と回答した。にもかかわらず、その特質を備えた人を見つけることは難しいとの回答は89%に上った。これは複数の年代層、経験水準に当てはまる問題だと多くの人が指摘する。

 最も求められているソフトスキルを見極めるために、リンクトインは2014年6月から2015年6月までの期間に2つ以上の求人に応募した登録会員のプロフィールを分析した。その結果、1位になったのは物事を伝える能力で、以下、物事を整理してまとめていく能力、チームワーク能力、時間を守る能力、批判的思考能力、社交能力、創造性、適応性などが続いた。

 首都ワシントンでオールド・ヨーロッパというレストランを経営するシンディ・ヘロルド氏は、そうした特質を備えた人はなかなか見つからないと話す。失望感に駆られ、店の外に「常識がある従業員」を募集しているという看板を出したほどだ。

 「私は玉ねぎの切り方なら教えられる。スープの調理の仕方も教えられる。しかし、普通のマナーや労働倫理と見なしているものを誰かに教えるのは難しい」とヘロルド氏嘆く。

 雇用主たちは、新たな従業員に技術的なスキルを教えるのにも時間や労力を要するので、長期的に成功するためのソフトスキルがない人に投資するのは気が進まないと語る。このことは、米労働省のデータで求人数が記録的水準にあることを示されているにもかかわらず、雇用が不況前のペースで停滞している理由の1つなのかもしれない。

By KATE DAVIDSON

最終更新:9月5日(月)8時8分

ウォール・ストリート・ジャーナル