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社説[IUCN勧告]新基地見直すしかない

沖縄タイムス 9/2(金) 7:40配信

 世界最大の自然保護ネットワークが、名護市辺野古への新基地建設に「待った」をかけた。

 世界170カ国以上の政府や政府機関、非政府組織(NGO)で構成する国際自然保護連合(IUCN)は、名護市辺野古を含む沖縄本島の外来種侵入防止対策の強化を求める勧告を決議した。日本自然保護協会など国内のNGO6団体が共同で提出したもので、電子投票の結果、圧倒的多数で採択された。

 強制力はないものの、日米両政府も加盟する国際的な組織の判断である。その意味は極めて大きい。

 決議が勧告する内容はこうである。

 日本政府は、辺野古へ土砂を搬入する前に、外来種の早期発見方法を確立し、リスク軽減へ専門家と議論を深める。建設地と周辺を継続的にモニタリングし、外来種を早期発見・根絶する。米政府は、日本政府と協力し、沖縄に侵入する外来種の影響を最小化する。IUCN本部は、外来種を早期に発見するモニタリング能力を高める-。

 新基地建設に伴う埋め立てで、日本政府は島外7地区から最大1700万トンの土砂を持ち込む計画だ。かつてない規模の事業である。アルゼンチンアリなど、沖縄では確認されていない外来種が混入し、固有の生態系が破壊される恐れが指摘されている。

 勧告が示した混入対策は、「日本政府にとってハードルがかなり高い」(NGO)内容とされる。自然保護の観点から国際社会が新基地建設を厳しい目でみている証しである。両政府は重く受け止めるべきだ。

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 辺野古沿岸海域や大浦湾は生物多様性に富み、固有の生態系を育んでいる。国の天然記念物ジュゴンも生息し、保護の重要性は広く知られている。

 本来なら今回のような勧告を受けるまでもなく、日本政府が自ら、大規模な埋め立て計画の見直しに動くべきだ。

 ところが日米両政府は「辺野古が唯一」として新基地建設の意向を変えようとせず、今回の投票で棄権に回った。外務省が、勧告の文案から「辺野古」関連の記述を削除するよう2度にわたってIUCNに求めていたことも分かった。

 IUCNは2000年、04年、08年と過去に3回、沖縄のジュゴンなどの保護勧告を出している。勧告には、国際条約と同じ重みがある。にもかかわらず、実効性ある保護策を取ることなく埋め立てへ突き進む政府の姿勢は、国際的に問われているのである。

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 生物多様性への世界的な脅威として、IUCNは第一に生息地の破壊、第二に外来種の問題を挙げる。

 島外からの大量の土砂搬入による埋め立ては、海域だけでなく陸上部分の生態系にも影響が及ぶ懸念がある。つまり、新基地建設は、やんばるの森の姿をも変える恐れがあるということだ。

 今回の勧告は、日米両政府と併せてIUCN本部にも対応を求めている。責任を持って積極的な関わりを要望したい。

最終更新:9/2(金) 7:40

沖縄タイムス