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居場所づくり「いつも葛藤」 はちおうじこども食堂 【子どもの貧困・先進地に学ぶ(3)】

沖縄タイムス 9月2日(金)12時45分配信

 「いただきまーす」。子どもたち、大学生、地域の大人たちが一緒に食卓を囲む。この日のメニューは夏野菜カレー、サラダ、かぼちゃのプリン。「おいしい?」「普通かな」「普通って言うなー」「うそだよ、おいしいよー」。バンダナを巻いた大学生の問い掛けに、小学生がおどけながら答えると、テーブルに笑い声が広がった。

 東京都八王子市のはちおうじこども食堂は毎月1回、開店する。市内にある寺の住職の好意で駅前の繁華街に近い別院「アミダステーション」の建物を借り、子どもの居場所をつくっている。子ども100円、大人300円。“腹ぺこ”と“ひとりぼっち”をなくすのが目的だ。

 大学生主体で運営しているのが特徴。市内にある創価大学の学生を中心に、近隣の大学の学生や地域の大人たちがボランティアで関わる。20歳前後のメンバーが「お兄さん、お姉さん」的な存在として、子どもが通いやすい雰囲気をつくっている。

 食後は家庭用かき氷器で、デザート作り。かき氷に果物やシリアル、チョコレートなどのトッピングを楽しんだ。食べ終えると、大学生を相手に夢中で遊ぶ子どもたちの歓声が響いた。

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 住んでいる地域で子どもたちを支える活動をしたいと学生4人が集まり、地域の協力者を得て半年間の準備の後、2015年2月にスタートした。チラシを作り、市内の学童クラブや公共施設に配って回ったという。

 代表の山口光司さんは「自分たち自身も子どもの貧困の理解も十分でなく、本当に子どもが来てくれるのかと不安だった」と振り返る。当初は知人の子どもたち数人だけだったが、徐々に口コミで広がり、現在は毎回10~20人の子どもが来所する。毎月大学生と遊ぶのを楽しみにしている子もいる。特定の子どもだけでなく、すべての子どもを対象にするのが運営方針だ。

 大人やスタッフも合わせると参加者は50~60人。地域のつながりが薄れる中、大人にとっても食事をしながらの交流の場になっている。活動を続ける中で、協力してくれる地域住民や食材提供してくれる農家などが増え、地域に定着してきた。

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 毎回の閉店後はスタッフ全員が集まり、反省会を開く。「バイトの面接より緊張した」「以前よりスムーズに対応できた」「次回はもっと子どもと積極的に関わりたい」。若者らしい生真面目な意見が多く出される。

 会計担当の三宅正太さんは「自分の理想で動いてきたが、当事者の気持ちを本当に理解できているのか、知らず知らずのうちに傷つけていないか、いつも葛藤がある」と打ち明ける。

 「自分たちも未熟な部分が多く、毎回反省ばかり。でも、あてにして来てくれる子がいる以上、大人の都合でやめることはできない。子ども食堂を一時的なブームで終わらせたくない」。子ども食堂の活動は始めるより継続することが難しいと日々、痛感している。

 「子どもに届いているという自信はまだ持てないけど、目指すべき姿に少しずつでも近づいていきたい」。悩みや喜びを仲間と共有しながら、若者たちが居場所づくりの模索を続けている。(「子どもの貧困」取材班・田嶋正雄)

 ※記事に関するご意見、情報をお寄せください。ファクス:098(860)3483 メール:kodomo-hinkon@okinawatimes.co.jp

沖縄タイムス 子どもの貧困取材班

最終更新:9月28日(水)13時0分

沖縄タイムス