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これも家? HOUSE VISIONで見た新しい暮らしのカタチ

SUUMOジャーナル 9/2(金) 7:30配信

企業と建築家・クリエイターが協働し、近未来の住まいを考えて具現化した展覧会「HOUSE VISION」展。2013年に第1回が、そして今年8月に第2回が東京・お台場で開催された。
【前編:日本発、近未来の住まい12の提案】に続いて、エキジビジョンハウスを巡った現地レポートを写真満載で紹介しましょう!

■隈研吾だけじゃない! 人気建築家たちの競演が見られる

全体の会場構成を手がけた建築家・隈研吾氏をはじめ、12のエキジビジョンハウスの提案には人気の建築家やデザイナーが企業と共に参加。独創的な感性と技術が融合した、住まい・暮らしの未来像を見せてくれた。

●【凝縮と開放の家】LIXIL×坂 茂

【画像1】白い外観・屋根は防水製テント膜、ジッパーで着脱できる。テントを好きな柄にプリントすれば景観に合わせて楽しめそう(写真撮影/藤井繁子)

紙管を利用した住空間など、低コストで軽快な家を考える建築家・坂 茂氏。今回は住宅設備メーカーのLIXILと、窓や設備がフレキシブルな“軽くて丈夫”な家を提案した。

【画像2】開口部側は巨大なガラス窓。窓はリモコンのボタンひとつで透明~スモークへ可変するほか、跳ね上がったり、90度回転させて家の側面までスライド収納できたりとフル開口し、庭とリビングが一体化(写真撮影/藤井繁子)

そして、水まわり(風呂・トイレ・洗面・キッチン)を一塊にした“ライフコア”は、部屋のどこにでも配置できる画期的な提案。これを実現するのは、給排水システムを床下ではなく、上方に処理できるようにした技術。
将来の間取り変更時、水まわりが簡単に移動できればコストもデザインも容易になりそうだ。

【画像3】“軽くて丈夫”を実現するのは、紙のハニカムボードを合板で挟んだ構造体。柱要らずの大空間が可能に(写真提供/HOUSE VISION)

●【冷蔵庫が外から開く家】ヤマトホールディングス×柴田文江

【画像4】外からも内からも開く。冷蔵モノからクリーニングした服・薬まで、ネットワークやセンサー技術を活用したセキュリティ管理で実現する(写真撮影/藤井繁子)

全国に5万5000人のセールスドライバーを要する「宅急便」のヤマト運輸は、宅配BOXの新しい形をプロダクトデザイナーの柴田文江氏と提案。
高齢者だけでなく、共働きや若者ひとり暮らしにとっても宅配の進化は必需!

●【内と外の間/家具と部屋の間】TOTO/YKK AP×五十嵐 淳・藤森泰司
HOUSE VISION展では参加した建築家たちのトークセッションも開催。取材当日は建築家・五十嵐 淳氏が登壇する日だったので、彼の作品【内と外の間/家具と部屋の間】でお話を伺った。

【画像5】活動拠点の北海道からお台場の展示会場に到着した五十嵐氏。異形を放っていた凸凹の外観前で「完成したのを今日初めて見ます」(写真撮影/藤井繁子)

コラボ企業の1社が、窓メーカーのYKK APということもあり
「窓ぎわって、行きたくなる場所ですよね。それが居心地の良いアルコーブ(※)みたいに延長した空間を考えてみました」
奇想天外!よく分からないが…模型を見ると全体像が見える。

※アルコーブ:部屋や廊下など、壁面の一部を後退させてつくったくぼみ状の部分のこと。

【画像6】扇の要のようなオープンスペースから放射線状に、窓から個室が延びる!?(写真撮影/藤井繁子)

【画像7】中から見ると、窓枠の先にリビングやキッチン、バス、トイレ、寝室が。あがってみると、おこもり感があって落ち着く部屋も(写真提供/HOUSE VISION)

個室の中は、家具デザイナー・藤森泰司氏が空間と機能を同時につくり出す家具をデザイン。ソファやベッド、家具自体が部屋になっていたりする。

窓枠の延長、個室の先は…そのまま外部へ連続していく。
「街に開いた空間が、近づきやすく親しみやすいものであれば、良いコミュニティが生まれると思うんですよね」と、五十嵐氏は建築のもつ可能性を語ってくれた。

【画像8】左:キッチン&ダイニングには、ご近所さんが立ち寄りたくなる縁側風テラス。右:バスルームには、内湯+露天風呂(写真撮影/藤井繁子)

今回のイベントテーマ「CO-DIVIDUAL 分かれてつながる/離れてあつまる」が、具現化された家の一つだった。

●【賃貸空間タワー】大東建託×藤本壮介

【画像9】会場で一番高い建物、建築家・藤本壮介氏による木造の集合集宅(8住戸)。大小の積み木のように立ち上がり、間の緑や畑が癒やしの空間に(写真撮影/藤井繁子)

賃貸住宅を建築から管理・運営まで手がける大東建託と藤本壮介氏が「賃貸住宅の再定義」をテーマに取り組み、住戸の専有部分と廊下などの共用部分の在り方を逆転させた。
プライベート空間を最小化(7~16m2)させ、キッチンやバスルーム、シアタールーム、ライブラリー、庭・畑などを共用部分として最大化した。上下に行き交う機能的な廊下が、コミュニケーションの舞台になっている。

●【棚田オフィス】無印良品×アトリエ・ワン

【画像10】会期終了後、農村に移設する【棚田オフィス】。筆者も2階でデスクに向かってみた…秋には稲穂が輝く光景が見えるのかも(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

無印良品は千葉県鴨川市の釜沼集落と交流があり、都市と農村の二拠点居住の構想を建築設計事務所・アトリエ・ワンと形にした。開閉式の軒や収納式引戸などコンパクトで機能的な空間はアトリエ・ワンらしい設計だ。
構造は無印良品の家と同じ木造SE構法だが、外装にはホームセンターで手に入るポリカーボネートやビニールといった自分で補修できるような材料を使っている。

●【遊動の家】三越伊勢丹×谷尻 誠・吉田 愛

【画像11】建築家・谷尻氏と吉田氏らしい緩勾配屋根の小屋が3棟、室内空間に配された。マンション内でこんなのができればオシャレ!(写真提供/HOUSE VISION)

この仮想施主はパソコン一つで世界を飛び回って働くニューノマド、日本らしい生活の美しさを認識しているという設定。キッチン・ダイニングがオープンな土間空間にあり、床を上げた板の間に和室リビングや寝室、大きなバスルームの個室を黒皮鉄で構成。ガラス引戸で仕切るデザインもスマート。調度品や小物は百貨店ならではのクオリティでセッティング。

■IoTが未来の住まいへ導く

今回の展示では、家そのものの技術革新も見せてくれたが、IoT(Internet of Things)なテクノロジーによって暮らしが変わることを予感させる提案が増えた。

●【電波の屋根を持つ家】カルチュア・コンビニエンス・クラブ×日本デザインセンター原デザイン研究所×中島信也

【画像12】VR(バーチャル・リアリティ)ゴーグルを付け「180°コント」を体験!(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

「TSUTAYA」のカルチュア・コンビニエンス・クラブが始めたスマートフォン「TONE」の機能を紹介するコント映像が、VRゴーグルをのぞくと180°で見える。離れている3世代がスマホでつながる形を、家の屋根同様に電波の屋根の下でつながる家族を表現。

●【の家】パナソニック×永山祐子

【画像13】貸し出されたiPadを数字マーカーにかざすと、未来の暮らし方がAR(拡張現実)で映し出される(写真撮影/藤井繁子)

“の”の字型の家を巡ると、近未来の暮らしが映像で紹介される。家の壁がスクリーンになって、どこでも映像やネットでのコミュニケーションが可能になり、家自体がエレクトロニクスそのものになるイメージ。
ドラえもんの世界が、もうそこまで来ているのを実感。

●【木目の家】凸版印刷×日本デザインセンター・原デザイン研究所

【画像14】巨大な丸太断面もプリント!中で腰掛けると、心拍などをキャッチする生体センサーが作動しストレスチェック。猛暑にもかかわらず、意外に低かった筆者のストレス(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

近年の建築用プリント化粧材は進化していて、色柄だけでなくテクスチャーも表現し本物と遜色が無い。この断面も吉野檜を超高解像スキャンし20倍にプリント、これが日本の印刷技術。
印刷されたシートにセンサーや電気を通すことで、家の壁に電飾メッセージが流れたり…結構なテクノロジーが隠れた木箱だった。

●【グランド・サード・リビング】TOYOTA×隈 研吾

【画像15】車とテントがあれば、住空間がどこにでも生まれる。軽くて錆びない炭素繊維でつくった直径5mのテント(右)は、たたむと直径65㎝に!(写真撮影/藤井繁子)

TOYOTAと隈研吾が提案したのは、プリウスPHV(プラグインハイブリッド)があれば、エネルギーインフラのない地にも快適空間ができるというもの。
このプリウスPHV(プラグインハイブリッド)はソーラー充電システムも搭載して、電気供給ができる。幾何学的なデザインでコンパクト収納できるテント。これがたくさん集まって小さな村になる発想も面白い。

HOUSE VISIONのようなリアルサイズで、“こんなことができる”を体験すると
将来、どこで、どんな家で、どんな暮らしをしているのか? 今までより自由な発想が湧いて、楽しみ。

・【前編】日本発、近未来の住まい12の提案―HOUSE VISION 展 2016―

●取材協力
・HOUSE VISION 2

藤井繁子

最終更新:9/5(月) 12:48

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