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日銀はマネタリーベースの呪いから自らを解き放て-早川元理事

Bloomberg 9月2日(金)5時0分配信

元日本銀行理事の早川英男・富士通総研エグゼクティブフェローは、日銀が20、21両日開く金融政策決定会合で行う総括的な検証について、「マネタリーベースの呪いに取り付かれている限り、日銀に出口はない」と述べ、マネタリーベース目標を撤廃することがすべての出発点になるとの見方を示した。

早川氏は1日のインタビューで、総括的な検証の重要なポイントしてまず政策効果を挙げ、特にマネタリーベース目標の評価は避けて通れないと指摘した。理論的にはゼロ金利下でマネタリーベースには何の効果もなく、黒田東彦総裁もそれを公に認めているにもかかわらず、「政策の誘導目標がマネタリーベースであること自体、矛盾している」と語る。

黒田総裁は2月23日の衆院財務金融委員会で、マネタリーベースそのもので直ちに物価、あるいは予想物価上昇率が上がっていくということではない、と述べた。日銀が昨年5月に公表した「量的・質的金融緩和ー2年間の効果の検証」のリポートでも、マネタリーベースには一切触れていない。早川氏は「日銀モデルの中にはマネタリーベースの役割は何もないので、使いようがない」と話す。

日銀は黒田総裁が就任直後の2013年4月、量的・質的金融緩和を導入し、金融市場調節の操作目標をそれまでの無担保コール翌日物金利から、日銀券と日銀当座預金、貨幣からなるマネタリーベースに変更。年間約60-70兆円ペースで増加するよう金融市場調節を行うと発表した。その後、14年10月の追加緩和で年間80兆円ペースに増額した。

為替市場では、日米のマネタリーベース伸び率の比率と円ドル相場の関係を示したソロスチャートの信奉者も多い。早川氏は、こうしたチャートを使うトレーダーへの働き掛けによって少なくとも一時的には大きな効果を持ったことは間違いないが、「しょせん誤解に働き掛ける効果なので、それを3年間続けてずっと効果が出続けるはずはない」と語る。

マネタリーベース目標を放棄すると円高になるとの懸念には、日銀が「検証にソロスチャートを貼ればよい」という。同チャートに従うと足元の日米のマネタリーベースの伸び率の比率から円安になるはずだが、「実際には円高が進行している。今の為替とマネタリーベースの関係はまさに正反対に動いている」と指摘する。

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最終更新:9月2日(金)10時12分

Bloomberg