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【インサイト】ゴールドマンが描く未来に生身のトレーダーは必要か

Bloomberg 9月2日(金)7時40分配信

ここ数年、利益の減少に見舞われた幾つかの銀行は債券部門の思い切った合理化を発表した。この中に、ゴールドマン・サックス・グループは含まれていない。

ゴールドマンは過去数年と比べて大幅な人員削減を実際には行っているが、少なくとも表向きには他行のような大量解雇を回避した。債券・為替・商品部門の収入が一部のライバルよりも大きく減少する状況でも、経営幹部らは債券部門への積極的な関与を表明している。

だが、ビジネスへのコミットメントは、そこで雇用する人員の数に対するコミットメントを必ずしも意味しない。ゴールドマンは、生身のトレーダーがこれまでよりも著しく減る将来に向けた準備を水面下で素早く進めているようだ。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT、オンライン版)が8月30日報じたところでは、ゴールドマンはトレーダーを介さずに投資家が米社債を取引できるコンピュータープログラム、ゴールドマン・サックス・アルゴリズム(GSA)の運用を開始した。そこにも将来に備えた動きを見ることができる。

GSAはブルームバーグ(ブルームバーグ・エル・ピーはブルームバーグ・ニュースの親会社)を含む異なる取引システム上で債券価格の一覧を提示するが、価格は単なる気配値でなく、直ちに売買の執行が可能。FTによれば、市場情勢や他の取引に即応するリアルタイムの価格調整もコンピュータープログラムによって行われる。

ゴールドマンの動きは、8兆4000億ドル(約870兆円)規模の米社債市場の大きな変化に対応しようとするものだ。電子取引がその答えだと証明されたわけではないが、昨年12月に公表されたグリニッチ・アソシエイツの調査結果によると、投資適格債トレーディングに占める電子取引の割合は2年で倍増した。

もちろん、ゴールドマンの取り組みだけで投資家の社債取引方法が激変する可能性は低い。また、GSAの対象は高格付けの社債取引で規模が100万ドル未満とFTは伝えており、そもそもリスク意欲の高いトレーダーに人気の分野ではない。それでも債券取引ののれんを掲げる金融機関にとって、自社のアイデンティティーを貫く手段になる。コストがかかる顧客サービスの必要はなく、残る生身のトレーダーは判断力が一段と求められる取引に集中する時間を与えられる。

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最終更新:9月2日(金)7時40分

Bloomberg