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どうして一部の運動着は特に臭いのか

BBC News 9月2日(金)18時46分配信

運動した後の一部の運動着は、どうしてほかよりも特に臭いのか?  世界中の洗濯物かご、ジム用バッグ、更衣室に共通する謎だ。

何を運動着にするかは、人それぞれだろう。10年以上着古したTシャツ、昨シーズン着ていたサッカーユニフォーム、あるいはエクササイズ専用に開発された、機能性をうたうスポーツ用品ブランドだろうか。

しかし正直なところ、ジム用バッグの中には、特にほかより臭う物がある。それは誰もが認めるところだろう。なぜそうなのか、思うこともあるのでは? 

BBCの医療情報番組「信用して、私は医者だから」の司会者ゲイブリエル・ウェストンは、このくさーい疑問に科学が答えられないものか、最新の研究結果を調べ、実験でも試してみた。

布地の種類ごとの臭いやすさの比較調査は、実際に行われている。カナダのアルバータ大学とベルギーのゲント大学による別々の調査では、高度な訓練を受けた専門家がさまざまな布地の臭いを嗅いだ。その結果、両方の調査で、ポリエステルの方が天然素材の綿やウールよりも臭いが強くなるという結論になった。

しかし興味深いことに、臭い方が違う原因は汗だけではない。汗そのものは臭わないからだ。臭いは、私たちの皮膚に自然に存在する菌が、脇の下や股の間などから出る油分の多い汗を食べる過程で生まれる。とすると、合成繊維にからみつく、ほかよりも強烈な臭いは何のせいなのか。

既存の布地研究に触発されて、綿とポリエステルの服が私たちの皮膚の菌と、そこから生じる臭いにどう影響するのか実験してみた。ボランティアの人たちが激しく運動するフィットネスバイクのクラスに2回参加し、それぞれ100%綿のシャツと100%ポリエステルのシャツを着た。家族や友人、同僚には気の毒だが、運動前の制汗剤は使わないでおいてもらった。クラスが終わった後に、脇の下を綿棒で拭き取り、Tシャツを回収して分析した。

マンチェスター大学のアンドリュー・マクべイン教授とギャビン・ハンフリース博士がサンプルを分析したところ、被験者の脇の下には多くて300の菌が存在していた。最も多い菌は、通常の体臭の原因となるブドウ球菌と、より不快な臭いを出すコリネバクテリウムだった。

面白いけれども意外ではないかもしれない発見もあった。女性の脇の下ではブドウ球菌の方が優勢傾向だったの対し、男性は臭いの強い方のコリネバクテリウムが多かったのだ。

しかし、異なる布地が脇の下の菌に異なる影響を与えるかどうかについては、目立つ違いはなかった。皮膚上にコリネバクテリウムが多くあっても、綿とポリエステル両方のTシャツにそれが移ることはなかった。要するに、服が臭う原因は皮膚の菌でなく、合成繊維が臭いのは、布地自体に何かが起きているせいらしい。

ポリエステルや綿、メリノの布地を研究してきたアルバータ大学のレイチェル・マックィーン博士は、臭いに違いが出る理由のひとつとして、自然素材の繊維と合成繊維では成分や特性が違うからではないかと指摘する。例えば水分に対する反応だ。

綿のような天然素材は、菌が作り出す臭いの分子も含む水分を取り込むため、繊維の中に閉じ込められた臭いは私たちの鼻に到達しない。対する合成繊維は、水分を吸収しない一方で、油分を引き付ける。繊維の表面に付いた汗の「油まみれの土壌」をしっかりつかんで、臭いを出す菌ががぶ飲みしにやってくるのを待ち受けるわけだ。

ゲント大学の研究者らも、運動中に着用された綿とポリエステルの繊維を調べるなかで、非常に面白い発見をした。ニコ・ボーン教授とクリス・カルワート博士、および同僚たちによると、特に臭いの強いミクロコッカスは合成繊維の上でさかんに増殖するが、綿や皮膚はこの細菌にとって望ましい環境ではないことが分かった。

なので今度、ジム用バッグの中に特に臭いポリエステル繊維の服があると気づいても、それは自分のせいではないと思ってもよさそうだ。臭い菌が増殖しやすい環境を提供する、合成繊維そのものが悪者なのだから。

(英語記事 Why does my exercise clothing smell? )

(c) BBC News

最終更新:9月2日(金)18時46分

BBC News