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調べなくていい? 腫瘍マーカーを知るメリットとデメリット

ZUU online 9/3(土) 6:10配信

「血液検査で簡単にがんの有無がわかる」といったうたい文句で、健康診断のオプションとして行われることが多い腫瘍マーカー検査。自宅でも検査キットを使って検査できるとあって人気が出始めているようです。しかし、医師の多くは「腫瘍メーカーは、がんの存在の目印にならない」として健康診断での腫瘍マーカー検査を疑問視しています。ここでは、腫瘍マーカー検査の実態を解説します。

■簡単な血液検査でわかる腫瘍マーカー

腫瘍マーカーは、がん細胞に対し、体が反応したときに作られる物質を血液検査で測定したものです。これまで多くの種類が発見されています。自治体などが行っている一般の検査には含まれておらず、人間ドックではオプションとして扱われていることが多いです。

現在使うことのできる腫瘍マーカーは40種類程度といわれており、がんの診断にはあくまで補助的に用いられています。

■早期がんには役立たない

では、腫瘍マーカー検査にデメリットはあるのでしょうか。一番指摘されているのは、「早期がん発見には役立たない」というものです。ほとんどの腫瘍マーカーは、早期がんでは高い数値が出ないことが分かっています。

胃がんや大腸がんの腫瘍マーカー検査として用いられているCEAは、がん以外の病気、糖尿病や炎症性疾患など多くの原因で上昇し、加齢や喫煙習慣でも上がることが知られています。つまり、陽性(検査で異常あり)と、出たとてしも実際にはがんはない、という「疑陽性率」が大きい検査なのです。

では、値が上昇していなければ、すなわちがんはない、ということでしょうか。答えは違います。逆に進行がんでも上昇しないことがあるのです。腫瘍マーカーは「検査で異常はないが、実際には病気がある」という「偽陰性率」が多すぎるとも言われる検査なのです。このため、早期がん発見についてはほとんど期待できないのが実情です。

■PSAは前立腺がんの発見に役立つ?

ただ、こうした中でPSAについては前立腺がんの早期発見に役立つといわれています。PSAはがんに対する特異度が100%ではありませんが、前立腺について値が高いという臓器特異度が高いため、他の腫瘍マーカーよりも検査の範囲は限定的で効率的だといいます。

しかし、その後が大変です。日本泌尿器学会では、「PSAが高い」と言われた場合の考え方を示していますが、それによると、PSAが上昇する場合、前立腺がん以外にも前立腺肥大症、前立腺炎などの原因が疑われます。そこで、さらに尿検査、直腸診、PSA以外の血液成分、超音波検査などを使って総合的に判断し、負担のかかる前立腺生検(前立腺の組織を採取して調べる方法)を行うかどうかを決めるといいます。

■世界でも議論続く腫瘍マーカー

結果を確定するためさらに検査が必要なわけですが、世界でもまだ議論は続いています。約8万人の男性が参加した米国の臨床検査では、「PSA検査をしても、前立腺がんによる死亡を減らせない」という結論が出たそうです。

これまで述べたように、腫瘍マーカーで高い値が出た場合、さらに血液検査、レントゲン検査、超音波検査、上部消化管内視鏡検査、大腸内視鏡検査、CT検査と全身をくまなく検査しなければなりません。腫瘍マーカーで結果が出たために、今度はがんにおびえる不安な日々を送ることになってしまいます。そして「検査はひと通りしましたが、明らかながんはありませんでした」と医師から告げられることも少なくはないのです。

腫瘍マーカーは、病気以外で測定すると自費になります。腫瘍マーカーが上昇してがんが見つかることもありますが、多くはすでに進行がんです。

このため医療現場で使われる腫瘍マーカー検査の目的は、以下のような内容が一般的です。

1. 腫瘍が悪性か良性かを診断する際に補助的に利用する
2. がんの再発時に増加することがあるため、再発の発見に利用する
3. 抗がん剤治療や放射線治療の効果を調べるために補助的に利用する

■数値に一喜一憂しないことが大切

これに対し、健康診断での腫瘍マーカー測定は、高い検査費用に対して効果はあまり望めません。

健康診断でオプションの腫瘍マーカーを付けるぐらいなら、直接観察できる「内視鏡検査」や「超音波検査」など他の検査を追加した方がいいでしょう。子宮頸がん検診や大腸検診のように、「早期発見・早期治療」で多くの命を救っていると考えられている検査もあります。

腫瘍マーカーの結果数値に一喜一憂したり、振り回されたりしないようにすることが大切といえるでしょう。(提供:ヘルスグリッドオンライン)

最終更新:9/3(土) 6:10

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