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「不正なし」で終わらず 東京五輪招致に“疑惑再燃”の火種

日刊ゲンダイDIGITAL 9月3日(土)9時26分配信

 真相解明にまでは至らなかった。

 1日、20年東京五輪招致を巡る買収疑惑に関して日本オリンピック委員会(JOC)の調査チームが報告書を公表。招致委が13年に国際陸連(IAAF)のラミン・ディアク前会長の息子であるパパマッサタ・ディアク氏が関わっているとされる「ブラックタイディングス(BT)社」と交わした約2億円のコンサルタント契約の違法性を否定した。さらに国際オリンピック委員会(IOC)が定める招致活動における倫理規定にも抵触しないとした。

 英紙ガーディアンの報道によれば、招致委からBT社名義の口座に振り込まれたコンサルタント料がパパマッサタ氏によって私的に流用。同氏が高級時計、宝飾品を購入したことが招致委の贈賄にあたるとしている。

 会見した調査チームの座長である早川吉尚弁護士は、招致委側にBT社への「贈賄の意識、証拠はなかった」と疑惑を否定した。早川弁護士は招致に関わった34人から聞き取り調査などを行った結果「不正はなかった」としたが、強制捜査権のない調査は国内止まり。ディアク父子の他、アジアのスポーツ界や陸上界に太いパイプを持つBT社の代表で東京招致を成功させたイアン・タン氏についても弁護士を通じてヒアリングを試みたが、接触できなかったという。

 これで招致委の疑惑が晴れたとするのは早計である。ディアク父子は一連のロシア陸連による組織的ドーピングに関わっていたとしてフランス司法当局が捜査を進めており、国際的な指名手配を受けているからだ。父子の身柄が拘束され、ドーピング問題に加えて東京五輪招致に絡む金銭授受に関して供述すれば、疑惑が再燃しかねない。

 そもそも今回の報告結果は、舛添前知事が、政治資金の「公私混同」疑惑を自分が選んだ弁護士に調査させたようなものではないか。

 調査チームのオブザーバーを務めたJOCの松丸喜一郎常務理事は「最大限尽くした調査によって違法な決済はなかったことが証明された」と強調したが、胸をなでおろすのはまだ早い。

最終更新:9月3日(土)9時26分

日刊ゲンダイDIGITAL