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2万円台半ばで高い完成度 クラウド対応ネットワークカメラ「SpotCam-HD-Eva」を試してみた

ITmedia PC USER 9月3日(土)6時25分配信

 子どもやペットの様子を離れた場所から見たり、屋内外の様子を監視したりするのに重宝するのがネットワークカメラだ。チャットなどに利用するUSB接続型のWebカメラと異なり、PC不要で単体で動作するため、設置場所を選ばず利用できるほか、常時オンの状態で運用できるのも利点だ。

【写真】赤外線モードで暗視カメラにもなる

 従来のネットワークカメラは、外出先からアクセスするのにルーターを越えてログインしなくてはいけないため、初心者にとっては設定がやや難解だった。また、録画データの保存先として本体のメモリカードを使う製品も多く、容量が足りずに録画に失敗したり、映像を確認するためPCに差し込んだまま忘れてしまったりといったケースもあった。導入したもののいまいち使いこなせず、手放してしまった人も少なくないだろう。

 こうした欠点を解消する製品として、最近人気が高まりつつあるのが、クラウド型のネットワークカメラだ。一定期間の録画データを丸ごとクラウド上に保存するため、外出先からのアクセスが容易で、かつ録画容量もネックにならない。カメラとは別の場所にデータが保存されるため、災害などでデータを消失する危険が極めて低いのもメリットと言える。

 今回は、そんなクラウド型ネットワークカメラの1つ、プラネックスコミュニケーションズの「SpotCam-HD-Eva」を試してみた。同社が「無料クラウド録画付きWi-Fi ホームモニタリング・クラウドカメラ」と銘打つこのカメラは、主にホームユースが前提ながら、法人でも簡易な監視カメラとして使うのに適した製品だ。

●水平方向360度、垂直方向70度のパン・チルト機能を搭載

 SpotCam-HD-Evaは、カメラ部と基部の2つに分かれており、てるてる坊主のようなシルエットが特徴だ。水平方向の首振り(パン)はほぼ真後ろまで可動するため、360度全方位を見渡すことができる。さらに上下方向の首振り(チルト)は下方向に20度、上方向に50度まで撮影することが可能だ。いずれも家庭用のネットワークカメラとしては突出した可動域である。

 SpotCam-HD-Evaは有線LANポートを備えず、接続は無線LAN(Wi-Fi)のみとなる。設定方法は一般的なWi-Fiネットワークカメラと同様で、まずPCとアドホックで接続した後、SSIDを設定する。自宅内のWi-Fiから参照できるようにした後、ブラウザ上で設定画面にアクセスして詳細な設定を行う仕組みだ。最初にアドホックで接続する関係上、必ずWi-Fi搭載のPCもしくはスマートフォンやタブレットを使う必要がある。Wi-Fi非搭載のデスクトップPCでは設定できないので注意しよう。

●24時間分の録画データをクラウドに保存し、外出先からでも閲覧可能

 SpotCam-HD-Evaの設定が完了し、任意の場所に設置すれば、後は録画データがクラウドへ自動的に保存されるようになるので、スマホやPCから好きなときに閲覧できる。従来のネットワークカメラのように、ルーター越えの設定がうまくいかず、自宅内からは参照できるが外出先からはどんなに頑張っても接続できない、といったトラブルとは無縁だ。

 SpotCam-HD-Evaの大きなメリットは、このクラウドへのデータの保存期間が、標準で24時間付属していることだ。一般的なクラウド型のネットワークカメラでは、標準で付属しているのはライブ視聴権のみで、クラウドへのデータ保存は月額料金が別途必要となることも多いが、SpotCam-HD-Evaは本体さえ購入すれば、ひとまず24時間分のデータは記録できるので、追加コストが発生しない。さらに長期間、3日や7日のデータ保存が必要であれば、そこであらためて有料プランを契約すればよいというわけだ。

 SpotCam-HD-Evaを使ううえで利用頻度が高くなるのが、動体検知および音声検知によるアラート機能だ。カメラが捉えた映像の中で何かが動いたり、大きな音がしたりすると、アラートもしくはメールで通知してくれる。そこであらためてカメラで映像を確認したり、過去の録画データをチェックしたりすることで、原因が突き止められるというわけだ。感度は3段階から調整できるので、過敏すぎる場合は調整すればよい。

 ちなみに解像度は1280×720ピクセルと高く、また30fpsということで非常に滑らかだ。暗視機能も備えているので、人間の目ではほぼ真っ暗に見える室内の様子も確認できる。またPCのブラウザからアクセスした場合は、録画データから最大10分までの動画を切り出してダウンロードすることもできるほか、タイムラプス動画も作成できるなど、付加機能も豊富だ。

 パン・チルトの操作性も良好だ。スマホアプリの画面を上下左右にスワイプするだけでカメラがその方向を向く。角度の調整はスワイプの距離によって決まり、スワイプの度に「17度」や「38度」といった具合に動く角度が表示されるので分かりやすい。

 なおスワイプを行ってから実際にカメラが動き始めるまで数秒、スマホ上の映像が描き替わるのにそこからさらに十数秒のタイムラグが発生する。ネットワークカメラではクラウド経由でカメラを操作する関係上、どの製品もある程度のタイムラグは発生するので、利用にあたってはこのタイムラグを考慮した運用が求められる。

 ちなみにSpotCam-HD-Evaは、カメラが向きを変える際、動作音がほとんどないのも大きな利点だ。パン・チルト対応のカメラでは向きを変える際のモーター音が大きく、被写体がやたらとカメラの存在を意識する原因になることもしばしばだが、SpotCam-HD-Evaはその心配はいらない。暗視用の赤外線LEDをオン/オフする際に小さく「カチッ」という音がするのが若干気になるくらいで、それ以外はほぼ無音と言っていい静けさだ。

 なおSpotCam-HD-Evaは共有機能も備えており、知人にだけ公開したり、あるいはライブ配信に利用したりすることもできる。この場合、パン・チルトの機能については、管理者のみ許可された状態になるので、不用意に向きを変えられるといったトラブルも起こり得ない。この辺りはプライバシーと絡めてトラブルになりやすい部分なので、よく考えられている。

●これで2万円台半ばは「破格」

 以上、ざっと使ってみたが、1日分のクラウド録画の権利が付属することから、月額費用が必須の製品に比べて長く使えば使うほどコスト面では有利になるにもかかわらず、実売価格が2万円台半ば(税込、以下同)というのは非常にリーズナブルだ。

 しかも可動域が非常に広いパン・チルト機能も搭載していながらこの価格ということで、まさに破格と言っていい。もともとは海外の製品だが、ヘルプページなど一部を除いてメニューやアプリなどほとんどの部分が日本語化されており、そうした意味でも完成度は高い。

 導入にあたって気を付けたいのは、カメラのパン・チルト機能はあくまでも撮影方向をコントロールするためのもので、録画済みデータの画角をコントロールできるわけではないことだ。当たり前といえばそうなのだが、最近普及しつつある「THETA」をはじめとした全天球カメラでは、全方位の映像を記録し、後から見る方向を変えることができるので、そちらに慣れているとうっかり同じ感覚で操作してしまいがちだからだ。

 なおSpotCam-HD-Evaには、パン・チルト機能を省いたベーシックモデル「SpotCam-HD」や、同じくパン・チルト非対応ながら防塵(じん)・防滴仕様の「SpotCam-HD-Pro」も用意されている。前者については1万円台半ば、後者はSpotCam-HD-Evaとほぼ同等の価格で購入でき、こちらもお買い得感は高い。利用目的によっては、こちらも候補として検討することをおすすめしたい。

最終更新:9月3日(土)6時25分

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