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再建か廃業か、店舗経営者岐路に 久慈市中心街、台風10号浸水被害甚大

デーリー東北新聞社 9月3日(土)12時27分配信

 台風10号による大雨で、かつてないほどの浸水被害に見舞われた久慈市中心街。以前から空き店舗が目立ち「シャッター街」とやゆされ、地盤沈下を指摘されながらも、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」放映による波及効果を追い風に、岩手県北沿岸部の拠点都市としての役目を果たしてきた。甚大な被害に直面し、多くの店が再建に向けて復旧作業を進める一方、経営者の高齢化などを背景に廃業を検討する店も。“久慈の顔”は岐路に立たされている。

 中心街を襲った大量の水は、半世紀にわたり街なかを支えてきた老舗にも容赦しなかった。

 「昨年、創業50年を迎えたばかり。市内外の多くの人に愛される店だった」。

 同市本町の季節料理ひさごの店主奥山清一さん(81)は唇をかむ。妻紀世子さん(76)と二人三脚で経営し、常連客や観光客でにぎわう店として知られるが、店舗全体が水浸しになった。

 市の第2期中心市街地活性化基本計画に伴う区画整理の対象となり、いずれは年齢を考慮して引退する予定だった。その考えは変わらないが、奥山さんは「このまま閉めるわけにはいかない。もう一度、頑張る」と再起を誓う。

 同じ通りにある創業48年の喫茶モカは、あまちゃんに登場する喫茶店のモデルとなり、全国からファンが“聖地巡礼”で訪れる。店主の樋沢正明さん(68)は「街に元気がないといけない」と強調し、早期の営業再開に意欲を示す。

 だが、冷蔵庫など商売に必要な物は新たに買い直さなければならない。「お金もかかるし、自力で再建するのは大変だ。どうすればいいのか」と思案する。

 一方で、先行きの見えない不安から、別の飲食店の女性店主(67)のように「店に入った泥は臭いし、片付けも面倒。放置したまま廃業する店もあるのではないか」と懸念する声も。

 ある商店の男性店主(64)は「市の中心市街地活性化に関する政策は、今回を契機に見直すべきでは。今のまま実行しても街の活気は戻らない」と指摘する。

デーリー東北新聞社

最終更新:9月3日(土)12時27分

デーリー東北新聞社