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宇宙いまだ波高し、楽観できないスペースX

sorae.jp 9/3(土) 7:00配信

29機目の打ち上げを翌日に控えていたファルコン9ロケットが、ケープカナヴェラル空軍基地の発射台で爆発事故を起こした。搭載されていたイスラエルの通信衛星「エイモス6」はロケットから転げ落ちて失われてしまった。

ファルコン9はアメリカのスペースX社が開発した宇宙ロケット。2002年にベンチャー企業として創業した同社だが、今や5000人もの従業員を擁する巨大企業に成長した。ちなみに日本の宇宙機器産業の従業員は8000人程度だから、スペースXだけで日本の宇宙機器産業全体に迫る。

まさに破竹の勢いのスペースX。宇宙開発には失敗もつきものであり、爆発ぐらいは想定内とも言えるが、本当に心配はないのだろうか。

年間20機も打ち上げるファルコン9

スペースX社の主力ロケットがファルコン9シリーズだ。これまで28機が打ち上げられ27機が成功したファルコン9だが、打ち上げペースは年々上がっている。2010年の初打ち上げから2015年末までの6年間で20機打ち上げた(うち1機は失敗)ものが、2016年は既に8機が打ち上げられ、今回失敗した29号機を含めて19機の打ち上げが計画されている。2017年はなんと26機だ。ちなみに日本のH-IIAロケットが年間4機程度、開発中のH3ロケットが6機程度を目標としているので、ファルコン9の打ち上げ機数がいかに途方もないかわかるだろう。

当然、これほど多くのロケットを一挙に生産するには設備も人員も必要になる。スペースXは今年10月には、回収したファルコン9の1段目ロケットを使った初の「再使用」を予定しており、これがうまくいけば大幅なコストダウンが見込めるうえ、新規製造する機数を減らすこともできるだろうが、いきなり多数の再使用ができるとも考えにくい。本当に可能なスケジュールなのだろうか。

商業フライトで技術試験をするスペースX

10月に打ち上げる「再使用ロケット」は試験機ではなく、ルクセンブルグの衛星通信企業「SES」の通信衛星を搭載している。SESはファルコン9をこれまで2機使用しただけでなく、今後も継続的に使用する予定で、初の再使用というリスクのあるフライトも購入したお得意様だ。

これまでもスペースXは顧客の貨物を載せた「商業フライト」で技術を試験してきた。1号機は自社の技術試験に使ったものの、2号機はドラゴン宇宙船の試験飛行で、ロケットとしては実運用と言って良い。6号機は早くも全面改良型のファルコン9 1.1の初飛行、7号機では初の静止衛星(これもSESの衛星)を打ち上げている。6号機以降では第1段の逆噴射で降下テストを繰り返し、20号機で初の地上着陸、23号機では海上の台船に着陸することに成功した。以後、ファルコン9は第1段を回収するのが基本になっている。また、20号機以降はさらに改良型のファルコン9フルスラストと呼ばれるタイプになった。

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最終更新:9/3(土) 7:00

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