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「子どもでいられる場を保障」 荒川区「子ども村」 【子どもの貧困・先進地に学ぶ(4)】

沖縄タイムス 9/3(土) 7:00配信

 東京23区の東部に位置する荒川区。2年前の2014年5月、中高生の居場所「子ども村:中高生ホッとステーション」ができた。区内の民生委員や児童・青少年委員らの有志メンバーが区社協の助成を受けて運営。家庭の事情などで夜遅くまで1人で過ごす子どもたちに週1回、学習支援のほか食事提供や生活支援をしている。

 活動日は10~70代の約30人が夕食の食卓を囲み、雑談を楽しむ。悩みや人生の相談に発展することもある。血縁はないが、家族のような雰囲気で過ごす関係を「ソーシャルファミリー(社会的家族)」と呼んでいる。

 きっかけは5年ほど前から始まった中高生への学習支援の活動だった。学習機会を得られるのはよかったが、成績不振の子の多くが小学校でのつまずきを取り戻せず、学ぶことを諦めかけていた。昼夜逆転の生活をしていたり、食事を取っていなかったり、人とほとんど話せないなど多様な問題を抱えていた。

 「中学校の勉強についていけない子や学習以前の生活面の問題を抱えた子、経済困窮の子たちに寄り添い、フォローする仕組みが必要だった」。代表の大村みさ子さんは振り返る。

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 ホッとステーションに登録する中高生は現在約30人。半数の約15人はほぼ毎回参加する。ボランティアスタッフ約20人で週1回の活動のほか、秋から冬にかけての受験シーズンの「日曜ゼミ」、定期テスト前の土曜学習会などを開いている。

 表面的な強さに憧れていた中学生が理科の勉強を教える高校生の「かっこよさ」に気付き、後を追って歩くようになった例や、身の回りのことしか見えていなかった高校生がさまざまな大人との出会いの中で「ワーキングホリデーで海外に飛び出したい」と夢を語るようになった例など、効果が表れ始めている。通い始めたころ他者と会話ができなかった中学生はボランティアスタッフと関わるうち、明るく会話できるようになった。

 大村さんは「ここで生き方の見本になるロールモデルを見つけ、将来に希望を持てるようになった」と手応えを語る。

 開所以来、子どもの「成長記録」でもある報告書を区や学校に送り続けている。徐々に連携が深まり、区の支援や教諭たちとの交流も始まった。スクールソーシャルワーカーが直接つなげてくるケースも増えているという。「地域のおばさんだからできることがいっぱいある。みんな地域の子どもなんだから、みんなで育てましょうよ、と。そんなに難しいことじゃない」

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 大村さんは「貧困家庭の子ほど、環境が早く大人になることを迫る。子どもが子どもでいられる場所を保障したい」と居場所運営の考え方を語る。「ちゃんと“子ども時代”を過ごさなければ、ちゃんとした大人になれない」が持論だ。

 「面倒ばかり起こすし、裏切られることも多い。でも、子どもと関わっていると、心揺さぶられる瞬間が必ずある」。子どもの居場所づくりに関わると、大人も元気になる。子どもを支える活動が地域づくりやコミュニティー再生につながっていることを実感しているという。

 「子どもが何かを求めて手を伸ばしたとき、助けを差し伸べられる距離に信頼できる大人がいるかどうかが大事。そんな地域の力を付けていきたい」(「子どもの貧困」取材班・田嶋正雄)

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沖縄タイムス 子どもの貧困取材班

最終更新:9/28(水) 13:00

沖縄タイムス