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VRが流行れば部屋の中で「ポケモンGO」ができる? Lighthouseが秘めた可能性

アスキー 9月4日(日)10時0分配信

今週はちょっと前に話題になったHTC Viveのトラッキングシステム「Lighthouse」のライセンスフリー化について語っていきましょう。
VR業界の動向に日本一詳しいと自負するエヴァンジェリスト「VRおじさん」が、今週のVR界の出来事をお知らせします!

 どもども。VRおじさんことPANORAの広田です。今週は9月15~18日に開催する「東京ゲームショウ」が迫ってきたということもあって、ソニー・インタラクティブエンタテインメントを始めとする出展情報がいくつか出ていました。同イベントは基調講演もVRに関する話題のようです。他にもイベントといえば、10月1日の「UNREAL FEST 2016 YOKOHAMA」や、同じく10月1、2日、札幌での「アダルトVRカーニバル」などが話題になっていました。
 
 PANORAの記事としては、IFAでも発表されたクアルコムの一体型VRゴーグル「Snapdragon VR820」のリファレンスや、360度カメラ「THETA S」でシャッターを切った際、撮影者が写り込んでしまう通称「おっさんの写り込み」を消すことができるアプリ「VANISH360」が注目を集めています。
 
 ……ってな感じですが、今週はちょっと前に話題になったHTC Viveのトラッキングシステム「Lighthouse」について語っていきましょう。
 
コントローラーを据え付けてトラッキング
 結論から言えば、将来、VRで活用されているLighthouseのような位置トラッキングシステムが、GPSの屋内版として機能するかもという話です。
 
 Lighthouseとは、2台のベースステーションを対角線上にならべるなど配置することで、最大で4.5m四方の空間を歩けるようにしてくれるシステムです。仕組みとしては、HTC ViveのHMDやモーションコントローラーに受光部があって、ベースステーションから発される赤外線レーザーを受けて、ユーザーの頭や手が空間のどの位置、どの高さにあるかを検出してくれます。
 
 そして、今までサードパーティーは、Viveのモーションコントローラーを活用して、さまざまなものをバーチャル空間でトラッキングできるようにしてきました。例えば、VR用グローブの「Manus VR」では、手首の上にモーションコントローラーをつけることでグローブの位置を取得しています。
 
 グリーンバックを活用してゲーム画面と実際の人を合成するMRデモにおいても、一眼レフの上にコントローラーを設置してカメラアングルを反映しています。
 
 国内でもお台場にあるVRアクティビティー施設「VR ZONE Project i Can」の「装甲騎兵ボトムズ バトリング野郎」にて、大型筐体の前面にコントローラーを据え付けることで、プレイヤーが操作した際の筐体の動きをバーチャル世界のロボット(ボトムズ)と同期しています。
 
 さまざまなものをトラッキング可能にすることで、バーチャル世界の実在感が非常に高まるわけです。
 
 そんな背景を受けてか、HTC Viveを共同開発しているSteamとValveはこの8月のタイミングでLighthonseをサードパーティーにロイヤリティーフリーで開放し、周辺機器やアクセサリーを独自に開発できるようにしました。これだけでも、先週の連載でも触れたような、キーボードやマウス、マグカップなど、ヘッドマウントディスプレーを外さずにバーチャル空間で触りたいVR関連アイテムが出てくることが予想されるでしょう。スマホケースにセンサーを仕込んで、画面を同期させてVR中で使うというのもアリかも?
 
ARやIoTがはかどりそう
 さらに最近、VR関係者方々と会って2、3度話題に出たのが、Lighthouseのその先です。他社のVRヘッドマウントディスプレーにおける採用だけでなく、屋内で位置情報を取れるということは、リアルの世界にCGを重ねるARにおいても活用できるでしょう。ルンバにより正確に部屋を掃除させたり、指示すると定位置に動いてくれるテーブルやイス、ゴミ箱といった、ホームロボットとも絡められそうです。IoTがはかどりそうですね。
 
 GPSの補助として屋内で活用という夢も出てきそうです。現状でLighthouseのベースステーションはネットにつなげずにその正確な位置を同期できませんが、ネットワーク対応版がポケモンGOの関連製品として出たら、屋内で遊ぶときに「GPSの信号をさがしています」と出がちな方は即買いしてしまうかも?
 
 ViveのLighthouseも完璧ではなく、例えばパーティションで区切らずに同じ場所に複数セットを設置してしまうと、受け手側の機器が別の赤外線レーザーを拾って、混線してうまく動作しなかったりと弱点もあるわけですが、特性をきちんとおさえれば、電源のみ供給すれば、あとはさまざまなものをトラッキングできるのは便利。
 
 VRヘッドマウントディスプレーの位置トラッキングに関してはかなり盛り上げってきていて、PANORAでも台湾在住のEjiさんから寄稿していただいた「米VRアトラクション「The Void」 そのスゴさは「究極のポジトラ」と施設構造にあり」や「これは位置トラッキング革命だ Oculus創業者が手がける新システムがVRの未来を変える!?」といった記事が人気を博しています。
 
 VRヘッドマウントディスプレーも、スマートフォンの普及でディスプレーパネルや内蔵センサーが安価になり、それをきっかけに桁違いに安価なものがつくれるようになって、今日の注目がある感じです。VRが普及した次には、この位置トラッキングを活用した別の何かが盛り上がってくるのかもしれませんね。
 
 ちなみに筆者的には、Oculus Rift DK2も1台電車に置き忘れしたほどの「なくし物大魔王」なので、「すべてのものがトラッキング可能になったら最高じゃん!」とテンションが上がったのですが、よくよく考えてみれば物陰に隠れると追跡できないのですよね……(涙)
 
広田 稔(VRおじさん)
 
 フリーライター、VRエヴァンジェリスト。パーソナルVRのほか、アップル、niconico、初音ミクなどが専門分野。VRにハマりすぎて360度カメラを使ったVRジャーナリズムを志し、2013年に日本にVRを広めるために専門ウェブメディア「PANORA」を設立。「VRまつり」や「Tokyo VR Meetup」(Tokyo VR Startupsとの共催)などのVR系イベントも手がけている。
 
 
文● 広田 稔 編集●飯島恵里子/ASCII.jp

最終更新:9月4日(日)10時0分

アスキー