ここから本文です

「シン・ゴジラ」に見る日本の防衛力

東スポWeb 9月4日(日)16時57分配信

 映画「シン・ゴジラ」が大ヒット公開中だ。劇中では最新兵器を装備した自衛隊の各部隊が登場し、ゴジラに敢然と立ち向かうが、火力では全く歯が立たなかった。フィクションといえども自衛隊の防衛力に一抹の不安を覚えた人も多いのではないだろうか。自衛隊の真の実力はどうなっているのか?「日本軍はこんなに強かった!」の著書がある軍事ジャーナリストの井上和彦氏に解説してもらった。なおネタバレがあるので、観賞前の方は注意してください!

「シン・ゴジラ」では神奈川県鎌倉沖から上陸したゴジラを自衛隊が多摩川で迎え撃つシーンが見どころの一つだ。空からは20ミリ機関砲を搭載した「AH―1攻撃ヘリ」(通称コブラ)がゴジラの顔目がけて、一斉射撃するが無残にもはじき返される。30ミリ機関砲搭載の「AH―64D攻撃ヘリ」(通称アパッチ)も同様。ミサイル弾も全く効果はなかった。

 コブラは旧式だが、アパッチは世界各地で活躍している攻撃ヘリだ。

「対戦車、対装甲車用です。日本では大規模な戦車部隊が上陸してくるのは想定しづらいが、島嶼(とうしょ)部の上空でホバリングしながら、にらみを利かせ、ゲリラ戦にも対応できる」(井上氏)

 青森・三沢基地から飛び立った「F―2戦闘機」が放った衛星誘導弾JDAMもゴジラには無力だったが、その実力は折り紙付きという。100キロ以上離れてもピンポイントでのASM(空対艦ミサイル)を発射可能だ。

「射程が長いうえに世界で一、二を争う精密度を誇る。一発で艦船を撃沈できる」。もちろん対空戦闘力も高い。

 多摩川の土手沿いには「10(ヒトマル)式戦車」と「機動戦闘車」の戦車部隊がズラリと並んだ。自衛隊はほかにも「90式戦車」「89式装甲戦闘車」などを擁するが、自衛隊が目下、売り出し中の2種類のみの登場となった。戦車部隊の集中砲火もゴジラには効果がなく、最後は弾切れとなった。

 機動戦闘車は今年度内に実戦配備される予定で、105ミリライフル砲搭載で「C―2輸送機」により運搬できる機動力が売り。尖閣諸島など島嶼防衛での使用が想定されている。

 井上氏がべた褒めするのは10式戦車だ。

「世界で3本の指に入る。鉄の塊ではなく、コンピューターの塊で、120ミリ滑腔砲搭載で、10式戦車がロックオンしたら絶対に目標を逃さない。70キロぐらいのスピードで走りながらの『行進間射撃』もできる」

 海上でのバトルがなかったために海自は哨戒活動が中心で、出る幕は少なかった。「そうりゅう型潜水艦は原子力型ではない通常型で世界一戦闘能力が高い」。やはりその能力は侮れない。

 こうしてみるとやはり相手が悪かったというしかない。「最新の兵器はかつてのじゅうたん爆撃みたいな爆発力の勝負ではなく、ピンポイントで相手の心臓部を射抜くような精度の高さに主眼が置かれている。そのため弾も小さくなっているが、なんといってもゴジラは大きいし、皮膚が頑丈過ぎた。こんな相手は自衛隊も想定していない」

 米軍の「B―2爆撃機」による地中貫通爆弾(通称バンカー・バスター)が唯一、ダメージを与えたともいえるが、ゴジラはまさに異次元の装甲だったといえる。

 最後に井上氏は「自衛隊の兵器の精度は高いが、オペレーションする法体系が各国並みになっていないから動くに動けない。法体系の不備をどうにかしないといけない」と話す。

「シン・ゴジラ」は国会でも有事の際の対応を巡る格好のシミュレーションになっている。

 議論の深まりが期待されるが…。

最終更新:9月4日(日)16時57分

東スポWeb